元最強魔剣士に転生しちゃった。~仇を追って旅に出る~

飛燕 つばさ

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第一章 ジンディオールの復讐編

第39話 魔湖(バネーロ編・ジンディオールの実力)

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 ジンディオールは、私が転生した肉体の前の持ち主だった。

 彼は不幸ふこうな死をげており、幼女ようじょしんさまが蘇生そせいしたのちに、私は彼の肉体に転生した。

 しかし、驚くことにジンディオールの意識はまだ残っており、この極めて劣勢れっせいであるちょうの魔物たちを、私にわって退治してくれると言うのだ…。

 『参式さんしき魔煌列斬まこうれつざん!』

 ジンディオールは、剣に魔力を込めてりかざすと、するどやいば剣筋けんすじが地面をえぐりながら縦列じゅうれつに飛んでいった。

 剣の正面にいた多くの魔物たちは、魔煌列斬の犠牲ぎせいとなり、次々と切りかれて倒れていった。

 凄まじい範囲攻撃で少なくとも500メール以上先まで技のつめあとを残し、数百匹の魔物がたったひとりで絶命ぜつめいしたのである。

「まだまだ行くぞ!『伍式ごしき修羅しゅら瞬脚しゅんきゃく!』」

 ジンディオールは、魔力で瞬発力しゅんぱつりょく大幅おおはばに向上させて近接戦闘をり広げる。

「グオオオ!」「グギャァァ!」「ギャァァァァ!」

 魔物たちは、ジンディオールの驚異的な速度について行けずに無抵抗むていこう蹂躙じゅうりんされていった。

「元魔剣士隊長をめるなよ!雑魚ザコ相手に手を焼くことなないが、魔力が全然足りないな。流石に『魔剣士:極』が奪われたことはかなりのハンデになっているな…。」

 ジンディオールは、つぶやきながら魔ポーションのせんを開けて、一気に体内に流し込む。

玖式きゅうしき鬼神きじんい!』

「さて、もうひと暴れするか…。」

《ズシュッ!》《ザクッ!》《ザンッ!》

「ギャァァァァ!」

(ジンディオールの奴、口だけでなく本当に強い。魔力で身体強化を使い、敵より能力的に優位ゆういにたち、効率的な攻撃を選んで戦っているようだ。凄いな…。)

 ジンディオールは、一人で千は超える魔物を相手に確実に数を減らしていく…。

《30分経過》

 辺り一面は魔物たちのしかばねの山となっていた。

 ジンディオールは有言実行ゆうげんじっこうし、殆どの魔物をたった一人でほふっていた。

「お前が親玉か。これでお終いだな!」

壱式いちしき地獄魏斬じごくぎざん!』

《グサッ!》

「ギャァァァァ!」

 魔湖を率いていたオークキングも、ジンディオールは真っ二つにしていた。

(あの恐ろしいオークキングも一撃かよ…。それに、魔物たちも本当に千匹は倒したんじゃないか?一騎当千いっきとうせん伊達だてじゃないな。俺には絶対無理だ。きっと、あのにせ魔剣士スキルが凄く有能ゆうのうなんだと思う…。)

 信じられないことだが、同じ肉体でありながら私の戦いとはまるで違う…。

 敵を圧倒あっとうするだけの強さが彼にはあるのである。

 私は、経験不足なのか、自分の能力の問題なのか、ジンディオールの領域りゅういきに到達するにはまだまだ時間は必要そうである。

〘 ジン!約束通り今回は協力したぞ。しかし、制限があって毎回助けることはできない。自分で苦境くきょうを乗りえられるようにしっかり鍛錬たんれんしておけよ。〙

(わかったよ。ありがとう。ジンディオール…。)

 ジンディオールの声は聞こえなくなった…。

『レベルが63に上がりました。』
『剣術のレベルが7に上がりました。』
『インフォのレベルが5に上がりました。』
隠蔽いんぺいのレベルが5に上がりました。』
『気配察知のレベルが3に上がりました。』
『危険察知レベル1を獲得しました。』
『毒耐性レベル1を獲得しました。』
『麻痺耐性レベル1を獲得しました。』
『インテリジェンススキル『ジンディオール』を獲得しました。』

(ほとんどジンディオールが倒したのにめちゃくちゃレベル上がったぞ!凄い魔物の数だったからな。だが、何だこれは?インテリジェンススキル『ジンディオール』だって?なんだこりゃ?)

 こういう時は『インフォ』が役に立つ。

《インテリジェンススキル『ジンディオール』》
ジンディオールの霊体れいたいが本人の希望により、女神エルルの手でスキル化された。スキル『ジンディオール』は、知性を持つスキルとして、主であるジン・ディオール・フブキのサポートをになう。助言などのサポートをし、主の希望で行動を代行だいこうすることも可能である。但し、女神エルルにより、代行には制限が掛けられている。

(もしかして、さっきのはジンディオールがスキルとなって俺を助けたのか?それなら納得がいくな。だけど、あいつ…スキルになるまで幽霊だったのかよ。)

 魔湖による外壁の外の魔物たちは、私の持つスキル『ジンディオール』の協力によって全滅させた。

 能力も大きく向上し、ジュリアも無事だったことはとても幸運だったと思うのであった…。
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