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第一章 ジンディオールの復讐編
第43話 聖王国へ
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「ジンさん、あのままビルトさんたちとフェルナンドへ戻らなくて良かったんですか?ランピヨさんにも挨拶していないですし…。」
「そうだな。彼女は個性的だが、良いギルマスだったからな。だが、目的が終わればまた改めて挨拶に行けばいいさ。」
「やはり、復讐の旅は続けるのですか?」
「そうだね。それが、この身体を提供してくれた『ジンディオール』との約束だからね。それに彼の持つ記憶を通して、ジンディオールのフレイに対する感情は良く理解できるんだよ。」
私たちは、魔湖によるバネーロでの防衛戦を終え、イースラン公国には戻らずに北の大地へと旅立った。
その目的地は、神の国と呼ばれる『シュルール聖王国』だった。
流石に徒歩で移動するには広大であるため、バネーロで馬車付きの御者を雇うことにした。
勿論結構な費用は掛かる訳だが、先の魔潮での報酬を得たため、懐はかなり温かいのである。
「お客さん達。聖王国は、噂では近々戦争になるかもって話だ。目的があって行くんだろうから止めはしないが、充分気をつけた方がいい。」
御者を務めるおじさんが道中そんな風に助言してくれた。
「どこと戦争になるんだ?」
「レーナス帝国だよ!キャスティール王国を倒し、サマルト法国をも力で屈服させたらしい。末恐ろしい国だよ。」
「レーナス帝国だって!?」
「ああ。皇帝が退位して新たな皇帝が継いだあたりから急に好戦的になったそうだよ。」
(ああ。確かにそんな記憶があるな…。先代の皇帝陛下は優しく男気のある賢王だった。それに比べて第一王子だったアレス様は気難しい方だからな…。)
その後、私は馬車の後方より外の景色を眺めていた。
国境に近づくにつれてサリ側に向かう馬車や、徒歩による移動する人々をよく見かけるようになった。
(聖王国から戦争を回避して移住する人たちなのだろうか?)
その中で、白エルフの女性がたった一人でサリ方面に歩いているのが見えた。
顔までは確認できないが、その女性が視界に入った瞬間に、突然に胸のざわめきが起きたような不思議な感覚を覚えたのである。
(どうしたんだろう?エルフの女性を見た途端に何かを感じたような…。ジンディオールの記憶に何か関係があるのだろうか?)
私たちを乗せた馬車は無事に国境を通過したのであった…。
◇ シュルール聖王国 ◇
私たちは遂にシュルール聖王国に入国した。
イースラン公国からスタートした旅は、自由同盟国家サリを経て今回が三国目になった。
御者の主人の話では、この国を更に北上すると最近レーナス帝国の属国となったサマルト法国が治めていた地域になるそうだ。
ジンディオールが殺害された以降、もの凄いスピードでの侵攻速度に改めて驚いた。
(魔剣士隊や、フレイに遭遇するのもそう遠くない未来なのかも知れないな…。)
この国の西側は、海に面しており、東は強力な魔物たちが生息すると言われる『大魔境』がある。
帝国が更に侵攻を続けていくのであれば、必ずこの国の領地に足を踏み入れる必要があるのだそうだ。
〘 主よ。〙
(ジンディオールか!?)
〘ああ。しばらくは聖王国で依頼をこなし、レベルアップした方がいいだろう。〙
(お前がそう言うということは、フレイにはまだ勝てないと?)
