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第一章 ジンディオールの復讐編
第45話 防衛都市ガズール
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◇ 防衛都市ガズール ◇
私とジュリアは、ギルドの依頼を受けて聖王国の辺境にある『防衛都市ガズール』に到着した。
「ふぅ…。ルルアさんは、意外と強引なのな。」
「仕方ないですよ。SランクとAランクの冒険者さんが国外に遠征依頼で不在らしいですからね。実質私たちが現存の最高戦力らしいですよ。」
「私たちが現存の最高戦力とは、嘆かわしいと思わないか?」
「まあ、ジンさんが言いたいことはわかりますよ!今回はルルアさんを助けると思って。ね?」
ジュリアは、私を覗き込んで、諭すような優しい声で訴えた。
「アハハ!まさか、ジュリアに諌められるとはな!分かっているよ。」
「もう!ジンさんは私を何だと思っているんですか?」
「最高のパートナーさ!」
私はジュリアの髪をワシャワシャしながら笑顔で答えた。
私たちは、ギルドからの依頼でこの防衛都市にやってきたのだ。
防衛都市ガズール。
ここは、聖王国の最東端に位置する都市である。ここから更に東に進むと『大魔境』がある。
大魔境は、どの国も手を付けることが困難な未踏地帯である。
そこには大森林と巨大な山があり、非常に強力な魔物たちが生息しているのだと言う…。
この都市には、他とは異なる役割が与えられていた。大魔境から来る魔物からの国防である。
この都市を中心に、南北に背の高い防壁が果てしなく広がっていたのだ。
そこまでやらないと大魔境からくる魔物を防ぎ切れないのだろう。建築に携わった先人たちは、さぞ大変だったことだろう。
私たちはギルドからの依頼で、兵士たちでも手を焼くような魔物を相手にすることになるようだ。
期間は二週間。
この期間内に魔物からの襲撃を受けた際には対応することになる。
その依頼ランクはAである。
つまり、それ程までに強力な魔物が現れることを意味しているのだろう。
◇ ガズール司令室 ◇
「失礼する。」
私とジュリアがガズールに到着して真っ先に案内されたのがこの司令室である。
「よく参られたな。ジンとジュリアだな。話は聞いている。」
司令室で私たちを出迎えてくれたのは、メガネをかけた知的でイケメンな青年だった。
彼は聖騎士団の副団長で、このガズールの司令を任されているカヌリュと名乗った。
「そこに掛けてくれたまえ。」
カヌリュに促されて彼と対面するようにソファーに腰を下ろした。
「私は、剣士のジン。こちらが魔法士のジュリアだ。Bランクの冒険者だ。」
「挨拶ありがとう。二人ともBランクの枠に収まらない逸材だと聞いているよ。」
「Aランクの依頼だと聞いて、はじめは断ったんだが、ギルドに上手く丸め込まれたようだ…。」
「アハハ!そのようだね!帝国の侵攻があり、不安定な情勢下だからね。有能な人材を育てておきたいのだろう。」
「ん?それはどういう意味だ?」
私は、帝国の侵攻と我々の依頼の関係性に疑問を抱いてカヌリュに質問を投げかけた。
「あ!いいんだ。こちらの話だ。聞き流して欲しい。」
「それで私たちはここで何をすればいいのでしょうか?」
ジュリアが核心をついた質問する。
「ああ、そうだね。ちょうどその話をしようと思っていたよ。」
「ここは大魔境に対する防衛の要なんだ。君たちも来る際に目にしただろう?大防壁を。」
「はい!南北に見えなくなるまで防壁が続いていました。」
ジュリアが答えた。
「そう。先人たちの技術である程度の安全は保たれているよ。ある程度はね…。」
