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第二章 レーナス帝国編
第78話 脱出
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◇ ラボ Eブロック研究室 ◇
「六号!一体何をしようとしているのじゃ!」
白髪の研究者はタキモトの登場に動揺し、声を荒げた。
「それはね…『水・肆式:水刃!』」
《パキンッ!》
タキモトは、ジンディオールと親交が厚かったリーナの姿で私の前に現れた。彼女はリーナの体に転生していたのだ。
そして、彼女はリーナの持つ魔剣士スキルの一つ『水刃』という技を使用して、私の拘束具を破壊してくれた。
おかげで私は、ようやく体の自由を取り戻したのである。
「サンキュー!タキモト!」
「えへへ。そう言う風に呼んで貰えるの久しぶり!」
「よし!とっとと脱出するぞ!まずは、ジュリアの拘束を解かないと。『衝斬!』」
《バキッ!》
私は習得している剣技である『衝斬』でジュリアの拘束具を破壊した。
「あっ!お前たち!何ということを!その拘束具は高価な素材でできておるのに…。」
狼狽えるゴンゾーを横目にジュリアを抱き抱えた。ジュリアは眠り薬の作用でまだ眠ったままだった。
「おい!こら!逃げるな!」
「変態の先生!悪いけど、私たちまだやることがあるから帰るね!バイバイ!」
「バイバイ??あっ、せっかくの実験体が…。おい!お前たち何を突っ立って眺めておる!直ちに捕獲しろ!」
ゴンゾーは他の技師たちに声を掛け、私たちを捕獲するように命令した。
「タキモト!私はこの通り両手が塞がっている。任せたぞ!」
「ぶぅ!私も先輩に抱っこして欲しかったのにぃー!」
「この状況で無茶言うなって!」
命令された技師たちは、手に不思議な道具を手にしてこちらに向かって来た。
道具は僅かに放電しているように見える。日本で言うスタンガンのような物だろうか…。
「何か危ない物を持っているね!じゃあ、これでいこう。『ブリザード!』」
タキモトのかざした両手からは、極寒の風がゴンゾーや技師たちに吹き付けた。
「うわぁ!寒い!」「さ、寒い!こ、凍りそうだ!」「今のはまさか!?うぅ…六号!よくもやってくれたな!」
ゴンゾーや技師たちはブリザードの効果に驚き混乱しているようだ。ゴンゾーの怒鳴り声だけが辺りに響いている。
次第にゴンゾーたちは、凍り付いて動かなくなったのだった。
「凄い…。タキモト、それって魔法なのか?魔剣士のお前が魔法を使えるなんて…。」
「えへへ。旅をしていくうちに使えるようになったんですよ。」
ゴンゾーたちの襲撃を回避した私たちは、難なくラボから脱出したのであった。
◇ 帝都ベルハイム 繁華街 ◇
「先輩!早く!急いで!!」
「わかっている!このまま帝都を脱出するぞ!タキモト、お前は馬車屋のヘインの所へ行き、聖王国まで乗せて貰うように頼んでくれ!金貨10枚が入っている。渡してくれ!A-4で待っている。」
「あいあいさー!」
私はジンディオールの記憶からヘインのことを思い出した。咄嗟の判断だったが、タキモトもリーナの記憶があるだろうから問題はないだろう。
日本人の私たちが異世界でこんなことになっているなんて何だか不思議に思ってしまう。
(何だかおかしなことになっているな。日本人の私たちが、見知らぬヘイルのことで理解を共有できてしまうなんて…。)
ジュリアを抱えながら思わず笑がこぼれていた。
「あっ!ジンさんが笑っている…。」
「えっ…!?」
声に驚き下を見ると、私を見上げるジュリアと目が合った。どうやら既に目覚めていたようだ。
「起きていたのか。」
「はい。せっかくジンさんに抱き抱えられているので、バレないように静かにしてました。」
(うわぁ。愛いやつめ!)
