元最強魔剣士に転生しちゃった。~仇を追って旅に出る~

飛燕 つばさ

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第一章 ジンディオールの復讐編

第37話 魔湖(バネーロ編・ヒートアップ)

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「ジュリアァァァー!!」

 私は防壁ぼうへきの上から、彼女の姿をうしなった。

 矢が胸にさり、彼女は後ろにふらついて、防壁から落ちてしまったのだ。

 私はさけびながら、防壁を飛び越えた。

 魔物の死体がやまみになっているので、怪我けがはしなかったが、それでも衝撃しょうげきは強かった。

 ジュリアも魔物の死体の上に横たわっていた。

 ひとみじていて、息はあらく、血は止まらない。

 私は彼女をこした。

 矢は心臓から外れているが、肺はつらかれている。空気がれているのだろう。呼吸が苦しそうだ。

 私はあわてて、矢を引き抜き、ポーションを患部かんぶにかけた。

 ポーションはギルドでもらったものだ。

 私は回復魔法を使えないが、これがあれば回復がめそうだ。

 それでも、出血は止まらない。内部の傷は深いのだ。

 一刻いっこく猶予ゆうよもないため、私は彼女にくちうつしでポーションを飲ませた。

「ジュリア!頑張れ!死ぬな!」

 私は必死に呼びかけた。しかし、ジュリアからの返事はなかった。

 私は涙がこぼれるのを感じた。私は彼女を失いたくなかった。

 彼女は仲間という言葉では表せないほどにかけがえのない人だから…。

「うふふ。ジンさんのくちびる…頂いちゃいました。」

「ジュリア!」

 私は再びジュリアを抱きしめた。

 彼女の目には喜びの光がともり、口元にみが浮かんでいた…。

◇ ◇ ◇

「ジンさん、私が死ぬと思ってあせりました?」

「そ、そんなことは、ないぞ!」

「もう、ジンさんたら素直じゃないんだから…。」

「グワァー!」

《ズシュッ!》

「ギャァァァ!」

 私は、無防備むぼうびな我々をねらった魔物を容易たやすく返りちにする。

「こ、怖かった。ありがとうございます!」

「ジュリア。まだ戦いの最中だ。ま、また後でな…。」

「はい!」

「どうだ?動けるか?」

「大丈夫です!聖なる光よ、傷ついたこの身をいやしたまえ!『ヒール!』」

 ジュリアは、魔法の力で傷を治癒ちゆさせた。

「もう治りました。それに戦いの最中さいちゅうで新たな魔法に目覚めたみたいです。」

「そうか…きっとレベルが大幅おおはばに上がったのだろう。」

 私は『インフォ』でジュリアの能力を確認する。

《 基礎情報 》
名前:ジュリア
レベル :34
性別:女性
年齢:17歳
種族:人狼族
職業:旅人

《 スキル 》
弓術:レベル6
回復魔法:レベル6
風魔法:レベル4
火魔法:レベル4
雷魔法:レベル2
植物魔法:レベル1
魔力増幅:レベル5
魔障壁:レベル1

《 状態 》
成長加速:ジン・ディオール・フブキのパーティ効果。

《 加護 》
女神エルルの加護(小)

(確かに相当レベルが上がっているな。レベルだけで言ってもBランクのビルト相当そうとうはある。おまけに各スキルレベルがのきみ上がって新しい属性魔法も取得している。凄いな…。あれ?幼女神の加護が…。)

 私が物思いにふけっている所で、再び矢による攻撃が襲いかかる。

《ヒュンッ!》
《キン!》

 矢がジュリア目掛けて飛んできた。

 しかし、ジュリアの目の前には透明とうめいな壁のような物が現れて、ダメージを回避かいひしたのであった。

「良かった!上手くいったわ!」

「ジュリア!?今のは?」

「新しい魔法『魔障壁ましょうへき』です。私の周囲に硬い魔力の壁を作って守りを固められるようになりました。さっきは間に合わ無かったですけど…。」

「凄い魔法だな。」

 ジンディオールの記憶でもこのような高位魔法を使える者はいなかったと思う。

 ジュリアは、やはり歴史に名を残すような魔法士になるかも知れない…。

 ジュリアが復帰したため、再び戦況をさだめる。

 防壁の上では、魔物たちと兵士たちが一進一退いっしんいったいの激戦をり広げており、何とか持ちこたえているようだ。

 しかし、正門の方はトロールたちによって、今にも門が破壊されようとしている。

 門が破壊されれば、人々が蹂躙じゅうりんされる未来が待っているだろう。

〘 見るにえんな。〙

(ジンディオールか!?)

〘 戦況は完全に向こうが支配している。このままでは負けるぞ!〙

(お前なら打開だかいできるというのか?)

〘 まあな…。その子も身を守るすべを身につけたようだし、約束通り力を貸してやろう。〙

(貸してやろうって…。どうやって?)

〘 こうするのさ!〙

 私は突然意識が遠のくのを感じたのであった…。
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