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第二章 レーナス帝国編

第65話 ホセ村の依頼(タキモト視点)

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「うわぁ!すっごい田舎ねぇ!やっぱり村だもんね!」

 私は久しぶりに冒険者ギルドの依頼を受けて、イースラン公国最南端の村『ホセ村』を訪れた。

 最初は美しい大草原だったから、ルンルン気分で移動していたものの、言われた道通りに向かった先に『静寂せいじゃくの森』というジャングルのような場所に来た時は最悪だった。

 木が生いしげっていて薄暗くて、最初の『南の森』を思い出して気がっていた。

 それでも、すぐに森は脱出できずに野営して、ようやく静寂の森を抜けたのだった。

 森を抜けると遠くに海が見え、潮風が鼻をくすぐった。

 道沿いを歩くと集落が見えてきた。ここがホセ村なのだろう。

「こんにちは!」

 私はホセ村に入って、村人に挨拶をした。狼のような亜人さんで、『インフォ』で調べたら人狼じんろう族という種族の村であることがわかった。

「旅人さんかい?人がくるのは久しぶりだよ。村で休んでいくのかい?」

 親切そうなおじさんで良かった。新しい環境になると割とトラブルにおちいるので、ホッと胸をで下ろした。

「あの、ギルドの依頼です。村長さんはいますか?」

「ああ、あんたが…。わかった。案内しよう。」

 おじさんの案内で村長さんの家に向かった。

 村は公都とは比べ物にならないくらい、古風で質素な場所だった。

 建物は木造建築だろうが、所々くさりかかっていたり、穴が空いている家が多かった。

 村長さんの家に到着する。

「おーい!冒険者さんがきたぞ!」

「おー!入ってくれー!」

 私は村長の家にお邪魔した。

「失礼します…。」

「ほう…。エルフの冒険者さんは珍しいのぅ。良く参ったな。私はホセ村の村長をしておるライズじゃ、そんでこっちはアシュアじゃ。」

「こんにちは。冒険者のリーナ・タキモトです。」

「えっ!貴族さんかい?」

「いいえ。そっか…。こんな名前ですけど、一般人ですよ。」

「そうかい。最近は長い名前が流行はやっておるんかの…。」

「ん??」

「いや、こちらの話じゃ。実はこの村は見ての通り海の近くで暮らしておる。魚の漁が盛んなのだが、最近ちかくの海に魔物が住み着いたようでな。恐ろしくて漁ができないんじゃよ。」

 村長のライズさんが困り顔で話してくれた。

「魔物ですか…。一体どんな魔物ですか?」

 私が質問するともう一人の村人のアシュアさんが答えてくれた。

「白い身体で体長は4メートルくらいじゃった。沢山の触手のような物があって、危うく捕まりそうになった。波打ち際まで近寄ってくるから、子供たちをうかうか遊ばせることも出来ない状態だ。」

「それは大変ですね!わかりました!私に倒せるかわかりませんが、やれるだけやってみましょう!」

「おお!やってくれるか!?助かるぞ!」

「今日は間もなく日が落ちる。村で休まれるとよい。」

 この晩、村人に紹介されて酒盛りに加わることになった。

「リーナさんだったか?べっぴんさんだな!うちに嫁においで!」「いやー…それはどうかなぁ…。」

「いや!マルクのとこよりもウチの方がいい。馬も牛もいる。俺の方がリーナさんを幸せにできるさっ!」「えっ?そうなんですかぁ…えへへ。」

「いいや!ウチに…。」

(何か私、妙にモテてる??日本では有り得ないんですけど…。モテるって何か…素晴らしいわね!)

「アハハ!おもしろーい!」

 お酒が入って、私もだんだん村人との空気になじんできたようだ。

 この村特産の果実酒は公都でも人気らしく、とても美味しかった。

 村人と語り合い、夜は更けていったのであった…。
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