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第2章 最弱勇者卒業編

第20話 ラーニング……ティアさんマジパネェっす

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   第三層に降りる階段まで辿り着き、今日の攻略は完了となった。
   ログハウスに戻ることを告げようとティアの方を向くと、ティアは不思議そうに辺りをキョロキョロと見渡していた。

「ティア?   どうしたんだ」
「ん、ここ変」
「?   何が変なんだ」
「ここ、ログハウスと同じ」

   ???   いまいち要領を得ない回答だな……こういう時はナビさんだな。

(ナビさん、解説お願い)
〔はい。ダンジョンの、偶数階の、下り階段の、周りは、ログハウスと、同じ、魔物の、近づかない、安全地帯に、なっています〕
(?   何でそんな仕様に)
〔転移の、魔方陣は、十階ごとの、設置、です。十階を、一気に、攻略する、となると、低層でも、一日、二日、掛かります。その間、ずっと、気を張ると、なると、死亡率が、高く、なるため、勇者の、育成を、目的とした、この、ダンジョンでは、安全地帯を、一定間隔で、置いて、いるのです〕
(つまり、安全策か……分かった有難うナビさん)
〔いえ、これが、仕事、ですから〕

   ナビさんとの念話を打ち切り、まだ不思議そうにキョロキョロしてるティアに帰る様に声をかけることにする。

「ティア、帰るよ」
「んー……」

   まだ気になってうわの空の様だ。ならば……

「ティア、帰って夕食にするよ」
「……!   ん!   帰る」

   夕食の言葉に即座に反応するティア。
   今日の朝、昼のティアの食事を見て、まさかとは思ったけど、ティアの中の優先順位のトップは食欲ではないだろうか。

   ⇒⇒⇒⇒⇒

   ログハウスに戻り、ティアに急かされて取った夕食の後、ティアと共に今日の成長成果を確認する。
   先ず、今日倒した魔物は、スライム十三匹、ゴブリンシリーズ二十三匹。結果、俺はレベルが2上がり、ティアはレベルが3上がった。そしてティアのスキルの状況を聞いたのだがーー

「【初級剣術】Lv1、【初級弓術】Lv3、【初級斧術】Lv1……」
「ちょっとまてー!」
「ん?」

   とんでもないスキル名が出てきて、今日の成果を発表するティアを止める。

「何で【初級斧術】を取得してる?」
「ひろにぃ見て、覚えた」

   ……今この子何て言いました?
   ティアの言っている意味が理解出来ず、ティアの言葉を反芻する。
   ……見て覚えた?

(ナビさーーーん!)
〔……私の、データでは、ティアの、スキル、取得方を、説明、出来ません〕

   あっ、ナビさんが投げた。

(じゃあナビさん一つだけ。斧を持たずに見ただけで【初級斧術】を取得する方法ってある?)
〔ありません〕

   ナビさん即答である。まあ、確かに俺のスキルに対する概念から考えても見取りなんてあり得ない……ん?   見取り?   まさか……

(ナビさん。【神才】の能力に見取り能力なんて有る可能性は?)
〔【神才】、自体、推測、だけで、その能力は、分からない、ので、判断、出来ません〕

   まあ、そうなるか……っていうか本人に聞いてみればいいんじゃないか。何で今まで気付かなかったんだろう。

「ティア。【神才】ってどんな能力なんだ?」

   早速ティアに聞いてみると、ティアは首を傾げた後、

「ん、能力見れない」

   と、何故か自慢げに答えた。
   結局は分からないのか……まぁ、見ただけでスキルを取得出来るなら、ティアにとって大きな力になる事はあっても、マイナスにはならないだろうから、放置でいいか。
   ティアの見取り能力は気になるが、今の段階では理解する事は出来ないと判断して、ティアに成果発表の続きを促した。

「ん!   【気配察知】Lv5、【気配隠蔽】Lv5、【魔力隠蔽】Lv5、【危険察知】Lv3、【十里眼】Lv4、【暗視】Lv9、【採取】Lv10、【解体術】Lv1、【地図作製】Lv1、【料理】Lv1……」

   【解体術】、【地図作製】、【料理】まで取得してたか。【料理】は厨房でずっと背後からみてたからなぁ。あれは『早く食べたい』ってアピールじゃなかったのか……なかったんだよな?
   それにしても【地図作製】は他者が目で見えるスキルじゃないんだけどな……ティアの見取りはどこまで高性能なんだ?

「【初級炎術】Lv1、【初級光術】Lv1、【初級地術】Lv1、【エルフ語】Lv10、【神才】Lv2」
「はい?」

   聞きなれないスキル名が出て、思わず間抜けな声を出してしまった。
   【初級炎術】、【初級光術】は俺が戦闘で使ってたから分かる。
   しかし、【初級地術】なんてどこで覚えた?

「ティア、【初級地術】はどうやって覚えた?」
「ゴブリン」

   サラッと答えたその名前を聞いて、ティアに服の裾を掴まれてゴブリンソーサラーから魔法を三発喰らったのを思い出す。

「あの時かぁーーー!」

   思わず叫んでしまったら、ティアが少し怯えて椅子ごと後ずさりした。

「ああ、ごめんごめん。別にティアを怒った訳じゃないから」

   謝りながらティアの頭を撫でてやる。
   しかし、ティアを怒ってないって言っちゃったけど、あの時のティアの行為は怒るべきだったんじゃないだろうか?   今更怒れないから、次、同じ事をやったら怒ろう。
   しかし、ティアの見取りは魔物にも有効なのか……
   俺はかつて健一に薦められてやったRPGを思い出した。たしか、『最後の幻想』という名を冠したゲームだったけ。あのシリーズの中に、敵モンスターの技を受けてその技を覚えるという能力を持った者がいた。

「……ラーニング」

   ティアの能力に密かに名前を付けてみた……
   ティアの成長を確認し終わり、次は俺の番だ。先ずステータスを確認する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   名前      桂木   博貴         Lv   6    
   人間種      人間
   状態   正常

   HP         175/175      
   MP         190/190

   体力               35(+14)
   筋力               38(+14)
   知力               54(+20)
   器用度            48(+20)
   敏捷度            31(+10)
   精神力            48(+18)
   魔力               38(+14)

〈ノーマルスキル〉

   初級炎術Lv10(1)             
   初級光術Lv10(1)   
   初級斧術Lv10(1)             
   鍛治Lv10(1)
   裁縫Lv10(1)                   
   料理Lv10(1)
   理容Lv10(1)                   
   恐怖耐性Lv10(2)
   鑑定Lv10(1)                   
   気配察知Lv10(2)
   危険察知Lv10(1)             
   地図作製Lv10(5)
   ワールドクロックLv10(1)      
   解体術Lv10(1)                
   世界共通語Lv10(1) 
   エルフ語Lv10(1)                 
   ナビゲーターLv10(3)

〈オリジナルスキル〉

   スキルポイントアップLv10(30)

   SP   123

   パーティーメンバー   ティアLv6

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   ふむ……順調なんだろうけど、敏捷度の伸びが悪いな。なにか敏捷度の上がりそうなスキルが欲しい。まっ、それは取り敢えず置いといて、ナビさんに相談して戦闘スタイルの改善といきますか。

   
   
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