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第一章 ジンディオールの復讐編
第48話 緑竜(前編)
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私たちがヘルイーグルを討伐した後、再び警報が鳴り響いた。
急いで駆けつけた先には、ガズール駐留軍の司令カヌリュと、目を疑うほどの相手が待ち構えていた。
「カヌリュ!」
「君たちか…。良く来てくれた。しかし、君たちでは荷が重いよ。勿論、私もね…」
「嘘だろ?これってワイバーンじゃないよな?」
「ええ。私も見たことがありませんが、もっと上位な存在な気がします…。」
私たちは、何を見せられているのか…。ただただ驚くばかりだった。
「君たち!何を悠長なことを言っている?逃げろ!これは緑竜だ!相手が悪すぎる!」
カヌリュは聖騎士団でも副団長を任される程の凄腕だと聞いている。
その彼ですら敵の攻撃を回避するので精一杯の様子だ。その相手は、なんと緑竜だという…。
思わぬ敵を前にして私もジュリアを圧倒されていた。
しかし、このまま手をこまねいていれば、カヌリュは緑竜に殺されてしまうだろう。
(ジンディオールいるか?)
〘ああ。見ていたぞ!主よ、何を恐れるか!この程度の相手が倒せねば、フレイには勝てぬぞ!〙
(また、フレイかよ。俺はフレイなんて…。)
〘フレイとの戦いは、宿命だ。これはエルル神も承知のことだ。腹をくくれ!主よ!〙
(わかったよ!だが、こんな強そうな相手に本当に勝てるのかよ?)
〘確かに今のままでは厳しいだろうな…。では、『偽魔剣士スキル』を使えるようにしてやろう。必要な記憶を主に送ろう。あとは、自分で何とかしろ!〙
(えっ…。ジンディオール?)
すると、一瞬のうちに頭の中に多くの情報が飛び込んできた。
幼少期のご両親との記憶や、ラボに連れて行かれて苦しんだ訓練の日々。兵器として殺戮に手を染めた時の様子など様々な情報が瞬時に頭に入っていった。
「うぅ…」
突然大量の情報を脳が取得したため、激しい頭痛に襲われた。
「ジンさん!大丈夫ですか?」
「大丈夫!大丈夫だ。もう、問題ない…。それよりジュリア!私は、あの緑竜と戦うよ」
「えっ!無理ですよ!ジンさん、死んじゃいますよ!?」
「死なないよ。ジンディオールに一部の記憶と、戦う力を貰ったんだ。ジュリアは、安全な場所に避難していてくれ!」
「わ、わかりました!私、ジンさんを信じます。邪魔にならない場所からサポートしますね!」
「宜しく頼む!」
私は緑竜と戦う決心をした。
『インフォ!』
緑竜の情報を収集する。
《基礎情報》
レベル:59
年齢:121歳
種族:緑竜
説明:体長8メートルの竜。全身の筋肉は強固であり、力は強く、獰猛である。硬い鱗に覆われており、攻撃は通りにくい。危険生物に認定されており、その討伐ランクはSである。
《能力》
鋭爪
鋭牙
火炎の息
(レベルだけはこちらが上だが、身体能力は違い過ぎるだろうから注意が必要だな。)
「おい!カヌリュ!大丈夫か?」
「大丈夫な訳…。おい!ジン!危険だ!下がれ!」
「ゴオォォー!」
私が戦闘に加わった瞬間、緑竜は火炎の息を吐き出した。
「くそっ!やばいぞ!『魔・伍式:修羅の瞬脚!』」
私はジンディオールから教えてもらった『偽魔剣士』の技を発動した。
私には『俊脚』という脚力を強化する能力があるが、この技はそれよりもはるかに速度を上げられる。
「ふぅ…危なかった…」
火炎の息は私の髪の毛をかすめるほどの至近距離まで接近した。
しかし、修羅の瞬脚のおかげで、なんとか無傷で逃げ切れきた。
〘どうだ?これで戦えるだろ?俺が先日使った時は、本来の力の三割程度しか出せなかったんだ。だが、あれから大きくレベルが上がったおかげで、今なら五割くらいは再現できるはずだ。〙
(なるほどな。これなら緑竜にも勝てるかもしれないな!)
「なんだよ!ジン!今の技はなんだったんだ!」
私の様子を見ていたカヌリュが驚いた顔で叫んだ。
「まあ…特技の一つみたいなものだ。カヌリュ!大丈夫か?助太刀するぞ!」
「あ…ああ。ジン、貴様は一体…。いや、良くきたな。お前さんのお陰で可能性が見えてきたぞ!」
「そういうのは、勝ってからなっ!やぁ!」
《ゴンッ!》
「つつつっ!硬いなぁ!どういう身体してんだよ?」
「竜の鱗は非常に強度が高い。高級な装備に使われる程だ!『ソニックスラッシュ!』」
カヌリュは剣を強く振りかざすと、鋭い剣圧による攻撃が緑竜に直撃した。
「グオォォォォ!」
緑竜は傷を受けて悲鳴を上げた。
「良し!僅かながらダメージを与えたようだ!」
「やるなカヌリュ!」
「ジン!お前もな!死ぬなよ!」
私たちは見つめ合うと、互いに笑みが零れた。
しかし、まだ勝機は見いだせてはいない。
だが、協力して戦うことで勝機を掴むことができるかも知れない…。そんな風に思えたのであった…。
急いで駆けつけた先には、ガズール駐留軍の司令カヌリュと、目を疑うほどの相手が待ち構えていた。
「カヌリュ!」
「君たちか…。良く来てくれた。しかし、君たちでは荷が重いよ。勿論、私もね…」
「嘘だろ?これってワイバーンじゃないよな?」
「ええ。私も見たことがありませんが、もっと上位な存在な気がします…。」
私たちは、何を見せられているのか…。ただただ驚くばかりだった。
「君たち!何を悠長なことを言っている?逃げろ!これは緑竜だ!相手が悪すぎる!」
カヌリュは聖騎士団でも副団長を任される程の凄腕だと聞いている。
その彼ですら敵の攻撃を回避するので精一杯の様子だ。その相手は、なんと緑竜だという…。
思わぬ敵を前にして私もジュリアを圧倒されていた。
しかし、このまま手をこまねいていれば、カヌリュは緑竜に殺されてしまうだろう。
(ジンディオールいるか?)
〘ああ。見ていたぞ!主よ、何を恐れるか!この程度の相手が倒せねば、フレイには勝てぬぞ!〙
(また、フレイかよ。俺はフレイなんて…。)
〘フレイとの戦いは、宿命だ。これはエルル神も承知のことだ。腹をくくれ!主よ!〙
(わかったよ!だが、こんな強そうな相手に本当に勝てるのかよ?)
〘確かに今のままでは厳しいだろうな…。では、『偽魔剣士スキル』を使えるようにしてやろう。必要な記憶を主に送ろう。あとは、自分で何とかしろ!〙
(えっ…。ジンディオール?)
すると、一瞬のうちに頭の中に多くの情報が飛び込んできた。
幼少期のご両親との記憶や、ラボに連れて行かれて苦しんだ訓練の日々。兵器として殺戮に手を染めた時の様子など様々な情報が瞬時に頭に入っていった。
「うぅ…」
突然大量の情報を脳が取得したため、激しい頭痛に襲われた。
「ジンさん!大丈夫ですか?」
「大丈夫!大丈夫だ。もう、問題ない…。それよりジュリア!私は、あの緑竜と戦うよ」
「えっ!無理ですよ!ジンさん、死んじゃいますよ!?」
「死なないよ。ジンディオールに一部の記憶と、戦う力を貰ったんだ。ジュリアは、安全な場所に避難していてくれ!」
「わ、わかりました!私、ジンさんを信じます。邪魔にならない場所からサポートしますね!」
「宜しく頼む!」
私は緑竜と戦う決心をした。
『インフォ!』
緑竜の情報を収集する。
《基礎情報》
レベル:59
年齢:121歳
種族:緑竜
説明:体長8メートルの竜。全身の筋肉は強固であり、力は強く、獰猛である。硬い鱗に覆われており、攻撃は通りにくい。危険生物に認定されており、その討伐ランクはSである。
《能力》
鋭爪
鋭牙
火炎の息
(レベルだけはこちらが上だが、身体能力は違い過ぎるだろうから注意が必要だな。)
「おい!カヌリュ!大丈夫か?」
「大丈夫な訳…。おい!ジン!危険だ!下がれ!」
「ゴオォォー!」
私が戦闘に加わった瞬間、緑竜は火炎の息を吐き出した。
「くそっ!やばいぞ!『魔・伍式:修羅の瞬脚!』」
私はジンディオールから教えてもらった『偽魔剣士』の技を発動した。
私には『俊脚』という脚力を強化する能力があるが、この技はそれよりもはるかに速度を上げられる。
「ふぅ…危なかった…」
火炎の息は私の髪の毛をかすめるほどの至近距離まで接近した。
しかし、修羅の瞬脚のおかげで、なんとか無傷で逃げ切れきた。
〘どうだ?これで戦えるだろ?俺が先日使った時は、本来の力の三割程度しか出せなかったんだ。だが、あれから大きくレベルが上がったおかげで、今なら五割くらいは再現できるはずだ。〙
(なるほどな。これなら緑竜にも勝てるかもしれないな!)
「なんだよ!ジン!今の技はなんだったんだ!」
私の様子を見ていたカヌリュが驚いた顔で叫んだ。
「まあ…特技の一つみたいなものだ。カヌリュ!大丈夫か?助太刀するぞ!」
「あ…ああ。ジン、貴様は一体…。いや、良くきたな。お前さんのお陰で可能性が見えてきたぞ!」
「そういうのは、勝ってからなっ!やぁ!」
《ゴンッ!》
「つつつっ!硬いなぁ!どういう身体してんだよ?」
「竜の鱗は非常に強度が高い。高級な装備に使われる程だ!『ソニックスラッシュ!』」
カヌリュは剣を強く振りかざすと、鋭い剣圧による攻撃が緑竜に直撃した。
「グオォォォォ!」
緑竜は傷を受けて悲鳴を上げた。
「良し!僅かながらダメージを与えたようだ!」
「やるなカヌリュ!」
「ジン!お前もな!死ぬなよ!」
私たちは見つめ合うと、互いに笑みが零れた。
しかし、まだ勝機は見いだせてはいない。
だが、協力して戦うことで勝機を掴むことができるかも知れない…。そんな風に思えたのであった…。
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