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第一章 ジンディオールの復讐編
第20話 ルカ村での戦い(前編)
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「何だ?キサマは!?」
「旅人だ。武器を捨てて投降するなら、命は奪わないでやろう。」
私は女性を追い回している男の前に飛び出すと、投降するように呼び掛けた。
「馬鹿か!?死ぬのはおめぇだよ!うりゃあ!」
しかし、盗賊は応じることなく攻撃を仕掛けてきた。
「それは、残念だよ…。」
《シュンッ!》
「ぎゃぁぁぁ!」
私は躊躇うことなく剣を振り下ろした。
(うわぁ。盗賊とはいえ人を殺めてしまった。しかし、何故だろう。思ったほど罪悪感が湧かないような…。)
私は、初めて人を斬り殺した。
日本にいた頃には想像できない出来事だ。
しかし、罪人だからなのか、盗賊に対して慈悲の心や、殺害する罪悪感が芽生えないことに自分でも驚いていた。
(これは、ジンディオールの魔剣士精神を引き継いでいるためか、はたまた異世界転生が関係しているのか…。)
疑問に感じるが、余計なことを考えず討伐に専念できそうなので、これ以上気にするのを止めることにした。
「風の刃!ウインドカッター!」
《ヒュン!…ザクッ!》
ジュリアの放った、鋭い風による魔法攻撃が盗賊の顔面を捉えた。
盗賊の顔面があざやかに切断されて、地面にコロンと落下する。
一瞬の出来事に殺られた当人も気づいていないのだろう。
声を発することなく息絶えている。
ジュリアも全く無遠慮で盗賊相手に魔法攻撃している。
(罪人に容赦しないのがこの世界の常識なのか…。それにしてもジュリアの魔法は凄いな。)
改めて魔法という存在や、ジュリアの魔法能力に驚嘆するのだった。
「おい!見ろ!冒険者が現れたぞ!」
「本当だ!お頭に報告してくる!」
「なんだ、たった二人じゃねぇか。」
「多少強かろうが数じゃこちらが上だ。」
「おい!囲め!ボコるぞ!」
「女は痛めつけるだけだ。殺すなよ。上玉だ。」
「おれがいただく!」
「馬鹿言え!俺が先だ!」
(冒険者だって?確かにジンディオールの記憶にも冒険者がいるようだ。そうか、ラノベみたいにこの世界にも冒険者がいるんだな…。)
盗賊たちは仲間を呼ぶと、20名は超えるであろう人数が集まった。
私やジュリアを囲むように位置取りされており、私達の退路は封じられた。
しかし、こんな状況でも私は落ち着いていた。
ジンディオールの能力や精神のお陰であることは勿論だが、『インフォ』によって盗賊たちのレベルや能力を把握できていることが大きい。
奴らのレベルは3~7程度。
レベル12のジュリアにとっても格下だ。
人数だけは多いので、その点だけは注意が必要だろう。
「おい!お前たち。あの男のように殺されたくないなら今すぐ降参するんだ!」
私はなるべく人殺ししないで済むように、相手に再び投降するように呼びかけることにした。
「バーカ!この人数見ろよ!」
「たった二人でどうこうできるかよ!」
「お前こそ死ぬのが怖いんだろ?」
「あいつビビってやがるぞ!」
「お断りだ!そしてお前が助けを求めても無駄だ!殺してやる!」
残念ながら交渉は決裂したようだ。戦いは避けられないらしい。
「ジュリア、大丈夫かい?」
「はい、ジンさん!任せてください!」
ジュリアは、盗賊相手に萎縮してしまうことが心配されたが、どうやら杞憂だったらしい。
過去のトラウマを乗り越えようとする彼女の強い心や、レベルアップにより能力が向上していることが彼女に勇気を与えてくれているのだろう。
彼女の表情には自信のような物が表れていた。
「やあ!」
戦闘は、ジュリアの先制攻撃を持って開始された。
驚くことに弓術がレベル3にまで達しており、放たれた矢の速度や、命中精度は素晴らしかった。
矢は一人の盗賊の眉間に命中した。
盗賊は白目を剥くと、膝から崩れるようにして絶命した。
彼女は一息入れることなく魔力を手のひらに集めているようだった。
