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第2章 初めての旅
第41話 出発の前に
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私たち、『エチゴヤ』は、岬の洞窟で起きた事件を解決した。洞窟の奥深くに潜む邪悪な下級魔族とその配下が、近くの村の人々をさらっていたのだ。私たちは、魔族たちとの困難な戦闘に挑み、勝利を収めた。しかし、私たちが到着した時には、既に数人の人々が犠牲になっていた。私たちは、救えなかった人々の無念さを胸に刻んだ。
それでもなお、街の人々は私たちを『英雄』として讃えてくれた。彼らは、私たちに深い感謝の気持ちを示してくれた。私は、彼らの優しさに心が温まった。
さらに、私たちの主要な事業である『エチゴヤ』は大いに繁盛した。私たちが売り出した『超純水』は街中で話題となり、売り切れるほどの人気を博した。『超純塩』も商業ギルドと専売契約を結ぶこととなった。私たちは、予定どおり王都へ帰ることにした。
最後に挨拶の為に商業ギルドを訪れると、ギルドマスターのミューレさんが出迎えてくれた。
――― 商業ギルド 執務室 ―――
ミューレさんは、ミュール家の令嬢である。彼女は品格と美しさに溢れる貴族であり、また非常に知識も深く、賢明な方である。王都のギルマスであるベニーさんからも信頼されている。
「サカモト様、お越しいただきありがとうございます。英雄様と再びお目にかかれることは光栄です。」
「ミューレさん、そんなことを言われると恥ずかしいですよ。それに私は非戦闘員ですから、全てはこの二人の活躍によるものです。」
「そうでしたか。うちの役員として欲しい人材ですね。どうでしょう?あなた達、うちで働きませんか?報酬はサカモト様の1.5倍はお約束致しますよ。」
(さすがは巧みな人物だ。彼女は既に彼女たちの価値と使い道を具体的に計算しているのだろう。そして、彼女たちを活用すれば利益が期待できることを理解しているはずだ。)
私は彼女たちが口を開こうとするのを制止し、発言する。
「いやぁ、ミューレさん。彼女たちはエチゴヤにとって貴重なメンバーなんですよ。彼女たちなしでは、私たちの商家は立ち行かなくなってしまいます。どうかお許しください。」
「フフ。あなたも食えないお方ですわね。いいでしょう。これ以上は止めておきます。それでご用向きは?」
「ありがとうございます。今日は、王都へ帰るにあたり、ご挨拶に伺いました。」
「そうでしたか。もうお帰りになられるのですか…。あなたは、まるで嵐のような方ですわね。『超純塩』の件ですわね?私たちは契約を厳守することをお約束します。実は、既にいくつかの国や貴族から契約の話が上がっております。『超純塩』は、私たちにとっても、エチゴヤにとっても、かなり利益のある契約になりそうです。今後とも宜しくお願い致します。」
(もう、契約先を確保してしまったのか。まだ一昨日の話なのに。彼女は一体どれほど手腕があるのだろう…。)
「こちらこそ宜しくお願い致します。追加の際には、王都の代理者にお申し付けください。」
「承知しました。あ、そうそう。忘れるところでした。これまでのあなたの活躍を評価致しまして、この度、特例措置としてギルドランクをDランクからCランクへと昇格致します。お帰りの際に、ギルドカウンターでCランクのカードを受け取ってください。」
「おぉ、やりましたよ!リヨンさん!ミミ!」
「レイ様の努力が実りましたね!おめでとうございます。」
「ご主人様は、やはりすごいにゃん!」
ミューレさんに深くお辞儀して退室する。ギルドの受付に立ち寄り、ブロンズのDランクカードを手渡し、シルバーのCランクカードを受け取る。
「Cランクおめでとうございます!Cランクになると、レア素材の一部を購入できます。ご覧になりますか?」
「ぜひお願いします。」
リストを見せてもらい、慎重に吟味する。私が特に目を引いたのは、価値☆4のアクアニウム鉱石と、☆4の人魚の鱗に☆3の魔鉱石である。実際に鑑定した所、本物に間違いなかった。予想以上に高価な支払いとなったが、使えそうな素材なので満足である。私たちは、買い物を済ますとギルドを後にした。
「レイ様、先ほど購入した素材は何に使うのですか?とんでもない金額でしたが…。」
「実は、まだ具体的な用途はありません。ただ、珍しい素材を集めることで、何か作りたい時に役立つかもしれないと思っているんです。」
「レイ様のすることは、いつも凄いことばかりですね。ですが、何か驚くことが起こる予感がして、とってもワクワクします。」
「ご主人様は、やはり凄い人んにゃん。にゃんや、リヨンにゃんには難しいことばかりにゃ!」
「私とミミさんではなくて、ミミさんだけでしょう?」
「にゃにゃにゃ!リヨンにゃん、酷いにゃー!」
「あはは。二人ともその位で…。さて、帰りましょうか。リヨンさん、馬車の手配をお願いできますか?そうだ、どうせなら馬車を購入しましょうか。購入することは可能ですか?」
「可能だと思いますが、ご予算はいくらですか?」
「塩や他の商品の売上を合算すると、おおよそ金貨40枚になりました。その後、商業ギルドで素材を購入するために金貨10枚を使用してしまいました。エチゴヤの利益を残すために、金貨15枚を取っておきたいので、残る金貨15枚で探してみましょうか?」
「かしこまりました。」
かなり思い切った買い物になったが、商売での売り上げから金貨15枚を使わずに確保しておいたので、この旅が無駄になったとは思わない。むしろ、『超純塩』の大量確保と専売契約が同時に実現した段階で既に大成功だと言えるだろう。
今後もエチゴヤによる行商を継続していくつもりなので、自分達専用の馬車の所有は必要不可欠なのだ。
自分たちの馬車を所有することが決まると、何だかワクワクしてきた。日本にいた頃に車を購入する時に感じたような興奮に近いような感じがしていたのであった…。
―――― to be continued ――――
それでもなお、街の人々は私たちを『英雄』として讃えてくれた。彼らは、私たちに深い感謝の気持ちを示してくれた。私は、彼らの優しさに心が温まった。
さらに、私たちの主要な事業である『エチゴヤ』は大いに繁盛した。私たちが売り出した『超純水』は街中で話題となり、売り切れるほどの人気を博した。『超純塩』も商業ギルドと専売契約を結ぶこととなった。私たちは、予定どおり王都へ帰ることにした。
最後に挨拶の為に商業ギルドを訪れると、ギルドマスターのミューレさんが出迎えてくれた。
――― 商業ギルド 執務室 ―――
ミューレさんは、ミュール家の令嬢である。彼女は品格と美しさに溢れる貴族であり、また非常に知識も深く、賢明な方である。王都のギルマスであるベニーさんからも信頼されている。
「サカモト様、お越しいただきありがとうございます。英雄様と再びお目にかかれることは光栄です。」
「ミューレさん、そんなことを言われると恥ずかしいですよ。それに私は非戦闘員ですから、全てはこの二人の活躍によるものです。」
「そうでしたか。うちの役員として欲しい人材ですね。どうでしょう?あなた達、うちで働きませんか?報酬はサカモト様の1.5倍はお約束致しますよ。」
(さすがは巧みな人物だ。彼女は既に彼女たちの価値と使い道を具体的に計算しているのだろう。そして、彼女たちを活用すれば利益が期待できることを理解しているはずだ。)
私は彼女たちが口を開こうとするのを制止し、発言する。
「いやぁ、ミューレさん。彼女たちはエチゴヤにとって貴重なメンバーなんですよ。彼女たちなしでは、私たちの商家は立ち行かなくなってしまいます。どうかお許しください。」
「フフ。あなたも食えないお方ですわね。いいでしょう。これ以上は止めておきます。それでご用向きは?」
「ありがとうございます。今日は、王都へ帰るにあたり、ご挨拶に伺いました。」
「そうでしたか。もうお帰りになられるのですか…。あなたは、まるで嵐のような方ですわね。『超純塩』の件ですわね?私たちは契約を厳守することをお約束します。実は、既にいくつかの国や貴族から契約の話が上がっております。『超純塩』は、私たちにとっても、エチゴヤにとっても、かなり利益のある契約になりそうです。今後とも宜しくお願い致します。」
(もう、契約先を確保してしまったのか。まだ一昨日の話なのに。彼女は一体どれほど手腕があるのだろう…。)
「こちらこそ宜しくお願い致します。追加の際には、王都の代理者にお申し付けください。」
「承知しました。あ、そうそう。忘れるところでした。これまでのあなたの活躍を評価致しまして、この度、特例措置としてギルドランクをDランクからCランクへと昇格致します。お帰りの際に、ギルドカウンターでCランクのカードを受け取ってください。」
「おぉ、やりましたよ!リヨンさん!ミミ!」
「レイ様の努力が実りましたね!おめでとうございます。」
「ご主人様は、やはりすごいにゃん!」
ミューレさんに深くお辞儀して退室する。ギルドの受付に立ち寄り、ブロンズのDランクカードを手渡し、シルバーのCランクカードを受け取る。
「Cランクおめでとうございます!Cランクになると、レア素材の一部を購入できます。ご覧になりますか?」
「ぜひお願いします。」
リストを見せてもらい、慎重に吟味する。私が特に目を引いたのは、価値☆4のアクアニウム鉱石と、☆4の人魚の鱗に☆3の魔鉱石である。実際に鑑定した所、本物に間違いなかった。予想以上に高価な支払いとなったが、使えそうな素材なので満足である。私たちは、買い物を済ますとギルドを後にした。
「レイ様、先ほど購入した素材は何に使うのですか?とんでもない金額でしたが…。」
「実は、まだ具体的な用途はありません。ただ、珍しい素材を集めることで、何か作りたい時に役立つかもしれないと思っているんです。」
「レイ様のすることは、いつも凄いことばかりですね。ですが、何か驚くことが起こる予感がして、とってもワクワクします。」
「ご主人様は、やはり凄い人んにゃん。にゃんや、リヨンにゃんには難しいことばかりにゃ!」
「私とミミさんではなくて、ミミさんだけでしょう?」
「にゃにゃにゃ!リヨンにゃん、酷いにゃー!」
「あはは。二人ともその位で…。さて、帰りましょうか。リヨンさん、馬車の手配をお願いできますか?そうだ、どうせなら馬車を購入しましょうか。購入することは可能ですか?」
「可能だと思いますが、ご予算はいくらですか?」
「塩や他の商品の売上を合算すると、おおよそ金貨40枚になりました。その後、商業ギルドで素材を購入するために金貨10枚を使用してしまいました。エチゴヤの利益を残すために、金貨15枚を取っておきたいので、残る金貨15枚で探してみましょうか?」
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今後もエチゴヤによる行商を継続していくつもりなので、自分達専用の馬車の所有は必要不可欠なのだ。
自分たちの馬車を所有することが決まると、何だかワクワクしてきた。日本にいた頃に車を購入する時に感じたような興奮に近いような感じがしていたのであった…。
―――― to be continued ――――
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