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第5章 バロー公国編
第97話 異世界ラーメン
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昨日、王城にて子爵位を賜った。
私は上級魔族討伐の功績により、王様からその栄誉を授かったのだ。
しかし、エチゴヤのオーナーとしての役割は変わらない。
しばらく遠征で王都を留守にするので、ポーションの作成を始めとして、様々な商品の準備を行っている。
商業ギルドでの素材の購入、商品の製造、在庫の管理、販売など、やるべきことは多岐に渡る。
商品の製造については、旅先の空き時間でも可能なので、素材の仕入れは、いつも多めに行う様にしている。
私は、ポーションや強化薬などの製造の合間に、新商品の開発も行っていた。
今回開発した物は『ラーメン』である。
ラーメンを作るきっかけは単純だった。
この世界に来る一週間前、東京の有名店へ行き、並んでまでして食べたラーメンが忘れられなかった。
この世界には存在していないことを知り、自分で作ろうと思ったのだ。
タイゲンさんが米や小麦や大豆をこの世界で再現し、醤油や味噌などを現代へ引き継いでくれたことは非常に幸運だった。
エイチさんが有する地球の知識とタイゲンさんが残してくれた食材があってこそのラーメンの誕生だ。
私は、すぐに麺の製麺機を作り上げた。これで誰でも本格的な製麺ができる。
スープはエイチさんから入手したレシピを参考にして試作を繰り返した。
自分の力では満足する味に到達できず、料理長に協力して頂いた。
様々な調味料や隠し味などの工夫を何度も行ってくれた。
その結果、ようやく日本で食べたことのあるラーメン店レベルの味に到達した。
日本の名店の味とまではいかないが、麺もスープもかなり美味しくできたと思う。
スープは企業秘密でレシピ化し、自分でなくても作り出せるようにしておいた。
私は地下施設で販売ができる様にベニーさんに相談した。
ベニーさんからはすんなり了解を頂けたのでラーメン店開店の為に動くことになった。
ラーメン店専属メンバーはエチゴヤメンバーでは手が回らない為、急遽募ることにした。
料理や給仕の経験者を優遇し、新たに五名がエチゴヤメンバーに加わった。
ラーメン店専属メンバーは、倒産した食堂の元店主、人間族のゴーザスさん。獣人の村から最近移住した熊人族のマクさん。港町ペルモートの料理人で修行の為に王都へ訪れた狐人族のレンレさん。給仕の経験がある流れエルフのワーリンさん。王都在住で成人になったばかりの人間族ミルルさん。この方々が新たなメンバーとして働いてくれることになった。
問題はラーメンの価格だ。
ラーメン店では貧富を問わず幅広い方に喜んで頂けることを想定している。
したがって、あまり高い料金にしてしまうと一般客が定着することが難しくなってしまう。
この世界では庶民が一食に掛ける食費はおおよそで銅貨三枚程度だそうだ。
そこでラーメン一杯を銅貨三枚で提供することを目標とし、料理長と相談して素材にかかるコストをなるべく削減できないかを話し合った。
うちで作っているラーメンの材料は主に小麦粉、醤油などの調味料、マルポの肉、卵、ナイ(野菜)、植物油だ。
素材で一食分にかかる料金を算出して頂いた所、銅貨3/4枚(約75円)程度かかることがわかった。
これでも充分利益にはなるが販売価格が元々安い為、少しでもコスト削減して利益を伸ばしたい所である。
料理長に聞いた所、素材の購入は王都の各商店から購入しての金額になるそうだ。
こうなると農家や製造所の料金から商店の利益分上乗せされる為に、価格がどうしても上がってしまう。
そこで私は、秘技『直接契約』を思いついた。
製造元と直接取引することで中間マージンをカットするのが狙いである。
私はベニーさんにお願いして信頼のできる農家さんや製造所さんの情報を頂いた。
小麦の製粉屋に養鶏所、醤油屋、製油所など自らが出向いて頭を下げた。
ベニーさんの顔やサカモト子爵の評判も相まって、全ての直接契約が無事に締結された。
結果一杯あたりが元々銅貨3/4枚(約75円)だった材料費は銅貨1/3枚(約33円まで)削減ができた。
その後、私はラーメン店の名前を『異世界ラーメン』に決めた。
ミリモルさんには、「センスがない」と呆れられたが、私は気に入っている。
ラーメン店メンバーの教育は、料理長がラーメン作りの指導をし、リヨンさんが給仕の指導をしてくれた。
ラーメン店オープンの準備は着々と進んでいる。
ーーー
エチゴヤが開発したのはラーメンだけではなかった。
ラーメン作りのノウハウを応用して新製品の開発を行っている。
名付けて『カップラーメン』である。
この世界では保存食の存在が非常に希薄だ。
保存食と言えば干し肉か魚の干物程度。しかも味付けもなく、とにかく不味い。
私はこの世界に新しい保存食を作れないかと思いカップラーメンに辿り着いた。
カップラーメンは製麺後の麺にラーメンスープとして合成した調味料を漬け染み込ませる。
その後、植物油を使って揚げてしまう。カラッと揚がった麺を乾燥させれば完成だ。
ラーメン店で使用する予定のラーメンどんぶりに乾燥した麺をのせて沸騰したお湯を注ぎ蓋をする。
お湯で麺がふやければ食べられる。
箸を入れてスープと麺を良く馴染ませる。
麺がほぐれてスープが檜皮色に染まっていく。
自分の知っているカップラーメンが目の前に表れた。
「よし!できた!味もこれなら大丈夫だろう。ああ、ミザーリアさん丁度いい所に来てくれました。試作中のカップラーメンです。試食してみませんか?」
「あらあら。わたしに声掛けてくれるなんて嬉しいわね。お腹空いてたのよ。では、頂きます……まあ!とても美味しいわ!初めての味と食感だけど、癖になりそう。」
ミザーリアさんが美味しそうに食べてる様子を見ると嬉しくなってしまう。
こちらの世界でも通じる味だったようだ。
「良かったです。エチゴヤの皆さんにも感想を聞いてみましょう。」
私はこの後、企業秘密のレシピを作成し、自分以外のメンバーでも製造できるようにしておいた。
他のメンバーにも試食して頂いたが、反応は上々だった。
価格次第では人気が出そうだなと手応えを感じた。
「だが主よ。このラーメンが美味いのはわかったけどよ、器はどうするんだ?このどんぶりとセットで販売と言う訳にもいかないだろうよ。」
「確かにそうですね…」
アッシュさんが指摘した通り、どんぶりで販売するのは悪手だ。
味付け乾燥麺の低コスト化に成功しても器が高価では本末転倒だ。
しかも重量のあるどんぶりでは保存食としても携行食としても問題だろう。
(エイチさん。日本のカップラーメンの様な発砲スチロールの器を作ることは可能ですか?)
〘 マスター、叡智の内部スキル『ウィキー』に接続します。〙
〘 接続中…。検索完了しました。〙
〘 同等の物をこの世界で作成することは可能です。ただし、器がゴミとして多数ポイ捨てされた場合、マスターがゴミ問題の責任を問われる可能性は95パーセントです。〙
「確かに。日本でもゴミ問題は深刻だったからなぁ。では植物や動物などを利用して環境に優しい器を作ることはできますか?」
〘 検索中…。…検索完了。〙
〘 可能です。マスターの希望に合う案が21件あります。入手難易度や入手コストを考慮した場合、最適解は1件あります。〙
(最後の最適解を教えてください。)
〘 YES、マスター。スライムの死体を利用します。〙
(スライムだって?その辺の草原とかに普通にいるプヨプヨの魔物だよね?)
