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第一章 ジンディオールの復讐編

第57話 ふくろう渓谷の戦い(宿命)

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 ジンディオールとフレイは対峙たいじしていた。

 二人の戦いに水を差す者はいなかった。

 ジンディオールは、旅の途中で習得した能力強化バフスキル『しゅんきゃく』を発動させ、フレイに斬りかかった。

《キーン!》

「なるほど。それは『俊脚』というのですか。自らの脚力きゃくりょく増幅ぞうふくする能力のようですねぇ。なかなかの速さです。魔剣士隊の部下たちになら通用するかも知れません。ですが…。」
 
 フレイは、剣でジンディオールの斬撃を受け流した。そして、彼もまた同様な能力を使用した。

「私も同じ効果の技を知っていますよ。『伍式ごしき修羅しゅら瞬脚しゅんきゃく!』そして…。」

《シュンッ!ザクッ!》

 フレイは、修羅の瞬脚でジンディオールの動きに追いつき、側面から斬りつけた。

「ぐぁぁぁ!」

 ジンディオールはかろうじて回避したが、腕に深い傷を負った。

「私の攻撃は、軽く傷つける程度には当たったみたいですねぇ。そして、ジン隊長は以前とは違う成長をげているようです。その卓越たくえつした剣技や、『俊脚』というスキルもね。大変見事な成長ですが、残念ながら私の能力のほうが上だったみたいですねぇ。」
 
 フレイは、嬉しそうに笑った。しかし、その笑顔には冷たさと残酷ざんこくさがにじんでいた。

「ですが、この程度では満足できませんねぇ。ジン隊長!もっと私を楽しませてくださいよ!」

 フレイは、剣の連続攻撃でジンディオールに迫った。

 ジンディオールは、腕を傷めており、剣を防ぐのがやっとだった。

「クソッ!このままでは…。」

「その程度ですか!?かつての大陸最強の名が泣いてしまいますねぇ。」

「仕方ない。やるか…。『玖式きゅうしき鬼神きじんい!』」

 ジンディオールは、にせ魔剣士スキルから『鬼神喰い』の技を発動させた。

 彼の身体能力は飛躍的ひやくてき上昇じょうしょうし、腕の傷も回復していった。

「まさか!!その技は!?『魔剣士:極』の技と同じではないか!」

弐式にしき阿修羅あしゅら!』

「信じられない!?もう、あなたが使える訳が…。」

「やぁぁ!とりゃ!たぁぁ!」

 ジンディオールが使用した阿修羅という技は、複数の手で攻撃しているかのように素早く剣を振る連続攻撃だった。

《キン!キン!》《ズシュッ!グサッ!》

「ぎゃああああ!!」

 身体能力を高めたジンディオールの阿修羅は、フレイの防御を破った。

 フレイは腕や胸、腹などに切り傷を負い、血を流した。

「どうしてだ!これは、『魔剣士:極』の…私だけの技だったはずだ!」

 フレイは傷の痛みに顔をゆがめながら、私が偽魔剣士の技を使用したことに驚いていた。

「私は長年ずっと使ってきたんだ。『魔剣士:極』がなくなっても、技の真髄しんずいは身についている。お前とは使用している年期ねんきが違うんだ!」

「ぐぬぬ…。この野郎がぁぁぁ!」

 フレイは怒りにあらわにして、丁寧ていねいだった口調くちょう荒々あらあらしくなった。

「ほう…いい顔になったじゃないか!フレイよ。」

 ジンディオールは、嘲笑ちょうしょうするように言った。

「『魔剣士:極』を失ったクソヒューマンが、私と対等たいとうだと思うなよ!お前など私の足元にも及ばない!」

 フレイは、口汚くちぎたなののしった。

「見せてやろう!お前の偽物とは違う!正真正銘しょうしんしょうめい『魔剣士:極』の力だ!!」
 
「『玖式きゅうしき鬼神きじんい!』『陸式ろくしき死神しにがみ大鎌おおがま!』いくぞぉぉぉ!」

「くっ、流石にやばいな。『肆式よんしき魔鎧盾まがいじゅん!』これでえるしかない…。」

 ジンディオールは、フレイの魔力が急上昇しているのを感じ取り、防御にてっした。

 偽魔剣士スキルの『魔鎧盾』で結界けっかい構築こうちくした。

《ドン!バリィィン!》《グサッ!》

「ぐはぁぁぁ!」

 ジンディオールは、魔鎧盾で身を守ったが、フレイの攻撃はそれを破り、胸に深手を負わせた。血は飛び散り、地面を染めていった。

「ハハハ!どうですか!?模倣もほうした能力など役に立たないでしょう!私の持つ『魔剣士:極』こそが最強のスキルなのですよ!」

「く…くそがぁ…。」

 深手を負って満身創痍まんしんそういなジンディオール。彼はフレイを倒すことせるのだろうか…。
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