3 / 8
赤字脱却 編
お姫様と経済学②(選択回避の法則)
しおりを挟む
お客様はクロバ・ヨイチさんというお名前で、ニホンなる国からやってきたのだと言う。
勉強不足で申し訳ないと思いつつ、セルシアは、辺境の国家なのだろうと見当をつけていた。
仮にも王女である。教養はそれなりにあると自負している。
ニホンなどと言う国は訊いたことも無かった。
セルシアは、目の前の彼をどのように扱えばいいのかと、頭を捻った。
珍妙な恰好をしているのだ。
貴族ではないだろうが、仕立ての良い服を着ている。
そして彼の背負っていたリュックなる品も革張りで丁寧な作りである。
冒険者? にしては身体を鍛えているようには見えない。
商人? にしては商品となる品物が見当たらない。
彼の正体が全くつかめない。
当の本人は学生だと言う。
証拠だと言って一冊の本を差し出す。
色とりどりな絵に、異国の文字が躍る本を見つめる。
読めませんね……
ペラペラと頁をめくると、中にはさらに複数の文字が、頁の余白を潰す様にびっしりと記されていた。
「これは一体何について書かれているモノなのですか?」
「……さぁ?」
「ご自分の本なのでしょう?」
「そうだけど、専攻じゃないしなぁ……、そう言えばここはお店なんですよね?」
「ええ、そうですが」
「だったらその本あげますよ。僕は別に使わないし、役立つかもしれないですよ。経済学」
経済学というモノが書かれている書物は、商売をするうえでとても役立つものかも? とのこと。
藁にもすがる思いで、開いて読んでみるものの、異国の言葉がさっぱり分かりません。
視線をヨイチさんに向けると、露骨にめんどくさそうな顔をしながらも読んでくれた。
「えっと……、第一章、お客はカモ、経済学を使ってどんどんカモりましょう。……ひどい内容だなこの本」
「すみません。カモとは何なのでしょうか?」
「え、カモは……お金を払ってくれる――つまり、商品を買ってくれるお客って意味、かな?」
「なるほど! では続きをどうぞ!」
つまりは商売の指南書のようなモノなのでしょう。
王国にはない、商売のノウハウを取り入れれば、《ジャンク・ブティコ》の立て直しも叶うかもしれません。
「それじゃあ、まずは……、「商品のラインナップを考えよう」。あまりに多い選択肢は逆効果、人間は優柔不断な生き物、だそうです」
そう言って、ヨイチさんは店内を見回す。
釣られてセルシアも視線を巡らせる。
「取り敢えず、何でもかんでも商品棚に置くのやめたら?」
「……そうですね」
翌日から《ジャンク・ブティコ》の品数は半数以下になりました。
勉強不足で申し訳ないと思いつつ、セルシアは、辺境の国家なのだろうと見当をつけていた。
仮にも王女である。教養はそれなりにあると自負している。
ニホンなどと言う国は訊いたことも無かった。
セルシアは、目の前の彼をどのように扱えばいいのかと、頭を捻った。
珍妙な恰好をしているのだ。
貴族ではないだろうが、仕立ての良い服を着ている。
そして彼の背負っていたリュックなる品も革張りで丁寧な作りである。
冒険者? にしては身体を鍛えているようには見えない。
商人? にしては商品となる品物が見当たらない。
彼の正体が全くつかめない。
当の本人は学生だと言う。
証拠だと言って一冊の本を差し出す。
色とりどりな絵に、異国の文字が躍る本を見つめる。
読めませんね……
ペラペラと頁をめくると、中にはさらに複数の文字が、頁の余白を潰す様にびっしりと記されていた。
「これは一体何について書かれているモノなのですか?」
「……さぁ?」
「ご自分の本なのでしょう?」
「そうだけど、専攻じゃないしなぁ……、そう言えばここはお店なんですよね?」
「ええ、そうですが」
「だったらその本あげますよ。僕は別に使わないし、役立つかもしれないですよ。経済学」
経済学というモノが書かれている書物は、商売をするうえでとても役立つものかも? とのこと。
藁にもすがる思いで、開いて読んでみるものの、異国の言葉がさっぱり分かりません。
視線をヨイチさんに向けると、露骨にめんどくさそうな顔をしながらも読んでくれた。
「えっと……、第一章、お客はカモ、経済学を使ってどんどんカモりましょう。……ひどい内容だなこの本」
「すみません。カモとは何なのでしょうか?」
「え、カモは……お金を払ってくれる――つまり、商品を買ってくれるお客って意味、かな?」
「なるほど! では続きをどうぞ!」
つまりは商売の指南書のようなモノなのでしょう。
王国にはない、商売のノウハウを取り入れれば、《ジャンク・ブティコ》の立て直しも叶うかもしれません。
「それじゃあ、まずは……、「商品のラインナップを考えよう」。あまりに多い選択肢は逆効果、人間は優柔不断な生き物、だそうです」
そう言って、ヨイチさんは店内を見回す。
釣られてセルシアも視線を巡らせる。
「取り敢えず、何でもかんでも商品棚に置くのやめたら?」
「……そうですね」
翌日から《ジャンク・ブティコ》の品数は半数以下になりました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる