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第一章 ジンディオールの復讐編

第47話 ヘルイーグル戦

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 私たちは、『大魔境だいまきょう』と呼ばれる危険な地域に隣接りんせつするガズールという街にやってきた。

 ここでは、魔物の襲撃が頻発ひんぱつしており、街の防衛を手伝う依頼を受けたのだ。

 そして、私たちがこの街に来てから初めての戦闘が始まった。相手はヘルイーグルという魔物だ。既に一人の兵士が犠牲になっていた。

「インフォ!」

 私は敵と対峙たいじしながら、相手の情報を確認する。インフォとは、私が持っている特殊なスキルだ。敵のレベルや能力などを分析できる。

《基礎情報》
レベル:33
年齢:61歳
種族:ヘルイーグル
説明:体長3メートルの鳥類の魔物。鋭いクチバシと爪で攻撃する。筋力が高く、素早い動きをする。肉食で、食べられるものは何でも食べる。大魔境に生息する。

《能力》
スキルなし

(なるほど。並の魔物とはレベルが違うな。だが、倒せないわけじゃない。)

「ヒャー!」

 ヘルイーグルが奇声きせいを上げて、攻撃を仕掛けてきた。自分の間合いの外からクチバシで突く。速いし、力も強い。普通の人間なら回避できないだろう。

「よっと!」

 しかし、私はそれに対応できる。素早く後ろにぶ。

俊脚しゅんきゃく!』

 私はスキルを発動する。俊脚とは、私の脚力を一時的に上げるスキルだ。これで敵の速さにも対抗たいこうできる。

「やあ!」

 今度はこちらの番だ。敵の左側に周り込んで、左から斬りつけるふりをして、すばやく右に移動して斬り込む。

 ヘルイーグルは意表いひょうかれた様子だ。

 スピードと体重を乗せた一撃は、相当な威力いりょくである。確かな手応えがあった。

 ヘルイーグルは胸に深い傷を負って、悲鳴を上げる。

「グァー!」

 一撃だけだったが、私もヘルイーグルも力の差を理解したようだ。

 ヘルイーグルはすぐに逃げようとする。両翼りょうよくを広げて、空に飛び立とうとしていた。

「ジュリア!」

「わかっています!」

 治療を終えたジュリアが私のサポートに入る。魔法の詠唱えいしょうを始める。

「緑の力よ、相手を拘束こうそくせよ!『バインド!』」

 突然、地面から何本ものツルが伸びて、ヘルイーグルの足に絡みつく。

 ヘルイーグルは羽ばたこうとするが、拘束を解けないでいる。もがくばもがくほど、ツルは強くまる。

「ジュリア、ナイスだ!『オーラ・ブレイド!』」

 私もスキルを使う。オーラ・ブレイドとは、魔力を剣に注ぎ込んで、硬度こうどや切れ味を上げるスキルだ。

 私の剣にオーラがまとわりつく。

しんざん!」

 私のもう一つのスキルだ。四神の力を借りて、連続攻撃する。

 いちの剣は風の刃となって、敵の懐に素早く侵入して斬りつける。の剣は牙のように敵の肉をつらぬく。さんの剣はつばめのように相手を翻弄ほんろうしながら斬りいた。

 次々と斬撃が命中する。ヘルイーグルの体からは血が飛び散り、深い傷が増える。

の剣:いかずち!」

 最後は、頭上から雷のような一撃を落とす。

「ギャアアア!」

 ジュリアのバインドによって動きを封じられたヘルイーグルは、なすすべもなく攻撃を受けて死んだ。

「やったぞ!」「ジンさん、やりましたね!」

「すごいな、あんたら。あんな怪物をあっさり倒すなんて。でも、ピートが…」

 ヘルイーグルは倒せたが、兵士の一人は助からなかった。

 ヘルイーグルの体内から救出はしたが、最初に振り回されたときに首の骨を折ってしまっていた。それが致命傷ちめいしょうになったようだ。

《カン!カン!カン!カン!》

「またかよ!ジンさん、ジュリアさん。ここは俺たちがやる。襲ってくる魔物は、俺たちじゃ手に負えない。すまないが、助けに行ってくれ!」

「わかった!」「任せてください!」

 私たちは、再び戦いの場に向かったのだった…。
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