58 / 81
第一章 ジンディオールの復讐編
第58話 ふくろう渓谷の戦い(勝敗)
しおりを挟む
魔剣士隊と聖騎士団の戦いは、苛烈を極めていた。
聖王国側として戦うジンディオールは、魔剣士隊長であるフレイと一騎打ちを繰り広げていた。
二人の間には、気迫がぶつかり合うほどの緊張感が漂っていた。
そして、ジンディオールとフレイが刃を交えている頃、他の仲間たちは…。
◇ ◇ ◇
「ラシュホード!」「団長!!」「クソがぁぁ!!」
アッシュは、左手に聖騎士団長ラシュホードの首を掴んでいた。
魔剣士隊序列二位の男は、聖騎士団最強の男を倒したのだ。
しかし、アッシュも利き腕を失い、その戦いが過酷だったことは明らかだった。
バルトは、魔剣士隊序列三位のアランを倒したが、左腕と左足を失い、意識不明の重体となっていた。
Sランク冒険者ですら、僅かの差での勝利であり、魔剣士隊の強さは本物だった。
「バルト!死ぬな!絶対に助けてやるからさ!」
ギルマスのミサは、序列四位のカナックを氷づけにして勝利し、直ぐにバルトの治療に当たっていた。
《一方、ジュリアは…。》
「聖なる光よ、傷ついたこの身を癒したまえ!『ヒール!』」
ジュリアは、ゾフの攻撃によって負傷した右足を魔法で治癒した。
魔力増幅というユニークスキルのお陰で、瞬時に傷は回復していた。
「何だその異常な回復は!?やはり油断できない相手のようだな。隊長は良く言っていた。自分の想定を上回る強者がいるとな。もう油断しない!全力でお前を倒す!」
『土・陸式:アースソード!』
ゾフは、アースソードという技で数多くの岩剣を顕現させた。彼の背後には30本もの鋭い剣が浮かんでいた。
「これなら次は避けられまい。『剣よ!敵を刺し殺せ!』」
ゾフの合図で大量の岩剣がジュリアに向かって飛来した。
速度もその数も常軌を逸しており、ジュリアの足では回避は難しい。
『魔障壁!!』
岩剣が四方八方からジュリアの身体を貫こうとしていた所、ジュリアは魔法の結界をその身の周囲に構築したのである。
《バババババン!》
大きな激突音が鳴り響いた。
それは、魔障壁が無事機能し、岩剣が障壁に激突した音であった…。
激突した岩剣は、粉々になり瓦礫の山を築いたのである。
「俺のアースソードが全て防がれただと…!?馬鹿な!この女、一体何者なんだ?」
「緑の力よ、相手を拘束せよ!『バインド!』」
ジュリアは、相手が怯んだ隙を逃さずに、すぐに拘束魔法の「バインド」を使用した。
地面から伸びた強固なツルは、ゾフの四肢を直ちにに締め上げて、その自由を奪ったのである。
「しまった!これは!?動けない!畜生!放せ!」
「ごめんなさいね。あなたを倒さないと、私が倒されてしまうものね。他の方の手助けもしなくてはいけないし…。」
ジュリアは、ゆっくりと魔力を高め始めた。次の手で確実に終わらせるために…。
「や、やめろ!やめてくれ!こ、こうさん…。」
「水の礫よ、迸れ!『ウォーターショット!』」
《ピュピュピュピュピュピュン!》
「ぎゃああああ!!」
ジュアンに続いて魔剣士隊の新戦力は、その役割を終えたのであった…。
◇ ◇ ◇
残る副団長のカヌリュや、Sランク冒険者パーティ『雷光』の三名は、他の魔剣士隊と互角に戦闘を繰り広げていた。
更にはAランク冒険者のアーシャのサポートも入り、聖王国側がやや優位となっていた。
「くそ!こちらの方が人数的に劣勢だぞ!」
「ジュアンが殺されて補充がないのは痛い…。我々は本来は10名編成なのによ!」
「弱音吐いてんじゃねぇ!ゴラン!ヒューマンにボコられるぞ!」
「それだけは御免だぜ!『風・肆式:鎌鼬!』」
◇ ◇ ◇
「ミサさん!バルトさんは?」
「あ、ジュリア!よく来た。止血はしたよ。あたしゃ、回復はできないからアンタが頼りだよ。」
Sランク冒険者のバルトさんは、相手を何とか倒せたものの、左腕と左足を失い意識不明の重体であった。
「任せてください。あの…失った手足は?」
「これだよ!アンタなら治せるっしょ?」
「何とかやってみます。聖なる光よ、傷ついた者を癒したまえ!『ハイヒール!』」
ジュリアは、ミサに切断された手足を切断面に接着保持して貰った上で、レベルアップによって獲得した上位魔法『ハイヒール』を使用した。
「あ…切断された手足が…くっついちゃったよ!うそぉ!ってアンタそれ、上位魔法じゃん!」
「良かった!初めて使いましたが上手くできたようです。」
「ん…んん。あ、俺は一体…。あれれ?無くなった手足があるぞ!」
「おい!バルト!このジュリアがアンタを治したんだよ!感謝しな!面倒だけど他の仲間が苦戦してるっしょ。助けにいくよ!」
「お、おう!ジュリアだったか?恩にきるぞ!おい!ギルマス!待てって!」
ギルマスのミサと、見事回復したバルトは、仲間の応援に向かっていった。
「ジンさんは大丈夫かしら?」
別の場所に移動して戦っているジンのことが気になっているジュリアであった…。
聖王国側として戦うジンディオールは、魔剣士隊長であるフレイと一騎打ちを繰り広げていた。
二人の間には、気迫がぶつかり合うほどの緊張感が漂っていた。
そして、ジンディオールとフレイが刃を交えている頃、他の仲間たちは…。
◇ ◇ ◇
「ラシュホード!」「団長!!」「クソがぁぁ!!」
アッシュは、左手に聖騎士団長ラシュホードの首を掴んでいた。
魔剣士隊序列二位の男は、聖騎士団最強の男を倒したのだ。
しかし、アッシュも利き腕を失い、その戦いが過酷だったことは明らかだった。
バルトは、魔剣士隊序列三位のアランを倒したが、左腕と左足を失い、意識不明の重体となっていた。
Sランク冒険者ですら、僅かの差での勝利であり、魔剣士隊の強さは本物だった。
「バルト!死ぬな!絶対に助けてやるからさ!」
ギルマスのミサは、序列四位のカナックを氷づけにして勝利し、直ぐにバルトの治療に当たっていた。
《一方、ジュリアは…。》
「聖なる光よ、傷ついたこの身を癒したまえ!『ヒール!』」
ジュリアは、ゾフの攻撃によって負傷した右足を魔法で治癒した。
魔力増幅というユニークスキルのお陰で、瞬時に傷は回復していた。
「何だその異常な回復は!?やはり油断できない相手のようだな。隊長は良く言っていた。自分の想定を上回る強者がいるとな。もう油断しない!全力でお前を倒す!」
『土・陸式:アースソード!』
ゾフは、アースソードという技で数多くの岩剣を顕現させた。彼の背後には30本もの鋭い剣が浮かんでいた。
「これなら次は避けられまい。『剣よ!敵を刺し殺せ!』」
ゾフの合図で大量の岩剣がジュリアに向かって飛来した。
速度もその数も常軌を逸しており、ジュリアの足では回避は難しい。
『魔障壁!!』
岩剣が四方八方からジュリアの身体を貫こうとしていた所、ジュリアは魔法の結界をその身の周囲に構築したのである。
《バババババン!》
大きな激突音が鳴り響いた。
それは、魔障壁が無事機能し、岩剣が障壁に激突した音であった…。
激突した岩剣は、粉々になり瓦礫の山を築いたのである。
「俺のアースソードが全て防がれただと…!?馬鹿な!この女、一体何者なんだ?」
「緑の力よ、相手を拘束せよ!『バインド!』」
ジュリアは、相手が怯んだ隙を逃さずに、すぐに拘束魔法の「バインド」を使用した。
地面から伸びた強固なツルは、ゾフの四肢を直ちにに締め上げて、その自由を奪ったのである。
「しまった!これは!?動けない!畜生!放せ!」
「ごめんなさいね。あなたを倒さないと、私が倒されてしまうものね。他の方の手助けもしなくてはいけないし…。」
ジュリアは、ゆっくりと魔力を高め始めた。次の手で確実に終わらせるために…。
「や、やめろ!やめてくれ!こ、こうさん…。」
「水の礫よ、迸れ!『ウォーターショット!』」
《ピュピュピュピュピュピュン!》
「ぎゃああああ!!」
ジュアンに続いて魔剣士隊の新戦力は、その役割を終えたのであった…。
◇ ◇ ◇
残る副団長のカヌリュや、Sランク冒険者パーティ『雷光』の三名は、他の魔剣士隊と互角に戦闘を繰り広げていた。
更にはAランク冒険者のアーシャのサポートも入り、聖王国側がやや優位となっていた。
「くそ!こちらの方が人数的に劣勢だぞ!」
「ジュアンが殺されて補充がないのは痛い…。我々は本来は10名編成なのによ!」
「弱音吐いてんじゃねぇ!ゴラン!ヒューマンにボコられるぞ!」
「それだけは御免だぜ!『風・肆式:鎌鼬!』」
◇ ◇ ◇
「ミサさん!バルトさんは?」
「あ、ジュリア!よく来た。止血はしたよ。あたしゃ、回復はできないからアンタが頼りだよ。」
Sランク冒険者のバルトさんは、相手を何とか倒せたものの、左腕と左足を失い意識不明の重体であった。
「任せてください。あの…失った手足は?」
「これだよ!アンタなら治せるっしょ?」
「何とかやってみます。聖なる光よ、傷ついた者を癒したまえ!『ハイヒール!』」
ジュリアは、ミサに切断された手足を切断面に接着保持して貰った上で、レベルアップによって獲得した上位魔法『ハイヒール』を使用した。
「あ…切断された手足が…くっついちゃったよ!うそぉ!ってアンタそれ、上位魔法じゃん!」
「良かった!初めて使いましたが上手くできたようです。」
「ん…んん。あ、俺は一体…。あれれ?無くなった手足があるぞ!」
「おい!バルト!このジュリアがアンタを治したんだよ!感謝しな!面倒だけど他の仲間が苦戦してるっしょ。助けにいくよ!」
「お、おう!ジュリアだったか?恩にきるぞ!おい!ギルマス!待てって!」
ギルマスのミサと、見事回復したバルトは、仲間の応援に向かっていった。
「ジンさんは大丈夫かしら?」
別の場所に移動して戦っているジンのことが気になっているジュリアであった…。
1
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~
星天
ファンタジー
幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!
創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。
『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく
はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!
放逐された転生貴族は、自由にやらせてもらいます
長尾 隆生
ファンタジー
旧題:放逐された転生貴族は冒険者として生きることにしました
★第2回次世代ファンタジーカップ『痛快大逆転賞』受賞★
★現在三巻まで絶賛発売中!★
「穀潰しをこのまま養う気は無い。お前には家名も名乗らせるつもりはない。とっとと出て行け!」
苦労の末、突然死の果てに異世界の貴族家に転生した山崎翔亜は、そこでも危険な辺境へ幼くして送られてしまう。それから十年。久しぶりに会った兄に貴族家を放逐されたトーアだったが、十年間の命をかけた修行によって誰にも負けない最強の力を手に入れていた。
トーアは貴族家に自分から三行半を突きつけると憧れの冒険者になるためギルドへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはギルドに潜む暗殺者たちだった。かるく暗殺者を一蹴したトーアは、その裏事情を知り更に貴族社会への失望を覚えることになる。そんな彼の前に冒険者ギルド会員試験の前に出会った少女ニッカが現れ、成り行きで彼女の親友を助けに新しく発見されたというダンジョンに向かうことになったのだが――
俺に暗殺者なんて送っても意味ないよ?
※22/02/21 ファンタジーランキング1位 HOTランキング1位 ありがとうございます!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる