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第5章 バロー公国編
第95話 新たな情報
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ミリモル邸で久しぶりに目覚める。
光が薄っすらと差し込む中、私は目を開ける。
自分の引き締まった肉体が目に映り、過去の自分を思い出す。
逞しい腕に美女が寄り添い、寝息を立てている。私は静かに起き上がる。
「レイ様、おはようございます!」
リヨンさんと目を合わせる。私たちは、正式に恋人になった。
今の自分は、過去の自分とは全く違うと感じる。
過去に理想としていたことが、今や現実になりつつある。
夢中になれることがあって、やりたいことができる。こんな幸せなことはないと実感する。
魔人アモアの事件が終わり、ほぼのんびりとした生活を送っている。
今日は、ベニーさんに依頼した情報の報告を受けるために、商業ギルドに出向くことになっている。
── 商業ギルド 執務室 ──
リヨンさんを連れて、朝一番で商業ギルドに足を運んだ。
今日は、ギルドマスターのベニーさんに依頼していた情報を聞くためだ。ベニーさんに頼んだ情報は、二つある。
一つ目は、聖剣の素材の場所についてだ。
これは、聖剣の素材であることは伝えず、素材の候補を複数伝えておいた。
もう一つは、魔族技師ボーゲンが残した三つのダンジョンについてだ。
どちらも漠然とした依頼で困難を極めるだろうが、重要な案件だ。
時間がかかってもいいから調べて欲しいと、無理にお願いしていたのだ。
《コン!コン!》
執務室のドアをノックする。
中からは軽快な声が聞こえてきた。私たちは許可を得て、静かに入室する。
入室してすぐ、『悪い予感スキル』が発動した。どうやら室内からの攻撃を察知したようだ。
直ちにウェポンリングからミスリルソードを取り出して攻撃に対処する。
攻撃の対象がベニーさんであることを確認する。そして、同時に、彼のレイピアが目の前に迫ってきていた…。
(これが有名な刺突か。鋭いな。だが…。)
直線的な突き動作の剣先に、ミスリルソードを絡ませるように合わせて、少しだけ上方へ逸らす。
眉間に突き刺さる予定だった剣先は、私の身体から逸れていく。
隙ができた首筋に、こちらの剣が既に止まっていた…。
気づけばリヨンさんの大鎌も反対側の首筋で寸止めされていた…。
「参りました。降参です。いやぁ、お強いですね。」
「ベニー様、またお戯れを。すぐにバトルに持ち込む癖は治りませんか?」
「あはは。リヨン様は手厳しいですな。昔の職業の後遺症とでも言いましょうか…。大変失礼いたしました。申し訳ございません。」
「ベニーさん、本当に驚きました。次は勘弁してくださいね。」
「はい。善処いたします。」
(その笑顔は嘘くさい!直す気はないなこれ。)
「それにしてもレイ様は、お強くなられましたね。以前とは見違えます。もう私では敵わない領域に到達されておりますね。」
「そんな、そんな。お恥ずかしいです。それでお願いしていた件ですが。」
「はい。もちろんです。わざわざお呼び立てしましたのは多少なり情報が得られたからでございます。本日はその報告をさせて頂きます。」
「私たちが得た情報は、『魔族技師ボーゲンのダンジョン』と、依頼された素材の一つである『聖なる種火』の場所です。」
「もう二つもわかったのですね!流石はベニーさんの情報網です。」
「恐縮です。実は、こちらもかなり苦戦しています。噂にも上がりにくい内容でしたので…。幸い、魔族技師ボーゲンのダンジョンと聖なる種火の場所が同一ポイントであるとの情報を得ています。」
「おお、それは丁度いいですね。場所はどこになりますか?」
「バロー公国にあるようです。」
「バロー公国は、どの辺りでしょうか?」
「この辺りです。」
ベニーさんは、王国周辺の地図を取り出し、説明してくれた。
ローランネシア最北にあるのが、先日訪れたサルバネーロ。そのサルバネーロの北側に位置する国が深緑の国家ルーシェル。ルーシェルの大森林の西側に位置するのがバロー公国だそうだ。
王都ミキからだと、北西に位置するようだ。
王都から移動する場合、ルーシェルから西に行くか、ローランネシア北西部にある要塞都市ガドゥーから北に向かうかの二つのルートがあるとのことだ。
