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第一章 恋愛編
第22話 退院のお祝い(前編)
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《ピコン!》
スマートフォンが軽やかに通知音を響かせ、私は急いで画面を確かめた。
そこには、Moblie Messengerアプリ『Lane』より、拓弥君からのメッセージが届いていた。
息を飲んでその内容に目を通す。
『ようやく退院できた!』
彼の退院の報せを聞いて、私は心が躍った。
私は拓弥君が倒れた時の様子を目撃していたため、彼がここまで回復できたことは、奇跡的な出来事だと感じていたからだ。
そして、彼が無事に退院できたことを知り、私は感謝と喜びに胸を打たれた。
『良かったね。退院おめでとう!』
私は素直な気持ちを、そのままシンプルな文章で返信した。
しばらくすると、再び彼からの返信が届いた。
『退院したらお祝いして貰えるって話だったけど、二人でこられそうかな?』
私は、その内容に戸惑いを隠せなかった。
恵美さんとはあまり気が合わなそうだし、関係のない新田さんを連れて行くのもなんだか気が引ける。
でも、彼の退院をお祝いしたい気持ちは否定できなかった。
前回会った時に、そういう話になっていたし…。
(二人きりでお祝いできるなら、最高だったのに…。)
しかし、私たちはお互いにパートナーがいる立場であるため、二人きりで会うことは問題があるだろうと思った。
『お祝いしたい気持ちはあるんだけど、私が彼を連れてきたら、拓弥君が嫉妬しちゃうと思いますけど?』
私は、少し意地悪な文章内容にして彼に返信した。
『そりゃ妬くよ。でも、俺も恵美がいるし、言えた立場じゃないけどね。ていうか、真由。その文章は悪意こもってない!?』
『ごめんなさい。こもってるわ。』
本当は、恵美さんのことも拓弥君には話しておきたかったけど、彼を心配させてしまうのは気の毒なので、恵美さんのことには触れないでおいた。
『会場や内容、日にちはこちらで考えておくわね。』
『ありがとう。任せるよ。』
結局、拓弥君のお祝いを新田さんを交えて四人でやることが決まった。
◇ 居酒屋 よっちゃん ◇
拓弥君から退院の連絡を貰った次の日、新田さんに誘われて、彼の行きつけの居酒屋に来ていた。
「よっちゃん、焼き鳥とホッケと生追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「で、その同級生の退院をお祝いする為に、俺が呼ばれた訳だ…。」
「そうなんです。面倒なことに巻き込んでごめんなさいね。」
「そんなことないさ!真由ちゃんとデートできるチャンスが増えるし、全然構わないよ。」
「ありがとうございます。新田さん。」
「へへっ。真由ちゃんに礼を言われると照れるんだよなぁ。」
「よっちゃん、アスパラ巻も追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「真由ちゃん、バーベキューならどうよ?飲み屋とか飯屋だと畏まっちゃうだろ?肉焼きながら、ビール飲んで騒げば、不慣れな相手でも何とかなるさ!」
「そうですね!いい考えだと思います。」
「焼くのは任せてよ。肉だろうが、焼きそばだろうが、何でもこいよ!」
「その時の新田さんの姿が目に浮かびます。」
「あはは。そうでしょ?バーベキューは任せてよ。」
「よっちゃん、お勘定!」
「あいよ!ありがとう!」
新田さんの性格なら二人相手でも上手くやってくれるだろう。
でも、問題は私なのよね。
私が拓弥君に新田さんとの様子を見せるのは気が引けるし、拓弥君達の親しげな様子も見たくない気がする…。
帰りのタクシーではそんなことを考えながら移動していた。
「新田さん。いつもご馳走してくれてありがとうございます。」
「いいって!俺は真由ちゃんと二人きりで酒飲んだり、美味い飯食えて最高なんだから。」
私のマンションの前でタクシーは停車する。
新田さんに手を振りタクシーを見送った。
新田さんは、本当にいい方だと思う。私はこのまま彼について行けばいいのか、それとも…。
