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第一章 ジンディオールの復讐編
第23話 キャスティール王国進軍(フレイ視点)
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◇ フレイ視点 ◇
ジンディオールが死亡してからしばらく経ち、私は魔剣士隊長に任命された。
そして、隊長としての役割に慣れる前に、隣国キャスティール王国への侵攻を命じられたのだ。
キャスティール王国は、ヒューマンの一族が代々王位を継いでいる国だ。
古くから我が祖国と対立してきた歴史があり、今回の戦争は長年の因縁に決着をつけるという軍司令官の言葉に従ったものだった。
国境を越えて魔剣士隊を含めた約一万の大軍で一気に王都ブールを目指した。
途中、キャスティール軍の抵抗に遭ったが、その程度の兵力では我が軍にはかすり傷にしかならなかった。
キャスティール軍は劣勢に追い込まれて、王城に籠城するしかなかった。
我々は王城を包囲し、魔剣士隊は制圧部隊として王城に侵入した。
我々魔剣士隊の任務は、自国の兵を無駄に失わないために、王城をわずか十人で制圧するというものだった…。
◇ キャスティール城内 ◇
「来るな!」
《ザンッ!》
「ぐはぁ!」
「降伏する!殺さないでくれ!」
《ズシュッ!》
「ああぁぁ!」
魔剣士隊は一斉に突入した。
我々は幼い頃から殺しの技術を叩き込まれ、『兵器』として育てられてきた。
一人一人が一騎当千の力を保有している。
つまり、一人で千人の兵を相手にできる程の実力を持っているということだ。
魔剣士隊は歴代から十人で構成されている。
ジンディオールが死んだ後、『ラボ』から新たな兵器が送り込まれた。
「ジュアンにゾフ。大丈夫ですか?」
「フレイ隊長!問題ありません。王国の連中は、雑魚ばかりです。我々の敵ではありませんね。」
「敵を侮ってはいけませんよ。あなたたちはまだ若い…。どこにでも強者はいるものです。油断せずに戦いなさい。」
「はい!承知しました!」「はっ!」
ジュアンはジンディオールの空席を埋めるために補充された、序列九位の魔剣士である。
ゾフは、私を裏切ったあのリーナの空席を埋めるために補充された、序列十位の魔剣士である。
隊長としては部下の育成も仕事のうちだ。
大陸最強という我々の地位が揺るがないように、常に最善を尽くさなければならないのだ。
「さあ、みなさん。殲滅してしまいましょう。目的は王の間です。そして、この国を我々の手に収めましょう。」
「おう!」「隊長もやる気だな!」「糞ヒューマンどもをぶっ殺せ!」「こいつら弱すぎて面白くないぜ。」「おう!ジュアン!ゾフ!遅れるなよ!」「はい!」
魔剣士隊員は士気が高く、敵の兵士たちは恐怖に震えていた。このまま進めば勝利は目前だった。
◇ 王の間 ◇
「ここが王の間のようですね?」
城内の至る所で戦闘が繰り広げられたが、我々に敵う者はいなかった。
多勢に無勢のはずなのだが、ここにたどり着くまでに怪我人すら出なかったのだ。
そして、王の間に到着した。
キャスティール王を捕らえて降伏させれば、この国は我が国のものとなり、戦争は終わる。
「あなたがキャスティール王ですか?意外に若いですね。もっと老人だと思っていましたよ。」
私は玉座に座る王に目をやった。
王とは初めて顔を合わせたが、まだ成人すらしていないだろう子供の王だった。
「不敬な!この方こそ、キャスティール王ぞ!祖国の罪を悔いて、今すぐ帰国せよ!」
「ここまで来たのに、歓迎のお茶も出さないのですか?失礼な国ですねぇ。」
私は敵を挑発するような言葉を投げかけた。
「ふざけるな!血に染まった貴様らを歓迎するわけがないだろう!」
王は我々の存在に怯えていたが、王の側にいた騎士が私に反応した。
騎士団長だろうか。王の側近として権力を持つ者のようだった。