〘 肯定します、マスター。特殊な加工を施すと器としての利用が可能です。また使用後にゴミとして捨てられても地面に存在する微生物や細菌、昆虫などによって分解、捕食されます。ある程度分解されると体の形態を維持できなくなり液体化します。最終的には地面に吸収されてやがて消滅します。〙
(なるほど。確かスライムは地面の微生物や細菌、昆虫などを捕食すると聞いたことがあったが、全く逆になってしまう訳か…)
これで器の問題はスライムが解決してくれることになった…。
「ではアッシュさん。少し頼まれて下さい。スライムを沢山採ってきて下さい。」
「スライムだって?いいけどよ。後で詳しく教えてくれよ。」
アッシュさんは、スライム狩りに出かけた。
私は、待っている間に、エイチさんから教わった道具を作ることにした。
スライムの体は、高温で液体化し、低温で固体化する性質がある。
その性質を利用して、スライムを器に加工する方法だ。
まず、スライム用の大鍋をクリエイトスキルで作り、カップの形を取る金型も作った。
ついでなのでフォークの金型も用意した。最後に、クーラーボックスも作成する。
これは、氷魔法の小魔法陣を付与して、魔石で起動する仕組みだ。
製造の準備が整った頃、アッシュさんがスライム狩りから帰ってきた。
マジックバックに40匹分のスライムが入っていた。
頂いたスライムを大鍋で加熱して液体にし、金型に流し込んだ。
それをクーラーボックスに入れて冷却する。冷えて固体化したら金型を外す。
すると、透明で美しいカップと箸が完成した。
私は自分の作品にとても満足した。
アッシュさんも喜んでくれるだろうか。
「おぉ、これがスライムカップとスライムフォークかよ。見た目は素晴らしいな。強度はどうだかな?」
《コン!コン!》
アッシュさんが手の甲で軽く叩くと、コンコンと音が鳴り響く。
壊れたり凹んだりはしていないようだ。
「結構しっかりしてるじゃないか。主よ、流石だよ。」
「ありがとうございます。」
私も実際に触ってみたが、かなりしっかりしている。
プラスチックのような感じに近いかもしれない。これは…もしかして…。
(エイチさん、これってまさか、プラスチックの代用になるんじゃない?)
〘 肯定します、マスター。それも見越しての提案でした。マスター的には『ヤバイ』かもしれませんね。〙
(本当に『ヤバイ』ね。というか、あなたジョーク言えるんですね。)
〘 私の認識名である『叡智』も日々成長しておりますので…。〙
「こりゃ、カップラーメンからとんでもない副産物が生まれてしまったぞ。」
エイチさんに上蓋の接着と密封の方法を教わり、異世界版のカップラーメンが完成した。
上蓋を剥がせばお湯を注ぎ、しばらく待つだけでラーメンがどこでも楽しめるようになった。
材料費に関しては、スライムカップ込みで、銅貨1/5(20円)以下に抑えることができたので、銅貨一枚での販売を目指している。
冒険者が遠征などで携行食として持ち歩く日も近いのかもしれない…。
―――― to be continued ――――
私は上級魔族討伐の功績により、王様からその栄誉を授かったのだ。
しかし、エチゴヤのオーナーとしての役割は変わらない。
しばらく遠征で王都を留守にするので、ポーションの作成を始めとして、様々な商品の準備を行っている。
商業ギルドでの素材の購入、商品の製造、在庫の管理、販売など、やるべきことは多岐に渡る。
商品の製造については、旅先の空き時間でも可能なので、素材の仕入れは、いつも多めに行う様にしている。
私は、ポーションや強化薬などの製造の合間に、新商品の開発も行っていた。
今回開発した物は『ラーメン』である。
ラーメンを作るきっかけは単純だった。
この世界に来る一週間前、東京の有名店へ行き、並んでまでして食べたラーメンが忘れられなかった。
この世界には存在していないことを知り、自分で作ろうと思ったのだ。
タイゲンさんが米や小麦や大豆をこの世界で再現し、醤油や味噌などを現代へ引き継いでくれたことは非常に幸運だった。
エイチさんが有する地球の知識とタイゲンさんが残してくれた食材があってこそのラーメンの誕生だ。
私は、すぐに麺の製麺機を作り上げた。これで誰でも本格的な製麺ができる。
スープはエイチさんから入手したレシピを参考にして試作を繰り返した。
自分の力では満足する味に到達できず、料理長に協力して頂いた。
様々な調味料や隠し味などの工夫を何度も行ってくれた。
その結果、ようやく日本で食べたことのあるラーメン店レベルの味に到達した。
日本の名店の味とまではいかないが、麺もスープもかなり美味しくできたと思う。
スープは企業秘密でレシピ化し、自分でなくても作り出せるようにしておいた。
私は地下施設で販売ができる様にベニーさんに相談した。