ほろ酔い気分であれこれ考えてしまうのであった…。
スマートフォンが軽やかに通知音を響かせ、私は急いで画面を確かめた。
そこには、Moblie Messengerアプリ『Lane』より、拓弥君からのメッセージが届いていた。
息を飲んでその内容に目を通す。
『ようやく退院できた!』
彼の退院の報せを聞いて、私は心が躍った。
私は拓弥君が倒れた時の様子を目撃していたため、彼がここまで回復できたことは、奇跡的な出来事だと感じていたからだ。
そして、彼が無事に退院できたことを知り、私は感謝と喜びに胸を打たれた。
『良かったね。退院おめでとう!』
私は素直な気持ちを、そのままシンプルな文章で返信した。
しばらくすると、再び彼からの返信が届いた。
『退院したらお祝いして貰えるって話だったけど、二人でこられそうかな?』
私は、その内容に戸惑いを隠せなかった。
恵美さんとはあまり気が合わなそうだし、関係のない新田さんを連れて行くのもなんだか気が引ける。
でも、彼の退院をお祝いしたい気持ちは否定できなかった。
前回会った時に、そういう話になっていたし…。
(二人きりでお祝いできるなら、最高だったのに…。)
しかし、私たちはお互いにパートナーがいる立場であるため、二人きりで会うことは問題があるだろうと思った。
『お祝いしたい気持ちはあるんだけど、私が彼を連れてきたら、拓弥君が嫉妬しちゃうと思いますけど?』
私は、少し意地悪な文章内容にして彼に返信した。
『そりゃ妬くよ。でも、俺も恵美がいるし、言えた立場じゃないけどね。ていうか、真由。その文章は悪意こもってない!?』
『ごめんなさい。こもってるわ。』
本当は、恵美さんのことも拓弥君には話しておきたかったけど、彼を心配させてしまうのは気の毒なので、恵美さんのことには触れないでおいた。
『会場や内容、日にちはこちらで考えておくわね。』
『ありがとう。任せるよ。』
結局、拓弥君のお祝いを新田さんを交えて四人でやることが決まった。
◇ 居酒屋 よっちゃん ◇
拓弥君から退院の連絡を貰った次の日、新田さんに誘われて、彼の行きつけの居酒屋に来ていた。
「よっちゃん、焼き鳥とホッケと生追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「で、その同級生の退院をお祝いする為に、俺が呼ばれた訳だ…。」
「そうなんです。面倒なことに巻き込んでごめんなさいね。」
「そんなことないさ!真由ちゃんとデートできるチャンスが増えるし、全然構わないよ。」
「ありがとうございます。新田さん。」
「へへっ。真由ちゃんに礼を言われると照れるんだよなぁ。」
「よっちゃん、アスパラ巻も追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「真由ちゃん、バーベキューならどうよ?飲み屋とか飯屋だと畏まっちゃうだろ?肉焼きながら、ビール飲んで騒げば、不慣れな相手でも何とかなるさ!」
「そうですね!いい考えだと思います。」
「焼くのは任せてよ。肉だろうが、焼きそばだろうが、何でもこいよ!」
「その時の新田さんの姿が目に浮かびます。」
「あはは。そうでしょ?バーベキューは任せてよ。」
「よっちゃん、お勘定!」
「あいよ!ありがとう!」
新田さんの性格なら二人相手でも上手くやってくれるだろう。
でも、問題は私なのよね。
私が拓弥君に新田さんとの様子を見せるのは気が引けるし、拓弥君達の親しげな様子も見たくない気がする…。
帰りのタクシーではそんなことを考えながら移動していた。
「新田さん。いつもご馳走してくれてありがとうございます。」
「いいって!俺は真由ちゃんと二人きりで酒飲んだり、美味い飯食えて最高なんだから。」
私のマンションの前でタクシーは停車する。
新田さんに手を振りタクシーを見送った。
新田さんは、本当にいい方だと思う。私はこのまま彼について行けばいいのか、それとも…。
ほろ酔い気分であれこれ考えてしまうのであった…。
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