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第二幕 映画撮影と超新星
ACT48
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王子監督の新作映画の撮影も佳境を迎えていた。
それなのに王子監督ったら台本書き直すって言ってきかないものだから急に一日スケジュールに穴が開いちゃった。
芸能界ってしょっちゅうこんな事が起こる。
いつもって程じゃないけど、まあそれなりに起こる。
だから芸能人はいつでも機敏に動けなくてはならない。
私は女優だからまだマシな方。タレントや芸人さんはもっと大変。需要があるからどこもかしこも我先にと取り合う。東京大阪間日に何度も往復するなんて事もざらにある。
芸人さんの突然海外に飛ばされている姿なんかを見ていると、私は女優でよかったと常々思う。
そして芸能人の休日の過ごし方だけど、2パターンに分かれる。
まあ、芸能人じゃなくてもこの2パターンに分かれると思うけど。インドア派とアウトドア派である。
ちなみに私は完全なインドア派ね。外に出るのが嫌いなんじゃなくて撮り貯めたアニメを観ないといけないから。
アニメ観賞は立派な趣味です! アニメは日本の宝――文化です!!
という訳で、いつもならアニメ観賞一択の私なのだけれど、今日はそんな気分じゃないの。今日だけじゃない。ここ最近ずっと気分は落ちっぱなし……。
だって赤崎くんと全然話せていないの! それもこれも全部アイツのせいよ――苛立ちは募る一方だ。
――ピロン♪
電子音がメッセージの通知を知らせる。
瑞樹:今日日増してるなら一緒に出掛けない?
家に居てもやることないし、まあいいか。
結衣:OK
返信を打つと急いで支度をして家を出た。
…………
……
…
待ち合わせ場所は競技場。何でこんなところ?
瑞樹の待ち合わせ場所はあまりにも不可解だった。
手を振る瑞樹に小さく手を振り返す。
こういう時に名前を呼ばないでいてくれる瑞樹って私の立場をよく判ってくれている。
ん? 瑞樹の隣に誰かもう一人居る? 誰だろ?
近付いていくとその正体がようやく判った。
「高野さん。何でここにいるんですか?」
「お呼ばれしたのよ。貴女の彼氏に」
「赤さっくんですか? 何で赤崎くんが……じゃあ赤崎くんも来るんですか?」
「貴女ほんとに何にも知らないのね」
「あのね結衣、今日は陸上の競技会でね。赤崎も出場するのよ」
あれ? でも赤崎くん怪我して陸上辞めたんじゃ……。
「今日が復帰戦なの」と瑞樹。
「もしかしたら、結衣に連絡してないんじゃないかと思って連絡したんだけど。私の勘が当たってたって訳よ」
「そんなことより」
「そんなこと!?」
「何か人多くない?」
呆れたと言うように首を左右に振り、
「結衣にとってはカグラ様ソックリの声をした彼氏ってだけかもしれないけど、赤崎は一応、日本陸上界のホープよ。その復帰戦なの」力説である。
瑞樹の力説もいまいち心を打たなかったけど、すごい事なんだと言う認識は辛うじてする出来た。
「早く入りましょ」
高野さんと瑞樹に手を引かれ、競技場へと入った。
それなのに王子監督ったら台本書き直すって言ってきかないものだから急に一日スケジュールに穴が開いちゃった。
芸能界ってしょっちゅうこんな事が起こる。
いつもって程じゃないけど、まあそれなりに起こる。
だから芸能人はいつでも機敏に動けなくてはならない。
私は女優だからまだマシな方。タレントや芸人さんはもっと大変。需要があるからどこもかしこも我先にと取り合う。東京大阪間日に何度も往復するなんて事もざらにある。
芸人さんの突然海外に飛ばされている姿なんかを見ていると、私は女優でよかったと常々思う。
そして芸能人の休日の過ごし方だけど、2パターンに分かれる。
まあ、芸能人じゃなくてもこの2パターンに分かれると思うけど。インドア派とアウトドア派である。
ちなみに私は完全なインドア派ね。外に出るのが嫌いなんじゃなくて撮り貯めたアニメを観ないといけないから。
アニメ観賞は立派な趣味です! アニメは日本の宝――文化です!!
という訳で、いつもならアニメ観賞一択の私なのだけれど、今日はそんな気分じゃないの。今日だけじゃない。ここ最近ずっと気分は落ちっぱなし……。
だって赤崎くんと全然話せていないの! それもこれも全部アイツのせいよ――苛立ちは募る一方だ。
――ピロン♪
電子音がメッセージの通知を知らせる。
瑞樹:今日日増してるなら一緒に出掛けない?
家に居てもやることないし、まあいいか。
結衣:OK
返信を打つと急いで支度をして家を出た。
…………
……
…
待ち合わせ場所は競技場。何でこんなところ?
瑞樹の待ち合わせ場所はあまりにも不可解だった。
手を振る瑞樹に小さく手を振り返す。
こういう時に名前を呼ばないでいてくれる瑞樹って私の立場をよく判ってくれている。
ん? 瑞樹の隣に誰かもう一人居る? 誰だろ?
近付いていくとその正体がようやく判った。
「高野さん。何でここにいるんですか?」
「お呼ばれしたのよ。貴女の彼氏に」
「赤さっくんですか? 何で赤崎くんが……じゃあ赤崎くんも来るんですか?」
「貴女ほんとに何にも知らないのね」
「あのね結衣、今日は陸上の競技会でね。赤崎も出場するのよ」
あれ? でも赤崎くん怪我して陸上辞めたんじゃ……。
「今日が復帰戦なの」と瑞樹。
「もしかしたら、結衣に連絡してないんじゃないかと思って連絡したんだけど。私の勘が当たってたって訳よ」
「そんなことより」
「そんなこと!?」
「何か人多くない?」
呆れたと言うように首を左右に振り、
「結衣にとってはカグラ様ソックリの声をした彼氏ってだけかもしれないけど、赤崎は一応、日本陸上界のホープよ。その復帰戦なの」力説である。
瑞樹の力説もいまいち心を打たなかったけど、すごい事なんだと言う認識は辛うじてする出来た。
「早く入りましょ」
高野さんと瑞樹に手を引かれ、競技場へと入った。
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