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第二章 レーナス帝国編
第75話 ラボの独房にて
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◇ 帝国軍事施設内『ラボ』 ◇
「はっ!ここは?」
目を覚ました私は、周囲を見回した。
記憶が断片的だったが、ジンディオールが軍司令のザナクゥに敗北したことは、深層意識に刻まれていた。
ジンディオールは、制限により機能を停止したのだろう。そのおかげで私の意識が回復したのだ。
身体はあちらこちらに打撲痕が残っており、全身に激痛が走る。
「いつつつ…。」
痛みは酷かったが、命に別状はなさそうだった。
薄暗く冷んやりした部屋は、格子が張り巡らされていた。ここが独房だということはすぐにわかった。
私の近くにはジュリアが横たわっていた。彼女はまだ目を覚ましていないようだった。
「クソッ!やはりここは…。」
「ヒッヒッヒッ!お目覚めですか?坊ちゃん。」
格子の前に白衣を纏った白髪の老人が現れた。彼の顔には見覚えがあった。私ではなく、ジンディオールの記憶からだ。
「お前は、ゴンゾー!」
「はい。亡くなったと聞いておりましたので、また再会できて光栄ですじゃ。」
「お前がここにいるということは、ここは…。」
「はい。ラボですじゃ。」
「やはりそうか…。」
ザナクゥに敗れた際に、ラボに連れて行くようなことを言われたのを思い出した。
ザナクゥは、最初からこの状況を想定して私たちと対峙したのだろう。
「私たちをどうするつもりだ!」
「そうですなぁ。閣下からは言う通りに動く、最強の兵器を作るように任されていますのじゃ。」
(確かコイツは、ジンディオールに『魔剣士:極』を与えた天才であるが、常軌を逸するマッドサイエンティストでもあるんだよなぁ。このままこの男の好きにさせるのは危険だ…。)
「改造までは準備にもう数日は掛かるのですじゃ。申し訳ないですが、しばらくはここで過ごして欲しいですじゃ。」
そう言い残してゴンゾーは背を向けて立ち去った。
「ジンさん…?」
ジュリアが目を覚ました。
「ジュリア!大丈夫かい?」
「ええ。首の辺りがまだ痛いですけど…。あっ!ジンさんは全身凄い怪我が…。待っていて下さい。」
「聖なる光よ!傷を癒したまえ!『ハイヒール!』」
暖かな光が私の身体を優しく包み込んで、傷を癒してくれた。その後、ジュリアは自らの首の痛みも治療した。
「これがハイヒールの効果か。傷や損傷した所が完治したようだ。素晴らしいな。ありがとう、ジュリア!」
「えへへ。ジンさんに褒められると照れますね。」
照れているジュリアの姿はとても可愛らしく映ったが、今はそれどころではなかった。
「ジュリア。ここは危険だ!私たちはこのままでは軍事兵器として改造されてしまうかも知れない…。」
「え!?どうしましょう?」
「ここは独房のようだ。格子の扉の鍵を入手するか、思い切って格子そのものを破壊して脱出するしかない。」
「はい。でも鍵を手に入れるのは難しいのでは…?」
「恐らくはゴンゾーが持っているだろうからね。破壊するしかないだろう。ちょっと離れていてくれ。」
ジュリアには危険が及ばないように移動して貰い、私は実力行使で独房を破壊することにした。
「『剛腕!』はぁぁぁぁぁ!」
腕力を高めて格子を捻じ曲げて脱出しようと試みた。しかし…。
《ビビビビビ!》
「うぐぁぁぁぁ!」
格子に触れた途端に強力な電気が全身を駆け巡り、痙攣しながら床に倒れ込んだ。
「ジンさん!大丈夫ですか!?」
私は再びジュリアの回復の世話を受けることになった。どうやらゴンゾーは、脱出できないように格子に強力な電気を流していたのだろう。
この世界で電気は意外過ぎるが、ゴンゾーであれば有りうるだろうと納得してしまう。
その後、ジュリアの魔法攻撃や、魔煌列斬などの遠距離攻撃も試したが、対策が施されており、結局突破できずにいた。
