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恐怖の学園編

人間研究部の危機④

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 どうしようコレ……

 希望は手に持った封筒を見つめる。
 差出人は土田陽水つちだようすい
 知らないな――正確には覚えていない。
 封筒の中の手紙には、

 好きです。早く会いたい。
 君のことを考えていると胸がギュと締め付けられるようです。
 約束のデートの日を待っています。

 約束のデート? 希望には心当たりが……あった。
 というより心当たりが多すぎて、誰とどんな約束をしたのか覚えていない。

 冬夜と出会う少し前。
 希望は誰彼かまわず誘惑していた。
 真白に対抗して男子生徒を手当たり次第、片っ端から誘惑していた。
 その際に、デートをしてあげる、なんてことを口走った気がする。
 しかもそんな事を言った相手は、両手の指じゃ足りないほどの数がいた。

 しかし問題はそこではない。
 ここまでなら、過去の過ち程度の事しか思わない。問題は同封されていた写真だった。
 完全なプライベートショット――盗撮写真である。

 手紙にはPSとあり、

 放課後、校舎裏で待っています。独りで来てください。

 と続いていた。

(コレって完全なストーカーじゃん)

 心配を掛けまいと、誰にも見られないよう一日鞄にしまって過ごした。


 放課後。
 人間研究部の活動に参加。
 冬夜と一緒にいられるだけで希望の幸福中枢は満たされた。
 幸福感に満たされると同時に手紙の存在をすっかり忘れてしまっていた。


 翌日。

 下駄箱に封筒。

(ラブレター?)

 差出人は土田――、
 その先は見なくとも分かった。

 完全に忘れてた。
 手紙を読むと、約束を破るだなんて、と怒っているのが嫌というほど伝わってきた。

 そして今回も写真が同封されていた。
 また盗撮写真か……って違う!!?
 写真は希望のセクシーショット。
 簡潔に言えばエッチな写真だ。

 女子更衣室での着替えシーンに、希望の自室での写真もある。
 さすがに気持ち悪い。
 加えて手紙の最後には、この写真をばらまかれたくなかったら校舎裏に来い、と書かれていた。
 最早これはラブレターなどではない。脅迫状である。

 冬夜にこんな写真見られるわけにはいかない。
 自分で見せるのであれば兎も角、隠し撮り写真を見られるなんて恥ずかしすぎる。

「ごめん。私ちょっと用事がって」

 希望は部室を出る。

「ちょっと、希望ちゃん!? 締め切りは……」

 真白が呼び止める声がしたが、希望は振り返らなかった。

 これは自分の問題だ。自分の手で解決する。
 みんなの手は借りない。心に誓い、希望は校舎裏へと向かった。

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