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番外SS
夏休み前夜(のぞみ編)
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残念ながら、私こと夢乃希望は勉強が苦手である。
テスト勉強はした。でも、習っていないところが出題されたのだから、答えられなくても仕方がない。
復習しようとノートを開くも白紙。きっと誰かが消しゴムをかけたに違いない(筆圧の跡も何もないけど)。
諦めて教科書を開くも、所々文字が滲んでいて読めない(写真ページの文字は無事)。
それに、テスト問題にも文句を言いたい。
こんな問題があった。
Q1. 次の人物と関連した出来事を選択肢の中から選べ。
出来事の概略文、そして顔写真が並ぶ。
それの何が問題なのかって? 大問題だ。
私の教科書に載っている写真と印象が全く違うのだ。
テストに出ていた写真はどこか威厳がない。それに対して私の教科書の写真には威厳と言うか、風格がある。歴史に名を残す偉人なのだから髭は生やしていた方がいいだろう。
織田信長も福沢諭吉もトレンドは、くるんとカールしたお髭。
やっぱり、あるのと無いのとでは大違い。
これで天下統一は達成できるし、ミリオンセラー間違いなしだ。
二人とも偉人だから私でも知っている。
短気な人と、勉強しろと口うるさいお母さんみたいな人だ。
ほら、歴史は完璧でしょ? なのに零点。先生が採点ミスしたんだな。
肩を竦める。
やれやれ、職務怠慢だね
勉強机に向かうも、並んだ辞書の順番が気になって勉強どころではない。
それに辞書が埃をかぶっている。
消しゴムのカスが机の角に溜まっている。
その他etc.
仕方ない。いっちょ掃除しますか。
思い立ったが吉日。誰かが言ってた気がする座右の銘。
「この辞書使ってないから直してもいいよね?」
誰もいない部屋で一人自分と相談。
「こっちの漫画はよく読むから棚に出しておこう」
この開けていないダンボールの中身は何だったけ? 気になり始めると止まらない。
洋服、下着に日用雑貨。こんなの持ってたっけ? そんな代物がたくさん出てくる。
そして、
「こっちの箱の中身は何だろな♪」
鼻歌交じりに開けてみると、
「水着か!!」
春の入学時には、着る機会はまだ先だからと、押入れの奥に仕舞い込んでいたのだ。
「新しい水着、買いはしたけど、ちょっと無難すぎる気もしてたのよねぇ~」
姿見の前に立って水着を合わせてみる。
「う~ん、やっぱり実際に着てみないと分からないよねぇ~」
すでにネグリジェに着替えていたが、豪快にベッドの上に脱ぎ捨てた。
時計の針は十二時を回ろとしていた。
第一回! 夢乃のぞみ、深夜の水着試着会ぃ~!!(パフパフ♪)
脳内でラッパホーンを鳴らす。
後はタンバリンとかマラカスみたいな賑やかしの楽器が欲しいところだ。しかし、脳内で同時に三つの楽器を演奏できるほど器用ではない。
しっちゃかめっちゃかになりそうだから挑戦はしない。
では、さっそくお待ちかねの試着会と行きますか!!
それにしても……、
「私の胸ってめちゃくちゃエロくない!?」
大きさだけなら真白と互角って感じだけど、言葉では表現できないエロさがある。それはもう圧勝だ。
試着する水着を選ぶ。
「でも、なんか……ビキニばっかり……ってヒモ!? これ、お母さんのじゃん!!」
色魔であるサキュバスとしてはエロいは褒め言葉だ。でも、それで勝っても嬉しいのかな?
冬夜にはサキュバスとしての魅力じゃなくて、私自身――夢乃のぞみを好きになってほしい。
「やっぱり、真白みたいな清楚系が好きなのかなぁ……」
はらりと箱から落ちた水着を拾い上げる。
希望の見たことが無い水着。またお母さんの水着か――でも、お母さんの趣味ではない。お母さんの趣味は派手派手だ。
手紙と雑誌が同封されている。
『男の子の趣味に合わせるのもいい女の努めよ♡ アンタ、シンプルな作りの水着買ってないでしょ。適当に見繕っておきました。
あと、水着はロケーションも大切だから、いいスポットも見繕っておきました。
早く孫の顔を見せてください。
いい男捕まえるのよ♡
ママより』
色々と過程をすっ飛ばしてはいるが、感謝。ありがとうお母さん!!