ベニーさんからはすんなり了解を頂けたのでラーメン店開店の為に動くことになった。
ラーメン店専属メンバーはエチゴヤメンバーでは手が回らない為、急遽募ることにした。
料理や給仕の経験者を優遇し、新たに五名がエチゴヤメンバーに加わった。
ラーメン店専属メンバーは、倒産した食堂の元店主、人間族のゴーザスさん。獣人の村から最近移住した熊人族のマクさん。港町ペルモートの料理人で修行の為に王都へ訪れた狐人族のレンレさん。給仕の経験がある流れエルフのワーリンさん。王都在住で成人になったばかりの人間族ミルルさん。この方々が新たなメンバーとして働いてくれることになった。
問題はラーメンの価格だ。
ラーメン店では貧富を問わず幅広い方に喜んで頂けることを想定している。
したがって、あまり高い料金にしてしまうと一般客が定着することが難しくなってしまう。
この世界では庶民が一食に掛ける食費はおおよそで銅貨三枚程度だそうだ。
そこでラーメン一杯を銅貨三枚で提供することを目標とし、料理長と相談して素材にかかるコストをなるべく削減できないかを話し合った。
うちで作っているラーメンの材料は主に小麦粉、醤油などの調味料、マルポの肉、卵、ナイ(野菜)、植物油だ。
素材で一食分にかかる料金を算出して頂いた所、銅貨3/4枚(約75円)程度かかることがわかった。
これでも充分利益にはなるが販売価格が元々安い為、少しでもコスト削減して利益を伸ばしたい所である。
料理長に聞いた所、素材の購入は王都の各商店から購入しての金額になるそうだ。
こうなると農家や製造所の料金から商店の利益分上乗せされる為に、価格がどうしても上がってしまう。
そこで私は、秘技『直接契約』を思いついた。
製造元と直接取引することで中間マージンをカットするのが狙いである。
私はベニーさんにお願いして信頼のできる農家さんや製造所さんの情報を頂いた。
小麦の製粉屋に養鶏所、醤油屋、製油所など自らが出向いて頭を下げた。
ベニーさんの顔やサカモト子爵の評判も相まって、全ての直接契約が無事に締結された。
結果一杯あたりが元々銅貨3/4枚(約75円)だった材料費は銅貨1/3枚(約33円まで)削減ができた。
その後、私はラーメン店の名前を『異世界ラーメン』に決めた。
ミリモルさんには、「センスがない」と呆れられたが、私は気に入っている。
ラーメン店メンバーの教育は、料理長がラーメン作りの指導をし、リヨンさんが給仕の指導をしてくれた。
ラーメン店オープンの準備は着々と進んでいる。
ーーー
エチゴヤが開発したのはラーメンだけではなかった。
ラーメン作りのノウハウを応用して新製品の開発を行っている。
名付けて『カップラーメン』である。
この世界では保存食の存在が非常に希薄だ。
保存食と言えば干し肉か魚の干物程度。しかも味付けもなく、とにかく不味い。
私はこの世界に新しい保存食を作れないかと思いカップラーメンに辿り着いた。
カップラーメンは製麺後の麺にラーメンスープとして合成した調味料を漬け染み込ませる。
その後、植物油を使って揚げてしまう。カラッと揚がった麺を乾燥させれば完成だ。
ラーメン店で使用する予定のラーメンどんぶりに乾燥した麺をのせて沸騰したお湯を注ぎ蓋をする。
お湯で麺がふやければ食べられる。
箸を入れてスープと麺を良く馴染ませる。
麺がほぐれてスープが檜皮色に染まっていく。
自分の知っているカップラーメンが目の前に表れた。
「よし!できた!味もこれなら大丈夫だろう。ああ、ミザーリアさん丁度いい所に来てくれました。試作中のカップラーメンです。試食してみませんか?」
「あらあら。わたしに声掛けてくれるなんて嬉しいわね。お腹空いてたのよ。では、頂きます……まあ!とても美味しいわ!初めての味と食感だけど、癖になりそう。」
ミザーリアさんが美味しそうに食べてる様子を見ると嬉しくなってしまう。
こちらの世界でも通じる味だったようだ。
「良かったです。エチゴヤの皆さんにも感想を聞いてみましょう。」
私はこの後、企業秘密のレシピを作成し、自分以外のメンバーでも製造できるようにしておいた。
他のメンバーにも試食して頂いたが、反応は上々だった。
価格次第では人気が出そうだなと手応えを感じた。
「だが主よ。このラーメンが美味いのはわかったけどよ、器はどうするんだ?このどんぶりとセットで販売と言う訳にもいかないだろうよ。」
「確かにそうですね…」
アッシュさんが指摘した通り、どんぶりで販売するのは悪手だ。
味付け乾燥麺の低コスト化に成功しても器が高価では本末転倒だ。
しかも重量のあるどんぶりでは保存食としても携行食としても問題だろう。
(エイチさん。日本のカップラーメンの様な発砲スチロールの器を作ることは可能ですか?)