力を消耗した私たちは、この日は何も解決できずに独房の中で過ごすことになったのであった…。
「はっ!ここは?」
目を覚ました私は、周囲を見回した。
記憶が断片的だったが、ジンディオールが軍司令のザナクゥに敗北したことは、深層意識に刻まれていた。
ジンディオールは、制限により機能を停止したのだろう。そのおかげで私の意識が回復したのだ。
身体はあちらこちらに打撲痕が残っており、全身に激痛が走る。
「いつつつ…。」
痛みは酷かったが、命に別状はなさそうだった。
薄暗く冷んやりした部屋は、格子が張り巡らされていた。ここが独房だということはすぐにわかった。
私の近くにはジュリアが横たわっていた。彼女はまだ目を覚ましていないようだった。
「クソッ!やはりここは…。」
「ヒッヒッヒッ!お目覚めですか?坊ちゃん。」
格子の前に白衣を纏った白髪の老人が現れた。彼の顔には見覚えがあった。私ではなく、ジンディオールの記憶からだ。
「お前は、ゴンゾー!」
「はい。亡くなったと聞いておりましたので、また再会できて光栄ですじゃ。」
「お前がここにいるということは、ここは…。」
「はい。ラボですじゃ。」
「やはりそうか…。」
ザナクゥに敗れた際に、ラボに連れて行くようなことを言われたのを思い出した。
ザナクゥは、最初からこの状況を想定して私たちと対峙したのだろう。
「私たちをどうするつもりだ!」
「そうですなぁ。閣下からは言う通りに動く、最強の兵器を作るように任されていますのじゃ。」
(確かコイツは、ジンディオールに『魔剣士:極』を与えた天才であるが、常軌を逸するマッドサイエンティストでもあるんだよなぁ。このままこの男の好きにさせるのは危険だ…。)
「改造までは準備にもう数日は掛かるのですじゃ。申し訳ないですが、しばらくはここで過ごして欲しいですじゃ。」
そう言い残してゴンゾーは背を向けて立ち去った。
「ジンさん…?」
ジュリアが目を覚ました。
「ジュリア!大丈夫かい?」
「ええ。首の辺りがまだ痛いですけど…。あっ!ジンさんは全身凄い怪我が…。待っていて下さい。」
「聖なる光よ!傷を癒したまえ!『ハイヒール!』」
暖かな光が私の身体を優しく包み込んで、傷を癒してくれた。その後、ジュリアは自らの首の痛みも治療した。
「これがハイヒールの効果か。傷や損傷した所が完治したようだ。素晴らしいな。ありがとう、ジュリア!」
「えへへ。ジンさんに褒められると照れますね。」
照れているジュリアの姿はとても可愛らしく映ったが、今はそれどころではなかった。
「ジュリア。ここは危険だ!私たちはこのままでは軍事兵器として改造されてしまうかも知れない…。」
「え!?どうしましょう?」
「ここは独房のようだ。格子の扉の鍵を入手するか、思い切って格子そのものを破壊して脱出するしかない。」
「はい。でも鍵を手に入れるのは難しいのでは…?」
「恐らくはゴンゾーが持っているだろうからね。破壊するしかないだろう。ちょっと離れていてくれ。」
ジュリアには危険が及ばないように移動して貰い、私は実力行使で独房を破壊することにした。
「『剛腕!』はぁぁぁぁぁ!」
腕力を高めて格子を捻じ曲げて脱出しようと試みた。しかし…。
《ビビビビビ!》
「うぐぁぁぁぁ!」
格子に触れた途端に強力な電気が全身を駆け巡り、痙攣しながら床に倒れ込んだ。
「ジンさん!大丈夫ですか!?」
私は再びジュリアの回復の世話を受けることになった。どうやらゴンゾーは、脱出できないように格子に強力な電気を流していたのだろう。
この世界で電気は意外過ぎるが、ゴンゾーであれば有りうるだろうと納得してしまう。
その後、ジュリアの魔法攻撃や、魔煌列斬などの遠距離攻撃も試したが、対策が施されており、結局突破できずにいた。
力を消耗した私たちは、この日は何も解決できずに独房の中で過ごすことになったのであった…。
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