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第一章 ジンディオールの復讐編
第5話 ゴブリン襲撃
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「ゴブリンだ!ゴブリンが襲ってくるぞ!」
夕暮れの空が赤く染まり始めた頃…。
私は、村人たちと一緒に夕食の準備をしていた。
突然、トネリコさんが慌てて走ってきて、村人たちに叫んだ。
ゴブリンとは、この世界に住む魔物の一種だ。
人間と似た姿をしているが、緑色の肌と尖った耳、鋭い牙を持つ。
知能は低いが、手先は器用で、棍棒や石などを武器に使う。
魔物の中では弱い方だが、群れで暴れ回り、人間に危害を加えることもある。恐ろしい存在だ。
この辺りは魔物の出現が少ないと聞いていたが、今回の襲撃はまさに災難だった…。
村の北側から、ゴブリンたちがどこからともなく現れた。ざっと数えても20体はいるだろう。
村人たちは、ゴブリンから逃げるために家に引きこもったり、森に隠れたりした。
男たちはなんとか武器らしきものを手に入れて集まった。
私もアシュアさんと一緒に男衆の仲間入りをした。敵の到来に備えるためである。
(あれがゴブリンか…。想像していたよりもずっと恐ろしい。小さな悪魔という感じだ。)
怖かったが、このままでは皆殺しにされてしまう。戦わなければならないと覚悟を決めた。
ジンディオールのように魔剣士スキルを使えればいいのだが、副隊長のフレイに能力を奪われてしまった。
そこでアシュアさんから借りたのは、草刈り用の鎌を木の棒に縛り付けたものだった。
(拙い作りの武器だが、長さもあって使えそうだな。)
村長のライズさんが指揮を執り、戦闘が始まった。
男衆は30名ほど集まっており、数ではゴブリンよりも多かった。
「二人で一匹ずつ相手にしろ!行くぞ!」
「おぉぉぉぉ!!」
私は危険なチームがあれば助けるように頼まれて、一人で動くことにした。
村人たちは二人で一匹のゴブリンと戦っているが、戦闘経験が少ないせいか苦戦している。
「やめろ!近寄るな!」
《ゴンッ!》
「うわぁぁぁ!」
ゴブリンたちは村人よりも力が強く、攻撃を受けて負傷する者が続出している。
私は傷ついた村人を見つけると、助太刀に入り、ゴブリンを斬り倒していく。
「やぁぁぁ!」
「グワァァァ!」
平和な日本で暮らしていた私にとって、こんな戦闘は初めての経験だった。
しかし、戦っているうちに攻撃のタイミングや相手との距離感、防御の方法などが自然に身についていたのだった。
やがて、ゴブリンとの戦いに余裕を感じるようになっていた。
魔剣士のスキルは失われてしまったが、剣術レベル5というスキルが残っていたので、それが役に立ったのかも知れない。
「うりゃ!まだまだ!はぁぁぁ!」
気がつけば私は一人で大活躍しており、ゴブリンたちを次々と倒していった。
20体いたゴブリンのうち14体は私が倒していた。
「ジンさん!すごいです!強いんですね?」
ゴブリンの討伐が終わると、女子供たちが避難していた場所よりジュリアさんが駆け寄ってきた。
どうやら先ほどの戦闘を見ていたらしい。
「自分でもびっくりしているよ。まさか、こんなに戦えるとは思ってもみなかったからね。」
「ジンさん、すごいよ!」「やはり俺の目は正しかったな!娘を嫁にやるぞ!」「ジンさん。負傷者もいますが、最小限の被害で済みました。あなたのおかげです。本当にありがとう。」
村人たちから感謝の言葉をたくさんもらった。
自分はただ必死に戦っただけだが、村人たちを救えたことや感謝されたことは本当に嬉しかった。
「この村にジンさんが来てくれたのは、神様のご加護だったのかもしれぬのぅ。」
私の隣にアシュアさんが現れて、私の肩にそっと手を置いてつぶやいた。
(そうだとしたら、きっとあの幼女神の仕業なのだろう…。)
「ジュリア!負傷者の手当てを手伝ってあげなさい。」
「うん、おじいちゃん。任せて!」
ジュリアさんは、腕を噛まれたり、頭を打ったりして血を流している村人たちのもとに駆けて行った。
「聖なる光よ、傷ついた者を癒したまえ!『聖治癒!』」
ジュリアさんが不思議な言葉を口ずさむと、緑色の優しい光が現れて傷口を包んだ。
傷は徐々に消えていき、やがて完全に塞がった。
「凄い!傷が治ってしまった…。ジュリアさん、今のは?」
「えへへ。今のは治癒魔法で『聖治癒』っていうんです。」
「治癒魔法『聖治癒』…。魔法なのかい!?初めて見るよ。素晴らしいね!」
「ありがとうございます。ですが、褒められすぎると何だか恥ずかしいです。」
「おお!ジュリアが照れてるぞ!」「おお!恋の予感か!青春だねぇ。」「ジンさんはカッコいいからなぁ。」
「みなさん、からかわないでくださいよぉ!」
村人たちの治療が終わると、私とのことでからかわれたジュリアさんは、顔を真っ赤にして逃げるように立ち去ってしまった。
(あれが魔法か。この世界には本当に魔法があるんだね。ワクワクするなぁ。俺も習得できればあんな風にできるかな。何だか滾ってキター!)