〘 マスター、叡智の内部スキル『ウィキー』に接続します。〙
〘 接続中…。検索完了しました。〙
〘 同等の物をこの世界で作成することは可能です。ただし、器がゴミとして多数ポイ捨てされた場合、マスターがゴミ問題の責任を問われる可能性は95パーセントです。〙
「確かに。日本でもゴミ問題は深刻だったからなぁ。では植物や動物などを利用して環境に優しい器を作ることはできますか?」
〘 検索中…。…検索完了。〙
〘 可能です。マスターの希望に合う案が21件あります。入手難易度や入手コストを考慮した場合、最適解は1件あります。〙
(最後の最適解を教えてください。)
〘 YES、マスター。スライムの死体を利用します。〙
(スライムだって?その辺の草原とかに普通にいるプヨプヨの魔物だよね?)
〘 肯定します、マスター。特殊な加工を施すと器としての利用が可能です。また使用後にゴミとして捨てられても地面に存在する微生物や細菌、昆虫などによって分解、捕食されます。ある程度分解されると体の形態を維持できなくなり液体化します。最終的には地面に吸収されてやがて消滅します。〙
(なるほど。確かスライムは地面の微生物や細菌、昆虫などを捕食すると聞いたことがあったが、全く逆になってしまう訳か…)
これで器の問題はスライムが解決してくれることになった…。
「ではアッシュさん。少し頼まれて下さい。スライムを沢山採ってきて下さい。」
「スライムだって?いいけどよ。後で詳しく教えてくれよ。」
アッシュさんは、スライム狩りに出かけた。
私は、待っている間に、エイチさんから教わった道具を作ることにした。
スライムの体は、高温で液体化し、低温で固体化する性質がある。
その性質を利用して、スライムを器に加工する方法だ。
まず、スライム用の大鍋をクリエイトスキルで作り、カップの形を取る金型も作った。
ついでなのでフォークの金型も用意した。最後に、クーラーボックスも作成する。
これは、氷魔法の小魔法陣を付与して、魔石で起動する仕組みだ。
製造の準備が整った頃、アッシュさんがスライム狩りから帰ってきた。
マジックバックに40匹分のスライムが入っていた。
頂いたスライムを大鍋で加熱して液体にし、金型に流し込んだ。
それをクーラーボックスに入れて冷却する。冷えて固体化したら金型を外す。
すると、透明で美しいカップと箸が完成した。
私は自分の作品にとても満足した。
アッシュさんも喜んでくれるだろうか。
「おぉ、これがスライムカップとスライムフォークかよ。見た目は素晴らしいな。強度はどうだかな?」
《コン!コン!》
アッシュさんが手の甲で軽く叩くと、コンコンと音が鳴り響く。
壊れたり凹んだりはしていないようだ。
「結構しっかりしてるじゃないか。主よ、流石だよ。」
「ありがとうございます。」
私も実際に触ってみたが、かなりしっかりしている。
プラスチックのような感じに近いかもしれない。これは…もしかして…。
(エイチさん、これってまさか、プラスチックの代用になるんじゃない?)
〘 肯定します、マスター。それも見越しての提案でした。マスター的には『ヤバイ』かもしれませんね。〙
(本当に『ヤバイ』ね。というか、あなたジョーク言えるんですね。)
〘 私の認識名である『叡智』も日々成長しておりますので…。〙
「こりゃ、カップラーメンからとんでもない副産物が生まれてしまったぞ。」
エイチさんに上蓋の接着と密封の方法を教わり、異世界版のカップラーメンが完成した。
上蓋を剥がせばお湯を注ぎ、しばらく待つだけでラーメンがどこでも楽しめるようになった。
材料費に関しては、スライムカップ込みで、銅貨1/5(20円)以下に抑えることができたので、銅貨一枚での販売を目指している。
冒険者が遠征などで携行食として持ち歩く日も近いのかもしれない…。
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