「ジョルノ!!クソッ。このアマがぁ!」
近くの盗賊は、仲間の死に怒り、ジュリアに突進しようとしている。
しかし、ジュリアは弓矢を射る直前より魔力を高めており、矢を放ち終わった後には魔法攻撃ができるように準備されていたのである。
「炎を放て!ファイアボール!」
敵が突進して来た時にはファイアボールが放たれており、敵が隙を着く間もなく魔法攻撃がヒットしたという訳だ。
これは、ジュリアが静寂の森での経験を経て、複数相手に対する戦い方を身につけたのだろう。
「うわぁぁぁ!助けてくれ!」
思わぬ反撃を受けた盗賊は、火だるまとなり、もがき苦しんでいる。
周囲の仲間たちは、驚くばかりで助けることもできずに、結果見殺しになってしまっていた。
ジュリアは、次の準備が終わり既に矢を放とうとしていた。私は彼女の無駄のない戦いに感心する。
(ジュリアは成長したな。一人でも問題なさそうだ。ならば…。)
ジュリアは、放っておいても大丈夫そうなので、私も攻撃を仕掛けることにする。
「はぁぁぁ!!おりゃ!」
《ザンッ!グサッ!》
「ぎゃあああ!」「うわぁぁぁ!」
私は最も敵が集まっている所に突撃し、剣技で次々と蹴散らしていく…。
剣術レベル6の私と、大した戦闘スキルも持たない盗賊たちでは天地ほどの強さの開きがあった。
盗賊は一人、また一人と斬り伏せられていった…。
〘剣術スキル『疾風乱舞』を獲得しました。〙
(おお!戦いの最中に新たな剣術スキルを獲得したぞ!なになに…。俊足で移動しながら周囲の敵を次々と斬り伏せる攻撃を行なうらしい。今の状況に対応した剣技という訳だね。使ってみるか。)
『疾風乱舞!』
初めて使う技のはずなのに、長年磨き上げられた技の様に自然と体が動いて攻撃を繰り返していった…。
《ズシュ!》《ザンッ!》《グサッ!》
「うわぁぁぁ!」「ぎぁぁ!」「く、くるなぁー!わぁぁ!」
いつもよりも更に素早く移動し、次々と敵を倒して行く…。
敵からの攻撃も勿論あるものの、相手の動作が妙に遅く感じられており、容易に回避できてしまった。
剣術スキルを発動してから一気に12名もの盗賊を相手に全滅させたのであった…。
「旅人だ。武器を捨てて投降するなら、命は奪わないでやろう。」
私は女性を追い回している男の前に飛び出すと、投降するように呼び掛けた。
「馬鹿か!?死ぬのはおめぇだよ!うりゃあ!」
しかし、盗賊は応じることなく攻撃を仕掛けてきた。
「それは、残念だよ…。」
《シュンッ!》
「ぎゃぁぁぁ!」
私は躊躇うことなく剣を振り下ろした。
(うわぁ。盗賊とはいえ人を殺めてしまった。しかし、何故だろう。思ったほど罪悪感が湧かないような…。)
私は、初めて人を斬り殺した。
日本にいた頃には想像できない出来事だ。
しかし、罪人だからなのか、盗賊に対して慈悲の心や、殺害する罪悪感が芽生えないことに自分でも驚いていた。
(これは、ジンディオールの魔剣士精神を引き継いでいるためか、はたまた異世界転生が関係しているのか…。)
疑問に感じるが、余計なことを考えず討伐に専念できそうなので、これ以上気にするのを止めることにした。
「風の刃!ウインドカッター!」
《ヒュン!…ザクッ!》
ジュリアの放った、鋭い風による魔法攻撃が盗賊の顔面を捉えた。
盗賊の顔面があざやかに切断されて、地面にコロンと落下する。
一瞬の出来事に殺られた当人も気づいていないのだろう。
声を発することなく息絶えている。
ジュリアも全く無遠慮で盗賊相手に魔法攻撃している。
(罪人に容赦しないのがこの世界の常識なのか…。それにしてもジュリアの魔法は凄いな。)
改めて魔法という存在や、ジュリアの魔法能力に驚嘆するのだった。
「おい!見ろ!冒険者が現れたぞ!」
「本当だ!お頭に報告してくる!」
「なんだ、たった二人じゃねぇか。」
「多少強かろうが数じゃこちらが上だ。」
「おい!囲め!ボコるぞ!」
「女は痛めつけるだけだ。殺すなよ。上玉だ。」
「おれがいただく!」
「馬鹿言え!俺が先だ!」
(冒険者だって?確かにジンディオールの記憶にも冒険者がいるようだ。そうか、ラノベみたいにこの世界にも冒険者がいるんだな…。)
盗賊たちは仲間を呼ぶと、20名は超えるであろう人数が集まった。
私やジュリアを囲むように位置取りされており、私達の退路は封じられた。
しかし、こんな状況でも私は落ち着いていた。
ジンディオールの能力や精神のお陰であることは勿論だが、『インフォ』によって盗賊たちのレベルや能力を把握できていることが大きい。
奴らのレベルは3~7程度。
レベル12のジュリアにとっても格下だ。
人数だけは多いので、その点だけは注意が必要だろう。
「おい!お前たち。あの男のように殺されたくないなら今すぐ降参するんだ!」
私はなるべく人殺ししないで済むように、相手に再び投降するように呼びかけることにした。
「バーカ!この人数見ろよ!」
「たった二人でどうこうできるかよ!」
「お前こそ死ぬのが怖いんだろ?」
「あいつビビってやがるぞ!」
「お断りだ!そしてお前が助けを求めても無駄だ!殺してやる!」
残念ながら交渉は決裂したようだ。戦いは避けられないらしい。
「ジュリア、大丈夫かい?」
「はい、ジンさん!任せてください!」
ジュリアは、盗賊相手に萎縮してしまうことが心配されたが、どうやら杞憂だったらしい。
過去のトラウマを乗り越えようとする彼女の強い心や、レベルアップにより能力が向上していることが彼女に勇気を与えてくれているのだろう。
彼女の表情には自信のような物が表れていた。
「やあ!」
戦闘は、ジュリアの先制攻撃を持って開始された。
驚くことに弓術がレベル3にまで達しており、放たれた矢の速度や、命中精度は素晴らしかった。
矢は一人の盗賊の眉間に命中した。
盗賊は白目を剥くと、膝から崩れるようにして絶命した。
彼女は一息入れることなく魔力を手のひらに集めているようだった。
「ジョルノ!!クソッ。このアマがぁ!」
近くの盗賊は、仲間の死に怒り、ジュリアに突進しようとしている。
しかし、ジュリアは弓矢を射る直前より魔力を高めており、矢を放ち終わった後には魔法攻撃ができるように準備されていたのである。
「炎を放て!ファイアボール!」
敵が突進して来た時にはファイアボールが放たれており、敵が隙を着く間もなく魔法攻撃がヒットしたという訳だ。
これは、ジュリアが静寂の森での経験を経て、複数相手に対する戦い方を身につけたのだろう。
「うわぁぁぁ!助けてくれ!」
思わぬ反撃を受けた盗賊は、火だるまとなり、もがき苦しんでいる。
周囲の仲間たちは、驚くばかりで助けることもできずに、結果見殺しになってしまっていた。
ジュリアは、次の準備が終わり既に矢を放とうとしていた。私は彼女の無駄のない戦いに感心する。
(ジュリアは成長したな。一人でも問題なさそうだ。ならば…。)
ジュリアは、放っておいても大丈夫そうなので、私も攻撃を仕掛けることにする。
「はぁぁぁ!!おりゃ!」
《ザンッ!グサッ!》
「ぎゃあああ!」「うわぁぁぁ!」
私は最も敵が集まっている所に突撃し、剣技で次々と蹴散らしていく…。
剣術レベル6の私と、大した戦闘スキルも持たない盗賊たちでは天地ほどの強さの開きがあった。
盗賊は一人、また一人と斬り伏せられていった…。
〘剣術スキル『疾風乱舞』を獲得しました。〙
(おお!戦いの最中に新たな剣術スキルを獲得したぞ!なになに…。俊足で移動しながら周囲の敵を次々と斬り伏せる攻撃を行なうらしい。今の状況に対応した剣技という訳だね。使ってみるか。)
『疾風乱舞!』
初めて使う技のはずなのに、長年磨き上げられた技の様に自然と体が動いて攻撃を繰り返していった…。
《ズシュ!》《ザンッ!》《グサッ!》
「うわぁぁぁ!」「ぎぁぁ!」「く、くるなぁー!わぁぁ!」
いつもよりも更に素早く移動し、次々と敵を倒して行く…。
敵からの攻撃も勿論あるものの、相手の動作が妙に遅く感じられており、容易に回避できてしまった。
剣術スキルを発動してから一気に12名もの盗賊を相手に全滅させたのであった…。
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