「うしゃー!」
「おっ、ジンさんも満更じゃないみたいだぞ!」「アハハ!いいじゃんいいじゃん!」「この色男!」
「あっ、そういう意味ではなくて…。」
完全に勘違いされてしまったのであった…。
夕暮れの空が赤く染まり始めた頃…。
私は、村人たちと一緒に夕食の準備をしていた。
突然、トネリコさんが慌てて走ってきて、村人たちに叫んだ。
ゴブリンとは、この世界に住む魔物の一種だ。
人間と似た姿をしているが、緑色の肌と尖った耳、鋭い牙を持つ。
知能は低いが、手先は器用で、棍棒や石などを武器に使う。
魔物の中では弱い方だが、群れで暴れ回り、人間に危害を加えることもある。恐ろしい存在だ。
この辺りは魔物の出現が少ないと聞いていたが、今回の襲撃はまさに災難だった…。
村の北側から、ゴブリンたちがどこからともなく現れた。ざっと数えても20体はいるだろう。
村人たちは、ゴブリンから逃げるために家に引きこもったり、森に隠れたりした。
男たちはなんとか武器らしきものを手に入れて集まった。
私もアシュアさんと一緒に男衆の仲間入りをした。敵の到来に備えるためである。
(あれがゴブリンか…。想像していたよりもずっと恐ろしい。小さな悪魔という感じだ。)
怖かったが、このままでは皆殺しにされてしまう。戦わなければならないと覚悟を決めた。
ジンディオールのように魔剣士スキルを使えればいいのだが、副隊長のフレイに能力を奪われてしまった。
そこでアシュアさんから借りたのは、草刈り用の鎌を木の棒に縛り付けたものだった。
(拙い作りの武器だが、長さもあって使えそうだな。)
村長のライズさんが指揮を執り、戦闘が始まった。
男衆は30名ほど集まっており、数ではゴブリンよりも多かった。
「二人で一匹ずつ相手にしろ!行くぞ!」
「おぉぉぉぉ!!」
私は危険なチームがあれば助けるように頼まれて、一人で動くことにした。
村人たちは二人で一匹のゴブリンと戦っているが、戦闘経験が少ないせいか苦戦している。
「やめろ!近寄るな!」
《ゴンッ!》
「うわぁぁぁ!」
ゴブリンたちは村人よりも力が強く、攻撃を受けて負傷する者が続出している。
私は傷ついた村人を見つけると、助太刀に入り、ゴブリンを斬り倒していく。
「やぁぁぁ!」
「グワァァァ!」
平和な日本で暮らしていた私にとって、こんな戦闘は初めての経験だった。
しかし、戦っているうちに攻撃のタイミングや相手との距離感、防御の方法などが自然に身についていたのだった。
やがて、ゴブリンとの戦いに余裕を感じるようになっていた。
魔剣士のスキルは失われてしまったが、剣術レベル5というスキルが残っていたので、それが役に立ったのかも知れない。
「うりゃ!まだまだ!はぁぁぁ!」
気がつけば私は一人で大活躍しており、ゴブリンたちを次々と倒していった。
20体いたゴブリンのうち14体は私が倒していた。
「ジンさん!すごいです!強いんですね?」
ゴブリンの討伐が終わると、女子供たちが避難していた場所よりジュリアさんが駆け寄ってきた。
どうやら先ほどの戦闘を見ていたらしい。
「自分でもびっくりしているよ。まさか、こんなに戦えるとは思ってもみなかったからね。」
「ジンさん、すごいよ!」「やはり俺の目は正しかったな!娘を嫁にやるぞ!」「ジンさん。負傷者もいますが、最小限の被害で済みました。あなたのおかげです。本当にありがとう。」
村人たちから感謝の言葉をたくさんもらった。
自分はただ必死に戦っただけだが、村人たちを救えたことや感謝されたことは本当に嬉しかった。
「この村にジンさんが来てくれたのは、神様のご加護だったのかもしれぬのぅ。」
私の隣にアシュアさんが現れて、私の肩にそっと手を置いてつぶやいた。
(そうだとしたら、きっとあの幼女神の仕業なのだろう…。)
「ジュリア!負傷者の手当てを手伝ってあげなさい。」
「うん、おじいちゃん。任せて!」
ジュリアさんは、腕を噛まれたり、頭を打ったりして血を流している村人たちのもとに駆けて行った。
「聖なる光よ、傷ついた者を癒したまえ!『聖治癒!』」
ジュリアさんが不思議な言葉を口ずさむと、緑色の優しい光が現れて傷口を包んだ。
傷は徐々に消えていき、やがて完全に塞がった。
「凄い!傷が治ってしまった…。ジュリアさん、今のは?」
「えへへ。今のは治癒魔法で『聖治癒』っていうんです。」
「治癒魔法『聖治癒』…。魔法なのかい!?初めて見るよ。素晴らしいね!」
「ありがとうございます。ですが、褒められすぎると何だか恥ずかしいです。」
「おお!ジュリアが照れてるぞ!」「おお!恋の予感か!青春だねぇ。」「ジンさんはカッコいいからなぁ。」
「みなさん、からかわないでくださいよぉ!」
村人たちの治療が終わると、私とのことでからかわれたジュリアさんは、顔を真っ赤にして逃げるように立ち去ってしまった。
(あれが魔法か。この世界には本当に魔法があるんだね。ワクワクするなぁ。俺も習得できればあんな風にできるかな。何だか滾ってキター!)
「うしゃー!」
「おっ、ジンさんも満更じゃないみたいだぞ!」「アハハ!いいじゃんいいじゃん!」「この色男!」
「あっ、そういう意味ではなくて…。」
完全に勘違いされてしまったのであった…。
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