試着会、再会だ! でも何か忘れてるような……………ま、いいか。
って、水着のサイズが合わない! 見栄張ってワンサイズ上を申告していた弊害がぁ……
試着会は深夜――朝まで続いた。
翌日、先生にこってり絞られるたのは言うまでもない。
テスト勉強はした。でも、習っていないところが出題されたのだから、答えられなくても仕方がない。
復習しようとノートを開くも白紙。きっと誰かが消しゴムをかけたに違いない(筆圧の跡も何もないけど)。
諦めて教科書を開くも、所々文字が滲んでいて読めない(写真ページの文字は無事)。
それに、テスト問題にも文句を言いたい。
こんな問題があった。
Q1. 次の人物と関連した出来事を選択肢の中から選べ。
出来事の概略文、そして顔写真が並ぶ。
それの何が問題なのかって? 大問題だ。
私の教科書に載っている写真と印象が全く違うのだ。
テストに出ていた写真はどこか威厳がない。それに対して私の教科書の写真には威厳と言うか、風格がある。歴史に名を残す偉人なのだから髭は生やしていた方がいいだろう。
織田信長も福沢諭吉もトレンドは、くるんとカールしたお髭。
やっぱり、あるのと無いのとでは大違い。
これで天下統一は達成できるし、ミリオンセラー間違いなしだ。
二人とも偉人だから私でも知っている。
短気な人と、勉強しろと口うるさいお母さんみたいな人だ。
ほら、歴史は完璧でしょ? なのに零点。先生が採点ミスしたんだな。
肩を竦める。
やれやれ、職務怠慢だね
勉強机に向かうも、並んだ辞書の順番が気になって勉強どころではない。
それに辞書が埃をかぶっている。
消しゴムのカスが机の角に溜まっている。
その他etc.
仕方ない。いっちょ掃除しますか。
思い立ったが吉日。誰かが言ってた気がする座右の銘。
「この辞書使ってないから直してもいいよね?」
誰もいない部屋で一人自分と相談。
「こっちの漫画はよく読むから棚に出しておこう」
この開けていないダンボールの中身は何だったけ? 気になり始めると止まらない。
洋服、下着に日用雑貨。こんなの持ってたっけ? そんな代物がたくさん出てくる。
そして、
「こっちの箱の中身は何だろな♪」
鼻歌交じりに開けてみると、
「水着か!!」
春の入学時には、着る機会はまだ先だからと、押入れの奥に仕舞い込んでいたのだ。
「新しい水着、買いはしたけど、ちょっと無難すぎる気もしてたのよねぇ~」
姿見の前に立って水着を合わせてみる。
「う~ん、やっぱり実際に着てみないと分からないよねぇ~」
すでにネグリジェに着替えていたが、豪快にベッドの上に脱ぎ捨てた。
時計の針は十二時を回ろとしていた。
第一回! 夢乃のぞみ、深夜の水着試着会ぃ~!!(パフパフ♪)
脳内でラッパホーンを鳴らす。
後はタンバリンとかマラカスみたいな賑やかしの楽器が欲しいところだ。しかし、脳内で同時に三つの楽器を演奏できるほど器用ではない。
しっちゃかめっちゃかになりそうだから挑戦はしない。
では、さっそくお待ちかねの試着会と行きますか!!
それにしても……、
「私の胸ってめちゃくちゃエロくない!?」
大きさだけなら真白と互角って感じだけど、言葉では表現できないエロさがある。それはもう圧勝だ。
試着する水着を選ぶ。
「でも、なんか……ビキニばっかり……ってヒモ!? これ、お母さんのじゃん!!」
色魔であるサキュバスとしてはエロいは褒め言葉だ。でも、それで勝っても嬉しいのかな?
冬夜にはサキュバスとしての魅力じゃなくて、私自身――夢乃のぞみを好きになってほしい。
「やっぱり、真白みたいな清楚系が好きなのかなぁ……」
はらりと箱から落ちた水着を拾い上げる。
希望の見たことが無い水着。またお母さんの水着か――でも、お母さんの趣味ではない。お母さんの趣味は派手派手だ。
手紙と雑誌が同封されている。
『男の子の趣味に合わせるのもいい女の努めよ♡ アンタ、シンプルな作りの水着買ってないでしょ。適当に見繕っておきました。
あと、水着はロケーションも大切だから、いいスポットも見繕っておきました。
早く孫の顔を見せてください。
いい男捕まえるのよ♡
ママより』
色々と過程をすっ飛ばしてはいるが、感謝。ありがとうお母さん!!
試着会、再会だ! でも何か忘れてるような……………ま、いいか。
って、水着のサイズが合わない! 見栄張ってワンサイズ上を申告していた弊害がぁ……
試着会は深夜――朝まで続いた。
翌日、先生にこってり絞られるたのは言うまでもない。
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