ベニーさんによれば、ルーシェルは人間種との関わりを嫌っており、なるべくならガドゥー経由の方が無難だとのことだ。
私たちは、近いうちにガドゥー経由でバロー公国に渡ることになるだろう。
爵位授与式やエチゴヤの店舗の業務、地下施設への対応など出国するまでにやるべきことがいくつかあるので、二週間は王都に滞在するつもりだ。
エチゴヤの業務が一段落してから、遠征に出発することをエチゴヤの皆さんに通達したのだった…。
―――― to be continued ――――
光が薄っすらと差し込む中、私は目を開ける。
自分の引き締まった肉体が目に映り、過去の自分を思い出す。
逞しい腕に美女が寄り添い、寝息を立てている。私は静かに起き上がる。
「レイ様、おはようございます!」
リヨンさんと目を合わせる。私たちは、正式に恋人になった。
今の自分は、過去の自分とは全く違うと感じる。
過去に理想としていたことが、今や現実になりつつある。
夢中になれることがあって、やりたいことができる。こんな幸せなことはないと実感する。
魔人アモアの事件が終わり、ほぼのんびりとした生活を送っている。
今日は、ベニーさんに依頼した情報の報告を受けるために、商業ギルドに出向くことになっている。
── 商業ギルド 執務室 ──
リヨンさんを連れて、朝一番で商業ギルドに足を運んだ。
今日は、ギルドマスターのベニーさんに依頼していた情報を聞くためだ。ベニーさんに頼んだ情報は、二つある。
一つ目は、聖剣の素材の場所についてだ。
これは、聖剣の素材であることは伝えず、素材の候補を複数伝えておいた。
もう一つは、魔族技師ボーゲンが残した三つのダンジョンについてだ。
どちらも漠然とした依頼で困難を極めるだろうが、重要な案件だ。
時間がかかってもいいから調べて欲しいと、無理にお願いしていたのだ。
《コン!コン!》
執務室のドアをノックする。
中からは軽快な声が聞こえてきた。私たちは許可を得て、静かに入室する。
入室してすぐ、『悪い予感スキル』が発動した。どうやら室内からの攻撃を察知したようだ。
直ちにウェポンリングからミスリルソードを取り出して攻撃に対処する。
攻撃の対象がベニーさんであることを確認する。そして、同時に、彼のレイピアが目の前に迫ってきていた…。
(これが有名な刺突か。鋭いな。だが…。)
直線的な突き動作の剣先に、ミスリルソードを絡ませるように合わせて、少しだけ上方へ逸らす。
眉間に突き刺さる予定だった剣先は、私の身体から逸れていく。
隙ができた首筋に、こちらの剣が既に止まっていた…。
気づけばリヨンさんの大鎌も反対側の首筋で寸止めされていた…。
「参りました。降参です。いやぁ、お強いですね。」
「ベニー様、またお戯れを。すぐにバトルに持ち込む癖は治りませんか?」
「あはは。リヨン様は手厳しいですな。昔の職業の後遺症とでも言いましょうか…。大変失礼いたしました。申し訳ございません。」
「ベニーさん、本当に驚きました。次は勘弁してくださいね。」
「はい。善処いたします。」
(その笑顔は嘘くさい!直す気はないなこれ。)
「それにしてもレイ様は、お強くなられましたね。以前とは見違えます。もう私では敵わない領域に到達されておりますね。」
「そんな、そんな。お恥ずかしいです。それでお願いしていた件ですが。」
「はい。もちろんです。わざわざお呼び立てしましたのは多少なり情報が得られたからでございます。本日はその報告をさせて頂きます。」
「私たちが得た情報は、『魔族技師ボーゲンのダンジョン』と、依頼された素材の一つである『聖なる種火』の場所です。」
「もう二つもわかったのですね!流石はベニーさんの情報網です。」
「恐縮です。実は、こちらもかなり苦戦しています。噂にも上がりにくい内容でしたので…。幸い、魔族技師ボーゲンのダンジョンと聖なる種火の場所が同一ポイントであるとの情報を得ています。」
「おお、それは丁度いいですね。場所はどこになりますか?」
「バロー公国にあるようです。」
「バロー公国は、どの辺りでしょうか?」
「この辺りです。」
ベニーさんは、王国周辺の地図を取り出し、説明してくれた。
ローランネシア最北にあるのが、先日訪れたサルバネーロ。そのサルバネーロの北側に位置する国が深緑の国家ルーシェル。ルーシェルの大森林の西側に位置するのがバロー公国だそうだ。
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