「その言い方だと、完全には防ぎ切れていないと言うのか?」
私はカヌリュの言葉に興味深く耳を傾けると、率直な質問を投げかけた。
「その通りだ。あの大防壁を突破してくる敵は何だと思う?」
「私わかりました!飛行するタイプの魔物ですね?」
「正解だよ!亜竜やヘルイーグルなんかの襲撃は防ぎ切れないんだ。そこで君たちの出番だ。」
「なるほどな…。しかし、ここの兵士たちで対処できないのか?」
「無論、兵士たちは全力を尽くして戦っているよ。しかし、ヘルイーグルやワイバーン相手だと彼らには荷が重い。」
(ワイバーンだって!?ファンタジーに出てくる竜の仲間だろ?そんなの俺に倒せるのだろうか?だが…。)
「亜竜とは言え竜種相手は、恐ろしいな。だが、ここまで来てしまったからには全力にやるしかないだろう。ジュリアは大丈夫か?」
「私もワイバーンとは無縁な村で平和に暮らしていましたからね。不安ですけど、精一杯ジンさんをサポートしますよ!」
「良し!決まったな!宜しく頼むよ。どうしてもピンチな場合には私も手を貸すから。後は部隊長たちに任せよう。何かあったら彼らを頼って欲しい。とりあえず兵舎があるから、そこで休んでくれたまぇ。」
私たちは司令室を後にした。
◇ ガズール兵舎 ◇
「あんたらが副団長の言っていた凄腕の冒険者さんたちか。強そうには見えんがなぁ。」
「そうかもな。少し前まで一般人だったしね。だが、きちんと与えられた仕事はこなしてみせるよ。宜しく頼む。」
私たちは兵舎の中に案内されて、個室を貸して頂いた。私とジュリアは隣同士の部屋だった。
部屋の中は、いたってシンプルだった。広めのベッドと机があるだけの質素な空間だった。
それでもゆっくり寝られる場所があるだけ幸せかなと思った。
◇ ◇ ◇
夕食が終わりベッドの上に転がって寛いでいる。長旅の為か疲労感は適度に感じている。
《トントン!》
「どうぞ!」
現れたのは、部屋着姿のジュリアだった…。
私とジュリアは、ギルドの依頼を受けて聖王国の辺境にある『防衛都市ガズール』に到着した。
「ふぅ…。ルルアさんは、意外と強引なのな。」
「仕方ないですよ。SランクとAランクの冒険者さんが国外に遠征依頼で不在らしいですからね。実質私たちが現存の最高戦力らしいですよ。」
「私たちが現存の最高戦力とは、嘆かわしいと思わないか?」
「まあ、ジンさんが言いたいことはわかりますよ!今回はルルアさんを助けると思って。ね?」
ジュリアは、私を覗き込んで、諭すような優しい声で訴えた。
「アハハ!まさか、ジュリアに諌められるとはな!分かっているよ。」
「もう!ジンさんは私を何だと思っているんですか?」
「最高のパートナーさ!」
私はジュリアの髪をワシャワシャしながら笑顔で答えた。
私たちは、ギルドからの依頼でこの防衛都市にやってきたのだ。
防衛都市ガズール。
ここは、聖王国の最東端に位置する都市である。ここから更に東に進むと『大魔境』がある。
大魔境は、どの国も手を付けることが困難な未踏地帯である。
そこには大森林と巨大な山があり、非常に強力な魔物たちが生息しているのだと言う…。
この都市には、他とは異なる役割が与えられていた。大魔境から来る魔物からの国防である。
この都市を中心に、南北に背の高い防壁が果てしなく広がっていたのだ。
そこまでやらないと大魔境からくる魔物を防ぎ切れないのだろう。建築に携わった先人たちは、さぞ大変だったことだろう。
私たちはギルドからの依頼で、兵士たちでも手を焼くような魔物を相手にすることになるようだ。
期間は二週間。
この期間内に魔物からの襲撃を受けた際には対応することになる。
その依頼ランクはAである。
