2 / 8
赤字脱却 編
お姫様と経済学①(選択回避の法則)
しおりを挟む
私は退屈な日々を過ごしてた。
現在、王都市中心部の一角で商いをしているが、全くお客様が来てくださらない。
商品の種類に品揃えは王都一だと自負している。
何を隠そう、私――セルシア・アン・フェルメールは、王国の第二王女。
いわば絶対的権力者――王族の一人である。
資金は潤沢。
王国が後ろ盾となってくれている。王宮お墨付きのお店という訳だ。
なのにお客様が来ないのはどういう事なのだろう。
現在セルシアは身分を隠してお店を開いている。
正確には、国民の大半がセルシアの顔を知らないというのが正しい。
セルシアは稀に生まれる先祖返りという存在で、人間同士の間に生まれたにも関わらず、長寿として名高いエルフとして生まれた。
これも正確にはハーフエルフと言うのが正しい。
かつて王国では人間以外は魔の使いだと言われていた時代があった。
エルフを始めとする亜人種は人間の敵とされたのだ。
それは遠く昔の話で、今では王国には人間だけでなく多くの亜人が暮らしている。
魔の使いなどという迷信を信じている人はほとんどいないが、王族――政治というのはそんな迷信にも気を配らなくてはいけないらしい。
父親である国王陛下から王宮を出てくれないかと打診された。
第二王女であるセルシアが政治の中心に立つことはないだろうし、興味もなかった。
だから二つ返事で了承した。
それに王宮での生活は退屈そのものだった。何不自由ない生活はセルシアから様々な機会を奪った。
楽しい事も新しい発見も、何もかもが奪われた。
王女とは何をするにも護衛の近衛騎士が付いてくる。
真の自由はないのだ。
けれども恨んだりはしていない。今まで育ててもらった事には感謝している。
血の繋がった家族に変わりはない。
それでも何の罪もない娘を、王宮から実質追放することに良心が痛んだのか、国王は一生を遊んで暮らせる大金と、一人では広すぎる屋敷を与えてくれた。
商売人にでもなろうかと零すと、国王直々に許可証を発行してくれた。王国お墨付き、王都に数件しかない俗にいう名店と同じ扱いになった。
潤沢な資金と広大な屋敷を使って商売を始めた。
初めの内は客足もそれなりにあった。けれど開店からひと月経つ頃には店内は閑散としていた。
お客が来ない商売ほど退屈なものはない。
そんな折、店内にお客の来店を知らせるベルが鳴る。
セルシアは久し振りのお客に興奮しながら駆けた。
ふぅ、と小さく息を吐き、逸る気持ちを落ち着かせる。
笑みを浮かべて、
「ようこそ、《ジャンク・ブティコ》へ」
お客様は首を傾げて、
「ここはどこ?」と尋ねた。
現在、王都市中心部の一角で商いをしているが、全くお客様が来てくださらない。
商品の種類に品揃えは王都一だと自負している。
何を隠そう、私――セルシア・アン・フェルメールは、王国の第二王女。
いわば絶対的権力者――王族の一人である。
資金は潤沢。
王国が後ろ盾となってくれている。王宮お墨付きのお店という訳だ。
なのにお客様が来ないのはどういう事なのだろう。
現在セルシアは身分を隠してお店を開いている。
正確には、国民の大半がセルシアの顔を知らないというのが正しい。
セルシアは稀に生まれる先祖返りという存在で、人間同士の間に生まれたにも関わらず、長寿として名高いエルフとして生まれた。
これも正確にはハーフエルフと言うのが正しい。
かつて王国では人間以外は魔の使いだと言われていた時代があった。
エルフを始めとする亜人種は人間の敵とされたのだ。
それは遠く昔の話で、今では王国には人間だけでなく多くの亜人が暮らしている。
魔の使いなどという迷信を信じている人はほとんどいないが、王族――政治というのはそんな迷信にも気を配らなくてはいけないらしい。
父親である国王陛下から王宮を出てくれないかと打診された。
第二王女であるセルシアが政治の中心に立つことはないだろうし、興味もなかった。
だから二つ返事で了承した。
それに王宮での生活は退屈そのものだった。何不自由ない生活はセルシアから様々な機会を奪った。
楽しい事も新しい発見も、何もかもが奪われた。
王女とは何をするにも護衛の近衛騎士が付いてくる。
真の自由はないのだ。
けれども恨んだりはしていない。今まで育ててもらった事には感謝している。
血の繋がった家族に変わりはない。
それでも何の罪もない娘を、王宮から実質追放することに良心が痛んだのか、国王は一生を遊んで暮らせる大金と、一人では広すぎる屋敷を与えてくれた。
商売人にでもなろうかと零すと、国王直々に許可証を発行してくれた。王国お墨付き、王都に数件しかない俗にいう名店と同じ扱いになった。
潤沢な資金と広大な屋敷を使って商売を始めた。
初めの内は客足もそれなりにあった。けれど開店からひと月経つ頃には店内は閑散としていた。
お客が来ない商売ほど退屈なものはない。
そんな折、店内にお客の来店を知らせるベルが鳴る。
セルシアは久し振りのお客に興奮しながら駆けた。
ふぅ、と小さく息を吐き、逸る気持ちを落ち着かせる。
笑みを浮かべて、
「ようこそ、《ジャンク・ブティコ》へ」
お客様は首を傾げて、
「ここはどこ?」と尋ねた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる