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第二章 レーナス帝国編
第80話 大魔境へ
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◇ 聖王国 防衛都市ガズール ◇
「旦那、こんなにいいんですかい?」
「ああ、取っておいてくれ。突然頼んでこんなに遠くまで付き合ってくれた詫びだ。帰りの護衛を雇うのに役立ててくれ。」
私たちは帝国軍の追撃を振り切って、とうとう大魔境に最も近い都市ガズールへと辿り着いた。
馬車屋のヘインには多めの報酬を渡し、祖国に帰って貰った。
ガズールは、大魔境からの守りの拠点であり、魔物の侵攻に備えて厳重な防備が施されていた。
城壁には弩が備えられ、街中には騎士や兵士が巡回していた。
私たちはこれからあの大魔境を攻略しようとしている。しっかりと準備を整えてから出発しようと思う。
街では武器や防具を新調し、ポーションや魔法ポーション、食糧などを充分に購入しておいた。
幸いレベル7まで上がっていた異空庫は、かなりの容量を保管できるようになっており、異次元空間内の時間停止の効果が発動されるようになった。
お陰で食料や討伐魔物の品質劣化を心配しなくて良くなり、利便性が向上したのであった。
◇ 宿屋 漫遊 ◇
「ちょっと待て!タキモト!何故お前まで同室に?ちゃんともう一部屋取ってあるだろう!」
「ちょっと先輩!そんな悲しいこと言わないでくださいよ!ジュリアばかりズルいじゃないですかぁ?」
(またこのパターンか…。ジュリアといい、タキモトといい。ああ…頭が痛くなってきた。)
「リーナ、私とジンさんが同室なのは決定事項なんですっ!どうしてもと言うなら許可してあげてもいいですけど!?」
「何故にマウントポジション?私は可愛い可愛い後輩枠なんだからね!」
その晩、宿屋では同衾しようと企む輩が追加された。
私としては、男としての魅力が得られなかった前世と違い、嬉しい限りだが、これはこれで大変なのである。
「はぁ…。わかった、わかったから。」
私は結局、緊張によって身動き取れずに、眠れぬ夜を過ごすことになったのであった。
◇ 大魔境 ◇
「ジュリア、タキモト!連携して倒すぞ!」
「はい!」「了解!」
私たちは大魔境に入って二日を過ごした。未だ目的地である『ネフィスの泉』には到着できていない。
それどころか、強力な魔物との戦いを強いられて確実に疲労は蓄積されていたのである。
目前には、オーガと呼ばれる魔物がいる。背丈は私よりも高く、体つきは逞しく、顔は非常に恐ろしい。
まさにイメージしている鬼の形相であった。
「緑の力よ、相手を拘束せよ!『バインド!』」
ジュリアの魔法により、オーガの行動が封じられる。
「グルァァァ!」
しかし、大声を上げながらオーガは暴れ出してジュリアによる魔法の蔓を引きちぎる。
「うわぁ、凄い馬鹿力!流石は大魔境の魔物ね?なら、これはどう?ブリザード!」
タキモトの得意な水魔法『ブリザード』による攻撃がオーガに放たれた。
オーガは瞬間的にこれを回避するが、左足に魔法が命中したことで、足が動かなくなっている。
「ナイス!ジュリア!タキモト!後は任せろ!『オーラブレイド!』からの『四神斬!』」
《ザン!ザン!ザン!ザン!》
「ギャァァァァ!」
私は『オーラブレイド』によって剣の強度や斬れ味を向上させ、必殺の剣技『四神斬』にてトドメを刺した。
〘レベルが134に向上しました。〙
まだまだレベルは上がり続けていた。
ジュリアは102、タキモトは94になっており、私たちは恐ろしい大魔境でも何とか頑張っている。
これから三回目の野営となる。夜も魔物が現れるが、交替番で睡眠が取れるので休みはなんとか取れている。
大魔境は広大で険しい地形が続いており、道に迷いやすい。
魔物は種類も多く、強さもバラバラだ。一部の魔物は知能が高く、罠や魔法を使ってくる。
私たちは常に警戒しながら進んできた。
徒歩で広大な大魔境を探索するため、目的地のネフィスの泉には未だ辿りつかない。
(明日には辿り着きたいものだ。)