〘『魔剣士:極』がない時のフレイであれば、勝利できただろうが、今は確実に向こうの実力が上だろう。〙
(わかった。しばらくは聖王国に滞在するとしよう。)
魔潮が終わってから完全にその存在が消えていたインテリジェンススキルの『ジンディオール』は、今になって目覚めたようだ。
私に代わって戦闘を引き受けてくれたのだが、しばらく活動できないほどに消耗させてしまうのかも知れない。
ジンディオールの助言通りに能力を成長させるために、しばらくは聖王国に滞在しようと思う。
◇ 聖都ラングラ ◇
「依頼通り聖都に到着したよ。私は、聖都に一泊した後に護衛を連れてバネーロに帰るよ。」
聖都ラングラに馬車が到着し、馬車の主人とはここでお別れである。
「世話になったな。道中安全に帰って欲しい。ありがとう!」
私たちは、代金を支払うと馬車を見送った。
私たちもしばらく聖都に滞在することになる。
宿泊先を確保してから冒険者ギルドに向かうことにしたのであった…。
「そうだな。彼女は個性的だが、良いギルマスだったからな。だが、目的が終わればまた改めて挨拶に行けばいいさ。」
「やはり、復讐の旅は続けるのですか?」
「そうだね。それが、この身体を提供してくれた『ジンディオール』との約束だからね。それに彼の持つ記憶を通して、ジンディオールのフレイに対する感情は良く理解できるんだよ。」
私たちは、魔湖によるバネーロでの防衛戦を終え、イースラン公国には戻らずに北の大地へと旅立った。
その目的地は、神の国と呼ばれる『シュルール聖王国』だった。
流石に徒歩で移動するには広大であるため、バネーロで馬車付きの御者を雇うことにした。
勿論結構な費用は掛かる訳だが、先の魔潮での報酬を得たため、懐はかなり温かいのである。
「お客さん達。聖王国は、噂では近々戦争になるかもって話だ。目的があって行くんだろうから止めはしないが、充分気をつけた方がいい。」
御者を務めるおじさんが道中そんな風に助言してくれた。
「どこと戦争になるんだ?」
「レーナス帝国だよ!キャスティール王国を倒し、サマルト法国をも力で屈服させたらしい。末恐ろしい国だよ。」
「レーナス帝国だって!?」
「ああ。皇帝が退位して新たな皇帝が継いだあたりから急に好戦的になったそうだよ。」
(ああ。確かにそんな記憶があるな…。先代の皇帝陛下は優しく男気のある賢王だった。それに比べて第一王子だったアレス様は気難しい方だからな…。)
その後、私は馬車の後方より外の景色を眺めていた。
国境に近づくにつれてサリ側に向かう馬車や、徒歩による移動する人々をよく見かけるようになった。
(聖王国から戦争を回避して移住する人たちなのだろうか?)
その中で、白エルフの女性がたった一人でサリ方面に歩いているのが見えた。
顔までは確認できないが、その女性が視界に入った瞬間に、突然に胸のざわめきが起きたような不思議な感覚を覚えたのである。
(どうしたんだろう?エルフの女性を見た途端に何かを感じたような…。ジンディオールの記憶に何か関係があるのだろうか?)
私たちを乗せた馬車は無事に国境を通過したのであった…。
◇ シュルール聖王国 ◇
私たちは遂にシュルール聖王国に入国した。
イースラン公国からスタートした旅は、自由同盟国家サリを経て今回が三国目になった。
御者の主人の話では、この国を更に北上すると最近レーナス帝国の属国となったサマルト法国が治めていた地域になるそうだ。
ジンディオールが殺害された以降、もの凄いスピードでの侵攻速度に改めて驚いた。
(魔剣士隊や、フレイに遭遇するのもそう遠くない未来なのかも知れないな…。)
この国の西側は、海に面しており、東は強力な魔物たちが生息すると言われる『大魔境』がある。
帝国が更に侵攻を続けていくのであれば、必ずこの国の領地に足を踏み入れる必要があるのだそうだ。
〘 主よ。〙
(ジンディオールか!?)
〘ああ。しばらくは聖王国で依頼をこなし、レベルアップした方がいいだろう。〙
(お前がそう言うということは、フレイにはまだ勝てないと?)
〘『魔剣士:極』がない時のフレイであれば、勝利できただろうが、今は確実に向こうの実力が上だろう。〙
(わかった。しばらくは聖王国に滞在するとしよう。)
魔潮が終わってから完全にその存在が消えていたインテリジェンススキルの『ジンディオール』は、今になって目覚めたようだ。
私に代わって戦闘を引き受けてくれたのだが、しばらく活動できないほどに消耗させてしまうのかも知れない。
ジンディオールの助言通りに能力を成長させるために、しばらくは聖王国に滞在しようと思う。
◇ 聖都ラングラ ◇
「依頼通り聖都に到着したよ。私は、聖都に一泊した後に護衛を連れてバネーロに帰るよ。」
聖都ラングラに馬車が到着し、馬車の主人とはここでお別れである。
「世話になったな。道中安全に帰って欲しい。ありがとう!」
私たちは、代金を支払うと馬車を見送った。
私たちもしばらく聖都に滞在することになる。
宿泊先を確保してから冒険者ギルドに向かうことにしたのであった…。
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