「我々がここまで来たということは、あなた方の敗北は決定的です。これ以上の抵抗は無駄ですよ。降伏して王を引き渡してください。」
「断る!」
「あなたは王の配下なのに、勝手に決断をしてもいいのですか?王は降伏したい様に見えますが…。」
「貴様にアルザス様の心情がわかるものか!この方はこの国を愛し、この国のために尽くされた。貴様らのような覇権国家に屈する訳がない!」
「何を言っても無駄ですよ。この世界は強者が正義です。弱者は排除されるか、強者に従うしかありません。」
「ならば、このレイヒム!お国のためにここで王を守り抜く!」
レイヒムと名乗る騎士が我々の前に立ちはだかった。
彼の実力は優れているだろう。
はっきりとした実力は計り知れないが、我々魔剣士に引けを取らないくらいに強いかも知れない…。
(全員でかかれば楽勝ですが、一対一なら面白そうですねぇ…。)
「隊長!私が相手します!」
名乗りを上げたのは序列九位の若き魔剣士ジュアンだった。
「ジュアン!お前は先輩を差し置いて何を言う!わきまえろ!」「おい、ゼル!お前だって八位だろう?」「貴様らにはまだ早い!私がやる!」
我が隊員は、剣士としては優秀だが、性格に難がある者が多かった。
それぞれが手柄を狙って統制が取れなくなっていた。
(ここは隊長としてまとめなければなりませんねぇ…。)
『静かになさい!!』
「ここは隊長である私が決めます。わかりましたか?」
私は『威圧』のスキルを使って隊員たちに言い聞かせた。
全員が黙り込み、頷いた。
「では、ジュアン!前に出なさい!」
「はい!」
「よく聞いてください。あのレイヒムは、我々魔剣士に及ぶ実力があるかも知れません。油断せずに全力で戦うことを誓ってくれますか?」
「もちろんです!誓います!」
私はジュアンの目を見つめた。彼の目には闘志が燃えていた。
「それならいいでしょう。あなたに任せます。頑張ってください。」
「ありがとうございます!やってみせます!」
ジュアンはレイヒムに向かって走り出した。
彼の剣は鋭く光っていた…。
ジンディオールが死亡してからしばらく経ち、私は魔剣士隊長に任命された。
そして、隊長としての役割に慣れる前に、隣国キャスティール王国への侵攻を命じられたのだ。
キャスティール王国は、ヒューマンの一族が代々王位を継いでいる国だ。
古くから我が祖国と対立してきた歴史があり、今回の戦争は長年の因縁に決着をつけるという軍司令官の言葉に従ったものだった。
国境を越えて魔剣士隊を含めた約一万の大軍で一気に王都ブールを目指した。
途中、キャスティール軍の抵抗に遭ったが、その程度の兵力では我が軍にはかすり傷にしかならなかった。
キャスティール軍は劣勢に追い込まれて、王城に籠城するしかなかった。
我々は王城を包囲し、魔剣士隊は制圧部隊として王城に侵入した。
我々魔剣士隊の任務は、自国の兵を無駄に失わないために、王城をわずか十人で制圧するというものだった…。
◇ キャスティール城内 ◇
「来るな!」
《ザンッ!》
「ぐはぁ!」
「降伏する!殺さないでくれ!」
《ズシュッ!》
「ああぁぁ!」
魔剣士隊は一斉に突入した。
我々は幼い頃から殺しの技術を叩き込まれ、『兵器』として育てられてきた。
一人一人が一騎当千の力を保有している。
つまり、一人で千人の兵を相手にできる程の実力を持っているということだ。
魔剣士隊は歴代から十人で構成されている。
ジンディオールが死んだ後、『ラボ』から新たな兵器が送り込まれた。
「ジュアンにゾフ。大丈夫ですか?」
「フレイ隊長!問題ありません。王国の連中は、雑魚ばかりです。我々の敵ではありませんね。」
「敵を侮ってはいけませんよ。あなたたちはまだ若い…。どこにでも強者はいるものです。油断せずに戦いなさい。」
「はい!承知しました!」「はっ!」
ジュアンはジンディオールの空席を埋めるために補充された、序列九位の魔剣士である。