そう思いながら目を閉じたのであった…。
「旦那、こんなにいいんですかい?」
「ああ、取っておいてくれ。突然頼んでこんなに遠くまで付き合ってくれた詫びだ。帰りの護衛を雇うのに役立ててくれ。」
私たちは帝国軍の追撃を振り切って、とうとう大魔境に最も近い都市ガズールへと辿り着いた。
馬車屋のヘインには多めの報酬を渡し、祖国に帰って貰った。
ガズールは、大魔境からの守りの拠点であり、魔物の侵攻に備えて厳重な防備が施されていた。
城壁には弩が備えられ、街中には騎士や兵士が巡回していた。
私たちはこれからあの大魔境を攻略しようとしている。しっかりと準備を整えてから出発しようと思う。
街では武器や防具を新調し、ポーションや魔法ポーション、食糧などを充分に購入しておいた。
幸いレベル7まで上がっていた異空庫は、かなりの容量を保管できるようになっており、異次元空間内の時間停止の効果が発動されるようになった。
お陰で食料や討伐魔物の品質劣化を心配しなくて良くなり、利便性が向上したのであった。
◇ 宿屋 漫遊 ◇
「ちょっと待て!タキモト!何故お前まで同室に?ちゃんともう一部屋取ってあるだろう!」
「ちょっと先輩!そんな悲しいこと言わないでくださいよ!ジュリアばかりズルいじゃないですかぁ?」
(またこのパターンか…。ジュリアといい、タキモトといい。ああ…頭が痛くなってきた。)
「リーナ、私とジンさんが同室なのは決定事項なんですっ!どうしてもと言うなら許可してあげてもいいですけど!?」
「何故にマウントポジション?私は可愛い可愛い後輩枠なんだからね!」
その晩、宿屋では同衾しようと企む輩が追加された。
私としては、男としての魅力が得られなかった前世と違い、嬉しい限りだが、これはこれで大変なのである。
「はぁ…。わかった、わかったから。」
私は結局、緊張によって身動き取れずに、眠れぬ夜を過ごすことになったのであった。
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「ジュリア、タキモト!連携して倒すぞ!」
「はい!」「了解!」
私たちは大魔境に入って二日を過ごした。未だ目的地である『ネフィスの泉』には到着できていない。
それどころか、強力な魔物との戦いを強いられて確実に疲労は蓄積されていたのである。
目前には、オーガと呼ばれる魔物がいる。背丈は私よりも高く、体つきは逞しく、顔は非常に恐ろしい。
まさにイメージしている鬼の形相であった。
「緑の力よ、相手を拘束せよ!『バインド!』」
ジュリアの魔法により、オーガの行動が封じられる。
「グルァァァ!」
しかし、大声を上げながらオーガは暴れ出してジュリアによる魔法の蔓を引きちぎる。
「うわぁ、凄い馬鹿力!流石は大魔境の魔物ね?なら、これはどう?ブリザード!」
タキモトの得意な水魔法『ブリザード』による攻撃がオーガに放たれた。
オーガは瞬間的にこれを回避するが、左足に魔法が命中したことで、足が動かなくなっている。
「ナイス!ジュリア!タキモト!後は任せろ!『オーラブレイド!』からの『四神斬!』」
《ザン!ザン!ザン!ザン!》
「ギャァァァァ!」
私は『オーラブレイド』によって剣の強度や斬れ味を向上させ、必殺の剣技『四神斬』にてトドメを刺した。
〘レベルが134に向上しました。〙
まだまだレベルは上がり続けていた。
ジュリアは102、タキモトは94になっており、私たちは恐ろしい大魔境でも何とか頑張っている。
これから三回目の野営となる。夜も魔物が現れるが、交替番で睡眠が取れるので休みはなんとか取れている。
大魔境は広大で険しい地形が続いており、道に迷いやすい。
魔物は種類も多く、強さもバラバラだ。一部の魔物は知能が高く、罠や魔法を使ってくる。
私たちは常に警戒しながら進んできた。
徒歩で広大な大魔境を探索するため、目的地のネフィスの泉には未だ辿りつかない。
(明日には辿り着きたいものだ。)
そう思いながら目を閉じたのであった…。
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