「仲間のタキモトに馬車を手配してもらっている。すぐに帝都をでるぞ!」
「はい!」
私はタキモトとの合流場所に向かう。『A-4』と指定した場所だ。
魔剣士隊では、暗号として場所を記号などに変えて伝えるようにしていた。
A-4とは、ジンディオールたちが時々行っていた酒場『ガンゴル』のことだった。
「おーい!ジン先輩!」
ガンゴル前には、ヘインの馬車を確保したタキモトの姿があった。彼女は問題なく任務を成功させたようだ。
私たちは馬車に乗り込み、すぐさま帝都を後にしたのであった…。
「六号!一体何をしようとしているのじゃ!」
白髪の研究者はタキモトの登場に動揺し、声を荒げた。
「それはね…『水・肆式:水刃!』」
《パキンッ!》
タキモトは、ジンディオールと親交が厚かったリーナの姿で私の前に現れた。彼女はリーナの体に転生していたのだ。
そして、彼女はリーナの持つ魔剣士スキルの一つ『水刃』という技を使用して、私の拘束具を破壊してくれた。
おかげで私は、ようやく体の自由を取り戻したのである。
「サンキュー!タキモト!」
「えへへ。そう言う風に呼んで貰えるの久しぶり!」
「よし!とっとと脱出するぞ!まずは、ジュリアの拘束を解かないと。『衝斬!』」
《バキッ!》
私は習得している剣技である『衝斬』でジュリアの拘束具を破壊した。
「あっ!お前たち!何ということを!その拘束具は高価な素材でできておるのに…。」
狼狽えるゴンゾーを横目にジュリアを抱き抱えた。ジュリアは眠り薬の作用でまだ眠ったままだった。
「おい!こら!逃げるな!」
「変態の先生!悪いけど、私たちまだやることがあるから帰るね!バイバイ!」
「バイバイ??あっ、せっかくの実験体が…。おい!お前たち何を突っ立って眺めておる!直ちに捕獲しろ!」
ゴンゾーは他の技師たちに声を掛け、私たちを捕獲するように命令した。
「タキモト!私はこの通り両手が塞がっている。任せたぞ!」
「ぶぅ!私も先輩に抱っこして欲しかったのにぃー!」
「この状況で無茶言うなって!」
命令された技師たちは、手に不思議な道具を手にしてこちらに向かって来た。
道具は僅かに放電しているように見える。日本で言うスタンガンのような物だろうか…。
「何か危ない物を持っているね!じゃあ、これでいこう。『ブリザード!』」
タキモトのかざした両手からは、極寒の風がゴンゾーや技師たちに吹き付けた。
「うわぁ!寒い!」「さ、寒い!こ、凍りそうだ!」「今のはまさか!?うぅ…六号!よくもやってくれたな!」
ゴンゾーや技師たちはブリザードの効果に驚き混乱しているようだ。ゴンゾーの怒鳴り声だけが辺りに響いている。
次第にゴンゾーたちは、凍り付いて動かなくなったのだった。
「凄い…。タキモト、それって魔法なのか?魔剣士のお前が魔法を使えるなんて…。」
「えへへ。旅をしていくうちに使えるようになったんですよ。」
ゴンゾーたちの襲撃を回避した私たちは、難なくラボから脱出したのであった。
◇ 帝都ベルハイム 繁華街 ◇
「先輩!早く!急いで!!」
「わかっている!このまま帝都を脱出するぞ!タキモト、お前は馬車屋のヘインの所へ行き、聖王国まで乗せて貰うように頼んでくれ!金貨10枚が入っている。渡してくれ!A-4で待っている。」
「あいあいさー!」
私はジンディオールの記憶からヘインのことを思い出した。咄嗟の判断だったが、タキモトもリーナの記憶があるだろうから問題はないだろう。
日本人の私たちが異世界でこんなことになっているなんて何だか不思議に思ってしまう。
(何だかおかしなことになっているな。日本人の私たちが、見知らぬヘイルのことで理解を共有できてしまうなんて…。)
ジュリアを抱えながら思わず笑がこぼれていた。
「あっ!ジンさんが笑っている…。」
「えっ…!?」
声に驚き下を見ると、私を見上げるジュリアと目が合った。どうやら既に目覚めていたようだ。
「起きていたのか。」
「はい。せっかくジンさんに抱き抱えられているので、バレないように静かにしてました。」
(うわぁ。愛いやつめ!)
「仲間のタキモトに馬車を手配してもらっている。すぐに帝都をでるぞ!」
「はい!」
私はタキモトとの合流場所に向かう。『A-4』と指定した場所だ。
魔剣士隊では、暗号として場所を記号などに変えて伝えるようにしていた。
A-4とは、ジンディオールたちが時々行っていた酒場『ガンゴル』のことだった。
「おーい!ジン先輩!」
ガンゴル前には、ヘインの馬車を確保したタキモトの姿があった。彼女は問題なく任務を成功させたようだ。
私たちは馬車に乗り込み、すぐさま帝都を後にしたのであった…。
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