ゾフは、私を裏切ったあのリーナの空席を埋めるために補充された、序列十位の魔剣士である。
隊長としては部下の育成も仕事のうちだ。
大陸最強という我々の地位が揺るがないように、常に最善を尽くさなければならないのだ。
「さあ、みなさん。殲滅してしまいましょう。目的は王の間です。そして、この国を我々の手に収めましょう。」
「おう!」「隊長もやる気だな!」「糞ヒューマンどもをぶっ殺せ!」「こいつら弱すぎて面白くないぜ。」「おう!ジュアン!ゾフ!遅れるなよ!」「はい!」
魔剣士隊員は士気が高く、敵の兵士たちは恐怖に震えていた。このまま進めば勝利は目前だった。
◇ 王の間 ◇
「ここが王の間のようですね?」
城内の至る所で戦闘が繰り広げられたが、我々に敵う者はいなかった。
多勢に無勢のはずなのだが、ここにたどり着くまでに怪我人すら出なかったのだ。
そして、王の間に到着した。
キャスティール王を捕らえて降伏させれば、この国は我が国のものとなり、戦争は終わる。
「あなたがキャスティール王ですか?意外に若いですね。もっと老人だと思っていましたよ。」
私は玉座に座る王に目をやった。
王とは初めて顔を合わせたが、まだ成人すらしていないだろう子供の王だった。
「不敬な!この方こそ、キャスティール王ぞ!祖国の罪を悔いて、今すぐ帰国せよ!」
「ここまで来たのに、歓迎のお茶も出さないのですか?失礼な国ですねぇ。」
私は敵を挑発するような言葉を投げかけた。
「ふざけるな!血に染まった貴様らを歓迎するわけがないだろう!」
王は我々の存在に怯えていたが、王の側にいた騎士が私に反応した。
騎士団長だろうか。王の側近として権力を持つ者のようだった。
「我々がここまで来たということは、あなた方の敗北は決定的です。これ以上の抵抗は無駄ですよ。降伏して王を引き渡してください。」
「断る!」
「あなたは王の配下なのに、勝手に決断をしてもいいのですか?王は降伏したい様に見えますが…。」
「貴様にアルザス様の心情がわかるものか!この方はこの国を愛し、この国のために尽くされた。貴様らのような覇権国家に屈する訳がない!」
「何を言っても無駄ですよ。この世界は強者が正義です。弱者は排除されるか、強者に従うしかありません。」
「ならば、このレイヒム!お国のためにここで王を守り抜く!」
レイヒムと名乗る騎士が我々の前に立ちはだかった。
彼の実力は優れているだろう。
はっきりとした実力は計り知れないが、我々魔剣士に引けを取らないくらいに強いかも知れない…。
(全員でかかれば楽勝ですが、一対一なら面白そうですねぇ…。)
「隊長!私が相手します!」
名乗りを上げたのは序列九位の若き魔剣士ジュアンだった。
「ジュアン!お前は先輩を差し置いて何を言う!わきまえろ!」「おい、ゼル!お前だって八位だろう?」「貴様らにはまだ早い!私がやる!」
我が隊員は、剣士としては優秀だが、性格に難がある者が多かった。
それぞれが手柄を狙って統制が取れなくなっていた。
(ここは隊長としてまとめなければなりませんねぇ…。)
『静かになさい!!』
「ここは隊長である私が決めます。わかりましたか?」
私は『威圧』のスキルを使って隊員たちに言い聞かせた。
全員が黙り込み、頷いた。
「では、ジュアン!前に出なさい!」
「はい!」
「よく聞いてください。あのレイヒムは、我々魔剣士に及ぶ実力があるかも知れません。油断せずに全力で戦うことを誓ってくれますか?」
「もちろんです!誓います!」
私はジュアンの目を見つめた。彼の目には闘志が燃えていた。
「それならいいでしょう。あなたに任せます。頑張ってください。」
「ありがとうございます!やってみせます!」
ジュアンはレイヒムに向かって走り出した。
彼の剣は鋭く光っていた…。
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