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第一幕 転校生は朝ドラ女優!?
ACT22
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ワイドショーは私の話題で持ちきりだった。
『新田結衣、芸能界引退か!?』視聴者を煽りに煽った報道は、あっという間に過熱した。
数日前までの状況しか知らないけど。
文化祭からすでにひと月あまりが過ぎていた。
ちなみに私は自分の部屋に引きこもっていた。
テレビを点ければあることないこと報道されているからテレビを見るのをやめた。
コンコン。
ドアがノックされる。
「結衣。いい加減出てきなさい」
窘めるように松崎さんが言う。
その後ろで、爪を噛みながら頭を掻く高野さんが見え隠れする。
「結衣。テレビに出なさい」
「えっ?」
「あなたの本当の気持ちを話しなさい」
「でも、今更……」
「好き勝手言われていいの? あなただけじゃない。お友達の事も、仕事の事も、自分の気持ちをちゃんと伝えなきゃ、何も始まらないわよ」
「でも」
一度沈んだ気持ちは簡単には浮上してこない。
「結衣。スマホは?」
「見てない」
怖いのだ。新しく出来た友達はみんなきっと呆れてる。愛想を尽かしてる。
「スマホはどこ?」
語気に苛立ちが見え隠れする。
「松崎さん怖い」
「いいから、とにかく見なさいッ!」
私は仕方なくスマートフォンを探す。
ようやく見つけたスマートフォンには、ひぃ、ふぅ、みぃ、よ……。
うわぁ……すごい数の着信。
LINEもすごいことになってる。開口一番、目に飛び込んできたのは『無視すんじゃねぇよ』という殺伐としたものだった。
『あ、既読ついた』
『マジだ』
『ヤホー! 元気?』
『元気なわけねぇだろ!』
そんな他愛のない内容が続く。
『でさ、動画送ってるから見て。じゃ』
『ユッキーまたね~』
一方的に言いたいことだけ言って話は終わり。
そういえば動画って何だろ?
画面を下へ下へとスクロールする。
あった――添付された動画が一つ。
再生してみる。
『「結衣ごめんね。私、何にも力になれなかったね。どこかで思ってたんだ、結衣の友達は私だって。慢心だったと思う。みんなに打ち明けてればよかった」
申し訳なさそうに俯く。
「なになに~。辛気臭い。ミズキ気にし過ぎだし」
カメラのフレームにチラチラと鈴音の金髪が見えている。
「そうですよ。確かに私たち、結衣さんに利用されてただけなのかと思ったりもしましたけど、そんなことないっていうのは付き合ってきた私たちが一番よく知ってますから。
それに、いざとなればお父様に頼んでいろいろと裏で動いてもらいますから」
「まあ、私たちがついてるって事」
友香がフレームインしてきて言う。
「なに勝手に〆ようとしてるの? 私からも一つだけ。綾人のヤツ、あれからヘソ曲げちゃってさ。ちゃんと話しなよ」
花楓は気にも留めてないとでも言うように素っ気ない態度で語った。
「ほら、シノッチもなんか言いなよ」
鈴音に急かされて詩乃がカメラの前に座らされる。
「んー……私は結衣が女優って知ってたよ」
「マジで!?」
「うん。マジで」
「何でわかったの?」
「んー、勘」
「勘かよ」
「ああ、言いたいこと言ってなかった。私たちみんな結衣の味方だから。それだけ」』
そう言うと友香がアップになって動画は終了した。
「松崎さん」
「ん、なに?」
「私、テレビ出ようかな。出られる?」
「もちろん。任せて」
踵を返して「派手に復帰飾るわよ」と息巻きながら部屋を出て行った。
大丈夫。私には頼れる仲間と友達がいるから。
ここひと月あまり沈んでいた気持ちがウソみたいに軽くなった。
浮上した気持ちのままにどこまでも飛んでいけそうな気がした。
『新田結衣、芸能界引退か!?』視聴者を煽りに煽った報道は、あっという間に過熱した。
数日前までの状況しか知らないけど。
文化祭からすでにひと月あまりが過ぎていた。
ちなみに私は自分の部屋に引きこもっていた。
テレビを点ければあることないこと報道されているからテレビを見るのをやめた。
コンコン。
ドアがノックされる。
「結衣。いい加減出てきなさい」
窘めるように松崎さんが言う。
その後ろで、爪を噛みながら頭を掻く高野さんが見え隠れする。
「結衣。テレビに出なさい」
「えっ?」
「あなたの本当の気持ちを話しなさい」
「でも、今更……」
「好き勝手言われていいの? あなただけじゃない。お友達の事も、仕事の事も、自分の気持ちをちゃんと伝えなきゃ、何も始まらないわよ」
「でも」
一度沈んだ気持ちは簡単には浮上してこない。
「結衣。スマホは?」
「見てない」
怖いのだ。新しく出来た友達はみんなきっと呆れてる。愛想を尽かしてる。
「スマホはどこ?」
語気に苛立ちが見え隠れする。
「松崎さん怖い」
「いいから、とにかく見なさいッ!」
私は仕方なくスマートフォンを探す。
ようやく見つけたスマートフォンには、ひぃ、ふぅ、みぃ、よ……。
うわぁ……すごい数の着信。
LINEもすごいことになってる。開口一番、目に飛び込んできたのは『無視すんじゃねぇよ』という殺伐としたものだった。
『あ、既読ついた』
『マジだ』
『ヤホー! 元気?』
『元気なわけねぇだろ!』
そんな他愛のない内容が続く。
『でさ、動画送ってるから見て。じゃ』
『ユッキーまたね~』
一方的に言いたいことだけ言って話は終わり。
そういえば動画って何だろ?
画面を下へ下へとスクロールする。
あった――添付された動画が一つ。
再生してみる。
『「結衣ごめんね。私、何にも力になれなかったね。どこかで思ってたんだ、結衣の友達は私だって。慢心だったと思う。みんなに打ち明けてればよかった」
申し訳なさそうに俯く。
「なになに~。辛気臭い。ミズキ気にし過ぎだし」
カメラのフレームにチラチラと鈴音の金髪が見えている。
「そうですよ。確かに私たち、結衣さんに利用されてただけなのかと思ったりもしましたけど、そんなことないっていうのは付き合ってきた私たちが一番よく知ってますから。
それに、いざとなればお父様に頼んでいろいろと裏で動いてもらいますから」
「まあ、私たちがついてるって事」
友香がフレームインしてきて言う。
「なに勝手に〆ようとしてるの? 私からも一つだけ。綾人のヤツ、あれからヘソ曲げちゃってさ。ちゃんと話しなよ」
花楓は気にも留めてないとでも言うように素っ気ない態度で語った。
「ほら、シノッチもなんか言いなよ」
鈴音に急かされて詩乃がカメラの前に座らされる。
「んー……私は結衣が女優って知ってたよ」
「マジで!?」
「うん。マジで」
「何でわかったの?」
「んー、勘」
「勘かよ」
「ああ、言いたいこと言ってなかった。私たちみんな結衣の味方だから。それだけ」』
そう言うと友香がアップになって動画は終了した。
「松崎さん」
「ん、なに?」
「私、テレビ出ようかな。出られる?」
「もちろん。任せて」
踵を返して「派手に復帰飾るわよ」と息巻きながら部屋を出て行った。
大丈夫。私には頼れる仲間と友達がいるから。
ここひと月あまり沈んでいた気持ちがウソみたいに軽くなった。
浮上した気持ちのままにどこまでも飛んでいけそうな気がした。
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