つまり、それ程までに強力な魔物が現れることを意味しているのだろう。
◇ ガズール司令室 ◇
「失礼する。」
私とジュリアがガズールに到着して真っ先に案内されたのがこの司令室である。
「よく参られたな。ジンとジュリアだな。話は聞いている。」
司令室で私たちを出迎えてくれたのは、メガネをかけた知的でイケメンな青年だった。
彼は聖騎士団の副団長で、このガズールの司令を任されているカヌリュと名乗った。
「そこに掛けてくれたまえ。」
カヌリュに促されて彼と対面するようにソファーに腰を下ろした。
「私は、剣士のジン。こちらが魔法士のジュリアだ。Bランクの冒険者だ。」
「挨拶ありがとう。二人ともBランクの枠に収まらない逸材だと聞いているよ。」
「Aランクの依頼だと聞いて、はじめは断ったんだが、ギルドに上手く丸め込まれたようだ…。」
「アハハ!そのようだね!帝国の侵攻があり、不安定な情勢下だからね。有能な人材を育てておきたいのだろう。」
「ん?それはどういう意味だ?」
私は、帝国の侵攻と我々の依頼の関係性に疑問を抱いてカヌリュに質問を投げかけた。
「あ!いいんだ。こちらの話だ。聞き流して欲しい。」
「それで私たちはここで何をすればいいのでしょうか?」
ジュリアが核心をついた質問する。
「ああ、そうだね。ちょうどその話をしようと思っていたよ。」
「ここは大魔境に対する防衛の要なんだ。君たちも来る際に目にしただろう?大防壁を。」
「はい!南北に見えなくなるまで防壁が続いていました。」
ジュリアが答えた。
「そう。先人たちの技術である程度の安全は保たれているよ。ある程度はね…。」
「その言い方だと、完全には防ぎ切れていないと言うのか?」
私はカヌリュの言葉に興味深く耳を傾けると、率直な質問を投げかけた。
「その通りだ。あの大防壁を突破してくる敵は何だと思う?」
「私わかりました!飛行するタイプの魔物ですね?」
「正解だよ!亜竜やヘルイーグルなんかの襲撃は防ぎ切れないんだ。そこで君たちの出番だ。」
「なるほどな…。しかし、ここの兵士たちで対処できないのか?」
「無論、兵士たちは全力を尽くして戦っているよ。しかし、ヘルイーグルやワイバーン相手だと彼らには荷が重い。」
(ワイバーンだって!?ファンタジーに出てくる竜の仲間だろ?そんなの俺に倒せるのだろうか?だが…。)
「亜竜とは言え竜種相手は、恐ろしいな。だが、ここまで来てしまったからには全力にやるしかないだろう。ジュリアは大丈夫か?」
「私もワイバーンとは無縁な村で平和に暮らしていましたからね。不安ですけど、精一杯ジンさんをサポートしますよ!」
「良し!決まったな!宜しく頼むよ。どうしてもピンチな場合には私も手を貸すから。後は部隊長たちに任せよう。何かあったら彼らを頼って欲しい。とりあえず兵舎があるから、そこで休んでくれたまぇ。」
私たちは司令室を後にした。
◇ ガズール兵舎 ◇
「あんたらが副団長の言っていた凄腕の冒険者さんたちか。強そうには見えんがなぁ。」
「そうかもな。少し前まで一般人だったしね。だが、きちんと与えられた仕事はこなしてみせるよ。宜しく頼む。」
私たちは兵舎の中に案内されて、個室を貸して頂いた。私とジュリアは隣同士の部屋だった。
部屋の中は、いたってシンプルだった。広めのベッドと机があるだけの質素な空間だった。
それでもゆっくり寝られる場所があるだけ幸せかなと思った。
◇ ◇ ◇
夕食が終わりベッドの上に転がって寛いでいる。長旅の為か疲労感は適度に感じている。
《トントン!》
「どうぞ!」
現れたのは、部屋着姿のジュリアだった…。
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