50 / 81
第一章 ジンディオールの復讐編
第50話 ランクアップ
しおりを挟む
《防衛都市ガズールの依頼最終日》
私たちが防衛都市ガズールに到着してから二週間が経過した。
その間にもっとも記憶に残っているのは、緑竜の討伐である。
当初は不可能と思われたその任務だが、カヌリュとの連携や、ジュリアの魔歌による支援のおかげで、奇跡的に勝利を収めることができたのだ。
三人の誰かが欠けていたら、勝利は望めなかっただろう。
緑竜との戦闘により、私もジュリアも大幅にレベルアップした。その後も何度か魔物の襲撃に対処したが、能力が向上したために苦戦することはなかった。
「ジン!ジュリア!もう行ってしまうのか?」
「ああ。約束の期間が来たからな。それより、私たちが去ってもこの都市は大丈夫なのか?」
「それは問題ない。サマルト法国にいた凄腕の冒険者パーティがこちらに移住することになったんだ。今後、都市防衛を長期で請け負ってくれることになっている。」
「そうか。なら安心して戻れるな。」
「お前たちは聖王国を離れるのか?」
「どうだろうな?目的はまだ北にあるからな。しばらく聖都に滞在した後に出発することになるだろう。」
「短い間だったが楽しかったよ。まあ、また会うことになるだろうがその時は頼むぞ!」
「カヌリュ、それはどういう意味だ?」
「さあな!」
「この野郎!」
私たちは、笑いながら互いの拳をぶつけ合った。
いつの間にかカヌリュには友情に近いものを感じるようになっていた。
「カヌリュさん、お世話になりました!都市防衛頑張ってくださいね!」
私とジュリアは、カヌリュや兵士たちに手を振って防衛都市ガズールを後にした。
緑竜や討伐した魔物からの素材報酬をたくさんもらったので、当分お金の心配はいらないだろう。
聖都に着いたら少しのんびりするのもいいかもしれないな。
◇ 冒険者ギルド ラングラ支部 ◇
「ジンさん!ジュリアさん!お帰りなさい!お疲れ様でした。それに無理言って申し訳ありませんでした!」
人兎族の受付嬢ルルアさんが申し訳なさそうに頭を下げた。
今回の防衛都市ガズールの依頼は、ルルアさんが強引に押し付けた経緯があったからである。
「もう、終わったことですし、私たちも無事に帰ってこれましたから大丈夫です。」
お人好しのジュリアは、小言の一つも言わずに許してしまった。
(ジュリアは相変わらずだな。それが彼女の良さでもあるが…。)
私は少々不本意に感じるが、ジュリアが許してしまうのならば、これ以上は何も言うまい。
「ありがとうございます!本当に無事で良かったです。今回の依頼達成の件でお話があります。宜しければギルドマスターに会って頂けますか?」
「悪い話じゃないだろうな?」
私は少し意地悪にそう言った。あれだけ大変な目にあったのだ。これくらいは大目に見て欲しいものだ。
「も、もちろんですよ!報酬とランクアップの件ですから…。」
「わかった。伺おう。」
私たちはラングラ支部のギルドマスターに面会することになった。
◇ ギルドマスタールーム ◇
「ギルマス、連れて参りました!」
「あいよー!入って!」
部屋には、ミニスカートの金髪美女がタバコのような焼葉を楽しみながらこちらを眺めてきた。
(この人がギルマス?俺が行っていたキャバクラにこんな感じの子がいたっけなぁ。)
色んな個性的なギルマスがいるものだと、何だか感心してしまう。
「あんたがジンで、そっちがジュリアね!よくきたねー!あたしはギルマスのミサよ!」
見た目通り気安い話し方である。
「ランクアップと報酬の話があると聞いてきたんだが…。」
「もうその話いっちゃう?いいけどさー!」
(本当に気安いな…。)
「あんたたちが達成した依頼は、ランクAの依頼なのは知ってるっしょ?でも、実際にはSランク相当の緑竜と戦って勝っちゃた訳よ!だから、今回の依頼ってSランクの依頼と言ってもいい内容だったのよ!」
「そうですね!Aランクだと聞いていたのに緑竜が現れた時には死を覚悟しましたから…。」
流石のジュリアも顔を引き攣らせながら答えている。
「でしょー!てな訳で…。あたしとしては、ランクSにしてもいいんじゃない?って思うんだけど、後で本部から大目玉だからね!悪いんだけど今回はAで許してくれない?」
「えっ!マジか!?」
「あー!嫌だったー?」
「いや、一度の依頼だけでAランクに上がれると思っていなかったからな。Aランクになれるだけでも凄いと思うが…。」
「緑竜に勝つ時点でもうSランでいいと思うけどねー!まあ、あんたたちがいいならラッキー!じゃあ、今日からAランね!」
(軽っ!!本当に個性的な人だな…。でも、ヤバいくらい強いぞ。レベル75とか普通にいるんだな…。)
「わかった。」「やりましたね?ジンさん!」
「報酬は、少ないけど金額50枚ね!二人でわけてねー!」
(めっちゃ貰えるらしい。当分働かなくても生活できそうだ。)
「そんでさぁ。これはあたしのお願いなんだけど、今からあたしと聖堂に行ってくれる?」
「聖堂ですか?何かあるのですか?」
ジュリアが首を傾げながら訪ねた。
「聖堂って言えば聖王がいる所しょ?」
「えぇー!聖王様ですかぁ!?」
ジュリアの大声が室内に響き渡った。
どうやら今度は聖王に会うことになってしまったのであった…。
私たちが防衛都市ガズールに到着してから二週間が経過した。
その間にもっとも記憶に残っているのは、緑竜の討伐である。
当初は不可能と思われたその任務だが、カヌリュとの連携や、ジュリアの魔歌による支援のおかげで、奇跡的に勝利を収めることができたのだ。
三人の誰かが欠けていたら、勝利は望めなかっただろう。
緑竜との戦闘により、私もジュリアも大幅にレベルアップした。その後も何度か魔物の襲撃に対処したが、能力が向上したために苦戦することはなかった。
「ジン!ジュリア!もう行ってしまうのか?」
「ああ。約束の期間が来たからな。それより、私たちが去ってもこの都市は大丈夫なのか?」
「それは問題ない。サマルト法国にいた凄腕の冒険者パーティがこちらに移住することになったんだ。今後、都市防衛を長期で請け負ってくれることになっている。」
「そうか。なら安心して戻れるな。」
「お前たちは聖王国を離れるのか?」
「どうだろうな?目的はまだ北にあるからな。しばらく聖都に滞在した後に出発することになるだろう。」
「短い間だったが楽しかったよ。まあ、また会うことになるだろうがその時は頼むぞ!」
「カヌリュ、それはどういう意味だ?」
「さあな!」
「この野郎!」
私たちは、笑いながら互いの拳をぶつけ合った。
いつの間にかカヌリュには友情に近いものを感じるようになっていた。
「カヌリュさん、お世話になりました!都市防衛頑張ってくださいね!」
私とジュリアは、カヌリュや兵士たちに手を振って防衛都市ガズールを後にした。
緑竜や討伐した魔物からの素材報酬をたくさんもらったので、当分お金の心配はいらないだろう。
聖都に着いたら少しのんびりするのもいいかもしれないな。
◇ 冒険者ギルド ラングラ支部 ◇
「ジンさん!ジュリアさん!お帰りなさい!お疲れ様でした。それに無理言って申し訳ありませんでした!」
人兎族の受付嬢ルルアさんが申し訳なさそうに頭を下げた。
今回の防衛都市ガズールの依頼は、ルルアさんが強引に押し付けた経緯があったからである。
「もう、終わったことですし、私たちも無事に帰ってこれましたから大丈夫です。」
お人好しのジュリアは、小言の一つも言わずに許してしまった。
(ジュリアは相変わらずだな。それが彼女の良さでもあるが…。)
私は少々不本意に感じるが、ジュリアが許してしまうのならば、これ以上は何も言うまい。
「ありがとうございます!本当に無事で良かったです。今回の依頼達成の件でお話があります。宜しければギルドマスターに会って頂けますか?」
「悪い話じゃないだろうな?」
私は少し意地悪にそう言った。あれだけ大変な目にあったのだ。これくらいは大目に見て欲しいものだ。
「も、もちろんですよ!報酬とランクアップの件ですから…。」
「わかった。伺おう。」
私たちはラングラ支部のギルドマスターに面会することになった。
◇ ギルドマスタールーム ◇
「ギルマス、連れて参りました!」
「あいよー!入って!」
部屋には、ミニスカートの金髪美女がタバコのような焼葉を楽しみながらこちらを眺めてきた。
(この人がギルマス?俺が行っていたキャバクラにこんな感じの子がいたっけなぁ。)
色んな個性的なギルマスがいるものだと、何だか感心してしまう。
「あんたがジンで、そっちがジュリアね!よくきたねー!あたしはギルマスのミサよ!」
見た目通り気安い話し方である。
「ランクアップと報酬の話があると聞いてきたんだが…。」
「もうその話いっちゃう?いいけどさー!」
(本当に気安いな…。)
「あんたたちが達成した依頼は、ランクAの依頼なのは知ってるっしょ?でも、実際にはSランク相当の緑竜と戦って勝っちゃた訳よ!だから、今回の依頼ってSランクの依頼と言ってもいい内容だったのよ!」
「そうですね!Aランクだと聞いていたのに緑竜が現れた時には死を覚悟しましたから…。」
流石のジュリアも顔を引き攣らせながら答えている。
「でしょー!てな訳で…。あたしとしては、ランクSにしてもいいんじゃない?って思うんだけど、後で本部から大目玉だからね!悪いんだけど今回はAで許してくれない?」
「えっ!マジか!?」
「あー!嫌だったー?」
「いや、一度の依頼だけでAランクに上がれると思っていなかったからな。Aランクになれるだけでも凄いと思うが…。」
「緑竜に勝つ時点でもうSランでいいと思うけどねー!まあ、あんたたちがいいならラッキー!じゃあ、今日からAランね!」
(軽っ!!本当に個性的な人だな…。でも、ヤバいくらい強いぞ。レベル75とか普通にいるんだな…。)
「わかった。」「やりましたね?ジンさん!」
「報酬は、少ないけど金額50枚ね!二人でわけてねー!」
(めっちゃ貰えるらしい。当分働かなくても生活できそうだ。)
「そんでさぁ。これはあたしのお願いなんだけど、今からあたしと聖堂に行ってくれる?」
「聖堂ですか?何かあるのですか?」
ジュリアが首を傾げながら訪ねた。
「聖堂って言えば聖王がいる所しょ?」
「えぇー!聖王様ですかぁ!?」
ジュリアの大声が室内に響き渡った。
どうやら今度は聖王に会うことになってしまったのであった…。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
111
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる