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第二章 レーナス帝国編
第68話 ジンを探して(タキモト視点)
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◇ 冒険者ギルド フェルナンド支部 ◇
「こんにちは!いらっしゃいませ!」
(ああ、この猫耳の職員さんってカワイイんだよね。あのお耳を触ってみたい!あっ…いけない。報告に来たんだったわ。)
「こんにちは!ホセ村の依頼終わりました。」
「はい。ありがとうございます。村長さんからの達成証明書はありますか?」
「はい、これです!」
私は異能である『異空庫』からホセ村の村長さんから頂いた書類を取り出した。
「えっ!今のは…!?」
「ん??ああ、今のはね『異空庫』って特殊な能力なんだ。はい、これ!」
村長さんからの書類を手渡した。
「は、はい。確かに。ではなくて、あなたもその能力を?」
「えっ?そんなに珍しい能力なの?」
「そうですね。マジックバッグという古代魔道具なら私も見たことはあります。スキルで使っている方はお一人しか知りませんよ。」
「ふーん。そうなんですね!」
「失礼しました。では、手紙を改めてさせて…。え、ええ!イカリアですって!?」
「お姉さん、どうかしたの?」
「あの…海の悪魔イカリアをお一人で倒されたんですか?」
「まあ、依頼だったし、そうですけど?」
「ヒソヒソ…。あのう…そのイカリアの素材ってその『異空庫?』に保管してあったりしますか?」
「ああ、イカリアね!村人と半分くらい食べちゃったけど、まだ残ってますよ!もしかして、お姉さんもイカ焼きが食べたいのかな?」
「食べ…ええ??食べたんですか?何かまた凄い方が…。あのちょっと来て頂いても?」
「ええ?私、何か悪いことしちゃったかなぁ?」
「違うんです!お願いします!」
「あっ!ちょっと…。」
猫耳のお姉さんに連れられてギルドの奥の部屋に案内されたのだった…。
◇ ギルド解体場 ◇
「サニー!ホントにイカリアだって言ったのか?」
「ジンさんと同じ異能持ちみたいなので、ここで確認を…。」
私は解体場と言われる場所に連れていかれた。
私が入口付近で待っていると、奥の方で職員の方々が話をする声が聞こえた。
(え…。またジンさんの名前が。先輩…。ここに来ていたんだ。いや、まだジンさんが先輩なのかはわからないけど…。)
「なんだい!サニー!突然呼び出したりして…。あっ、アンタはこないだの…。」
入口から別の方が現れた。マッチョな肉体を主張しているのは、言わずもがなギルマスのランピヨさんだった。
「あっ、ギルマスさん!こんにちは!」
「ああ…。あれ?他にはいないのか?おい!サニー!いるんだろ?」
「はーい!」
猫耳のお姉さんはサニーさんと言うらしい。そして、サニーさんの後ろからは体格のいいおじさんがやってきた。
「それで、私とヒースに何を見せようとしているんだい?」
ランピヨさんがサニーさんに質問した。
「はい。ではリーナさん、イカリアの素材を出して頂けますか?」
「あ、はい。いいですよ!『異空庫!』イカリアの素材っと!」
《シュンッ!》
イカ焼きにしたので体の一部が欠損しているが、残ったイカリアの死体を床に移動させた。
「いまのは!?それにそれは…!」
ギルマスのランピヨさんは驚き、声を上げた。
「おいおい!ぶったまげたな!海の悪魔を倒してきやがった!」
私以外の全員がイカリアの死体に驚いた顔をしていた。
「あの…。そんなに驚くことですか?」
私は疑問に思って質問した。
「はぁ…この子は天然なのかい?」
ギルマスのランピヨさんが呆れた顔で答えた。
「良く聞きな。この魔物は、最低でもランクC。本来ならランクBの冒険者が対応する案件なのよ。あなたのランクは?」
「Dですけど?」
「はぁ…。やはりね。本来ならあってはならないことだわ。どうやらギルドと村長との間での情報に不備があったんだわ。今回はあなたで良かったけど、普通のDランクなら殺されていたわよ。」
「そうだったんですか…なんかすみません。」
「あなたが謝ることではないわ。これはギルドとマスターである私の失態よ。こちらこそ、本当にごめんなさい。」
(ランピヨさん、謝りながらポーズしている…。個性的過ぎる…。)
「嬢ちゃんも『異次元空間収納』だったか?使えるんだな?最近ヤバい奴ばかり現れるな。」
「やっぱり…ジンさんですか?」
「アンタ…。ジンを知っているのかい?」
「ええ。訳あって探しているんです。」
私は、おじさんとサニーさんの会話を聞いていたのでジンさんが関係しているのがわかっていた。
「なるほど…。アンタもジンと似たような匂いがするわね。」
「クンクンッ!そうですか?」
「アハハ!アンタやっぱり天然でしょ?」
「よく言われます。アハハ…。」
「私たちもジンは気に入っていて、ずっと戻ってきて貰いたいとは思っているんだが、魔湖の依頼でバネーロに行ってからそのまま帰って来ないんだよ。」
「もう、イースランにはいないんですね?」
「ああ。同じ魔湖に参加した冒険者からは、更に北に行くと言っていたそうだ。多分今頃は、聖王国か、もっと北の…今は帝国の属国になったサマルト法国あたりかもね。」
「ああ、完全に入れ違いだぁ…。」
今までの苦労を考えるとショックを受けて肩を落としてしまうのだった。
「そうガッカリしなさんな!ヒース!アンタからあんだろ?」
「ああ。そのイカリアだが、その目は貴重な治療薬になるから高額で取引されるんだ。目玉だけで金貨十枚で引き取るぜ!どうだ?」
「売ります!」
「おっ!現金な子ね?急に元気になったよ。ついでに受けていくかい?ランクアップ試験。」
「うーん…。どうしようかな…。」
◇ ◇ ◇
私は依頼報酬とイカリアの素材を合わせた金額12枚と、Cランクの冒険者カードを貰い、旅立った。
ランクアップ試験は、模擬戦ということで少し迷ったが、直ぐに終わるとのことでやることにした。
相手はターザと言う名の冒険者だったが、特に苦戦することなく圧勝し、ランクアップを果たした。
まずは、自由同盟国家サリを経由して聖王国に向かおう…。
私の新たな旅立が始まったのだった。
「こんにちは!いらっしゃいませ!」
(ああ、この猫耳の職員さんってカワイイんだよね。あのお耳を触ってみたい!あっ…いけない。報告に来たんだったわ。)
「こんにちは!ホセ村の依頼終わりました。」
「はい。ありがとうございます。村長さんからの達成証明書はありますか?」
「はい、これです!」
私は異能である『異空庫』からホセ村の村長さんから頂いた書類を取り出した。
「えっ!今のは…!?」
「ん??ああ、今のはね『異空庫』って特殊な能力なんだ。はい、これ!」
村長さんからの書類を手渡した。
「は、はい。確かに。ではなくて、あなたもその能力を?」
「えっ?そんなに珍しい能力なの?」
「そうですね。マジックバッグという古代魔道具なら私も見たことはあります。スキルで使っている方はお一人しか知りませんよ。」
「ふーん。そうなんですね!」
「失礼しました。では、手紙を改めてさせて…。え、ええ!イカリアですって!?」
「お姉さん、どうかしたの?」
「あの…海の悪魔イカリアをお一人で倒されたんですか?」
「まあ、依頼だったし、そうですけど?」
「ヒソヒソ…。あのう…そのイカリアの素材ってその『異空庫?』に保管してあったりしますか?」
「ああ、イカリアね!村人と半分くらい食べちゃったけど、まだ残ってますよ!もしかして、お姉さんもイカ焼きが食べたいのかな?」
「食べ…ええ??食べたんですか?何かまた凄い方が…。あのちょっと来て頂いても?」
「ええ?私、何か悪いことしちゃったかなぁ?」
「違うんです!お願いします!」
「あっ!ちょっと…。」
猫耳のお姉さんに連れられてギルドの奥の部屋に案内されたのだった…。
◇ ギルド解体場 ◇
「サニー!ホントにイカリアだって言ったのか?」
「ジンさんと同じ異能持ちみたいなので、ここで確認を…。」
私は解体場と言われる場所に連れていかれた。
私が入口付近で待っていると、奥の方で職員の方々が話をする声が聞こえた。
(え…。またジンさんの名前が。先輩…。ここに来ていたんだ。いや、まだジンさんが先輩なのかはわからないけど…。)
「なんだい!サニー!突然呼び出したりして…。あっ、アンタはこないだの…。」
入口から別の方が現れた。マッチョな肉体を主張しているのは、言わずもがなギルマスのランピヨさんだった。
「あっ、ギルマスさん!こんにちは!」
「ああ…。あれ?他にはいないのか?おい!サニー!いるんだろ?」
「はーい!」
猫耳のお姉さんはサニーさんと言うらしい。そして、サニーさんの後ろからは体格のいいおじさんがやってきた。
「それで、私とヒースに何を見せようとしているんだい?」
ランピヨさんがサニーさんに質問した。
「はい。ではリーナさん、イカリアの素材を出して頂けますか?」
「あ、はい。いいですよ!『異空庫!』イカリアの素材っと!」
《シュンッ!》
イカ焼きにしたので体の一部が欠損しているが、残ったイカリアの死体を床に移動させた。
「いまのは!?それにそれは…!」
ギルマスのランピヨさんは驚き、声を上げた。
「おいおい!ぶったまげたな!海の悪魔を倒してきやがった!」
私以外の全員がイカリアの死体に驚いた顔をしていた。
「あの…。そんなに驚くことですか?」
私は疑問に思って質問した。
「はぁ…この子は天然なのかい?」
ギルマスのランピヨさんが呆れた顔で答えた。
「良く聞きな。この魔物は、最低でもランクC。本来ならランクBの冒険者が対応する案件なのよ。あなたのランクは?」
「Dですけど?」
「はぁ…。やはりね。本来ならあってはならないことだわ。どうやらギルドと村長との間での情報に不備があったんだわ。今回はあなたで良かったけど、普通のDランクなら殺されていたわよ。」
「そうだったんですか…なんかすみません。」
「あなたが謝ることではないわ。これはギルドとマスターである私の失態よ。こちらこそ、本当にごめんなさい。」
(ランピヨさん、謝りながらポーズしている…。個性的過ぎる…。)
「嬢ちゃんも『異次元空間収納』だったか?使えるんだな?最近ヤバい奴ばかり現れるな。」
「やっぱり…ジンさんですか?」
「アンタ…。ジンを知っているのかい?」
「ええ。訳あって探しているんです。」
私は、おじさんとサニーさんの会話を聞いていたのでジンさんが関係しているのがわかっていた。
「なるほど…。アンタもジンと似たような匂いがするわね。」
「クンクンッ!そうですか?」
「アハハ!アンタやっぱり天然でしょ?」
「よく言われます。アハハ…。」
「私たちもジンは気に入っていて、ずっと戻ってきて貰いたいとは思っているんだが、魔湖の依頼でバネーロに行ってからそのまま帰って来ないんだよ。」
「もう、イースランにはいないんですね?」
「ああ。同じ魔湖に参加した冒険者からは、更に北に行くと言っていたそうだ。多分今頃は、聖王国か、もっと北の…今は帝国の属国になったサマルト法国あたりかもね。」
「ああ、完全に入れ違いだぁ…。」
今までの苦労を考えるとショックを受けて肩を落としてしまうのだった。
「そうガッカリしなさんな!ヒース!アンタからあんだろ?」
「ああ。そのイカリアだが、その目は貴重な治療薬になるから高額で取引されるんだ。目玉だけで金貨十枚で引き取るぜ!どうだ?」
「売ります!」
「おっ!現金な子ね?急に元気になったよ。ついでに受けていくかい?ランクアップ試験。」
「うーん…。どうしようかな…。」
◇ ◇ ◇
私は依頼報酬とイカリアの素材を合わせた金額12枚と、Cランクの冒険者カードを貰い、旅立った。
ランクアップ試験は、模擬戦ということで少し迷ったが、直ぐに終わるとのことでやることにした。
相手はターザと言う名の冒険者だったが、特に苦戦することなく圧勝し、ランクアップを果たした。
まずは、自由同盟国家サリを経由して聖王国に向かおう…。
私の新たな旅立が始まったのだった。
応援ありがとうございます!
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