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第2章 最弱勇者卒業編

第9話 チート……ホクホクです

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   ーーゆっくりと目が開いた。
 記憶が曖昧だけど、どうやら寝ていたらしい。
   地面に直で寝てたせいか、背中は痛いし倦怠感が半端無い。
   まだ重い瞼と覚醒しきってない寝ぼけた頭で上半身を起こした。
   ……えーと、ここ何処だっけ?
   まだ下がろうとする瞼を指で擦って無理やり阻止し、辺りを見回す。岩肌の壁や天井に違和感を覚えつつ、地面の魔法陣を確認し頭が覚醒した。
   そうか……スライムを倒して力尽きたんだっけか……って、そうだ!   レベル!
   眠りに就く前の事が頭に浮かび、視界右上を確認する。
   HP   30/30   MP      30/30

「……くくくっ……」

   増えたHPを確認し、喉の奥から込み上げる笑いを必死に堪えた。
   喜ぶのはまだ早い。俺はまだスタート地点に立っただけなのだから……
   心の底から湧き上がる歓喜を無理やり抑えつけ、ステータスを確認する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   名前      桂木   博貴         Lv   1       
   人間種      人間       状態   正常

   HP               30/30     
    MP              30/30

   体力                  6(+5)   
   筋力                  6(+5)
   知力                  7(+6)   
   器用度               6(+5)
   敏捷度               6(+5)   
   精神力               6(+5)
   魔力                  6(+5)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   よしよし、間違い無くレベルが上がってるな。ステータスも同年代に比べれば平均以下だろうけど、赤ちゃんは卒業しただろう。
   成長した能力値に満足し、視線をスキル欄に移す。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〈ノーマルスキル〉

   料理Lv5(1)                      
   恐怖耐性Lv5(2)
   世界共通語Lv10(1)

〈オリジナルスキル〉

   スキルポイントアップLv10(30)

   SP   58

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   ………………………へっ?
   スキルポイントを確認し、目が点になる。
   あれ?   一回のレベルアップで上がるスキルポイントは3ポイントじゃなかったっけ?
   一度目を擦り、再度確認する。
   やっぱり58ある……なんで?   ……ってオリジナルスキルか!   シークレットが解除されたって言ってたな……これスキルの効果確認出来るのかな。
   そう思っていると、スキルポイントアップの効果が表示された。

〈スキルポイントアップ〉

   Lv1   レベルアップ時のSPをプラス1
   Lv2   レベルアップ時のSPをプラス2 
   Lv3   レベルアップ時のSPをプラス3     
   Lv4   レベルアップ時のSPをプラス4    
   Lv5   レベルアップ時のSPをプラス5      
   Lv6   レベルアップ時のSPをプラス6
   Lv7   レベルアップ時のSPをプラス7      
   Lv8   レベルアップ時のSPをプラス8     
   Lv9   レベルアップ時のSPをプラス9      
   Lv10   レベルアップ時のSPをプラス10   
   レベルが10の倍数に達するごとに取得SPがその時のレベルの数値分増加
   パーティメンバーにLv10迄のSPプラス効果を与える

   やっぱりこれの効果か……しかしスキルポイントに特化したスキルだな、レベル10なのに能力値の上昇効果も無いみたいだし……!
   レベルが10の倍数に達するごとにって、レベル10で取得スキルポイントが10増えて、レベル20で更に20増えるって事か?   どんなインフレだよ。
   それに、パーティを組めば健一達にもスキルポイント+55の恩恵があるのか……健一達、レベル50で止まってるって言ってたよな……
   思わず笑みが零れる。
   井上の奴がどんな手を使って健一達のレベルを止めたか知らないが、そのお陰で健一達の成長の幅が広がるかも知れないと思ったら、自然と笑いが込み上げてきてしまう。
   一頻り喜悦に浸った後、空腹を覚え一旦上に戻る事にした。
   ログハウスに戻ると、辺りは暗くなっていた。朝、健一達の見送りをした後に直ぐにスライム討伐に入ったから、あれは午前中の出来事だった筈……どうやら、結構な時間寝てたらしい。
   休みの日を惰眠で潰してしまった様な勿体無い感を感じながら、夕食を簡単に済ます。
   さて、それじゃあ、お楽しみのスキル獲得と行きますか。
   食後のお茶を飲みながら、取得可能スキルの一覧を開く。
   最初に取るスキルは決めていたのだが、まさかあんなにスキルポイントを貰えるとは思っていなかったので、一覧を再確認する事にした。
   先ずはレベル5の【料理】と【恐怖耐性】をレベル10にするか……これで残りのスキルポイントは43。
   後は遠距離攻撃用に元々取るつもりだった【初級炎術】と回復の為の【初級光術】。それに健一が便利に使ってた【鑑定】……全部(1)のスキルだから、残りのスキルポイントは13。
   後一つ、レベル10でスキルを取れるな……やっぱり近接戦闘用に武術系のスキルを取るべきか。
   スキル欄の中から武術系スキルの部分を出す。
 剣術、大剣術、短剣術、槍術、斧術、弓術、盾術、投擲術、杖術、棒術、槌術、特殊武器術、暗器術、突き技、蹴り技、投げ技、関節技……多いな!
   さて、どれを取ろう?   定番なら剣術なんだろうけど、井上と同じって何かやだな。
   槍術、弓術、投擲術は接近戦闘向きじゃないし、杖術、棒術は殺傷力が無さそうだ。盾術は論外。
   う~ん……斧術か……攻撃力高そうだ。斧、取ろうかな……よし、斧術行こう!   もし使いづらかったら違うの取り直せば良いや。
   軽い気持ちで【初級斧術】を取得し、ホクホクしながら武器庫に装備を物色しに行ったのだが……
   武器庫に入り、斧が置いてある棚を見る。二メートル近い柄のポールアックス。必要筋力30……鉄斧、必要筋力25……全長五十センチ位の手斧、必要筋力15……絶対的に筋力が足りない。
   そうか、必要筋力をすっかり忘れてた。斧っていったら重いのは当たり前だよな。いくらスキルを一杯取れても、能力値はまだ人並み以下だからなぁ、ちょっと不用意だった。
   【鑑定】で片っ端から斧の能力を確認していくが、必要筋力六以下の斧がなかなか見つからない。
   さて、後はこいつだけか……祈る気持ちで【鑑定】を掛けるーーライトアックス   必要筋力5、攻撃力3
   あったー!
   安堵の気持ちで六十センチ程の木の柄に、鉄製の薄い片刃のついた斧を手に取った。

   ⇒⇒⇒⇒⇒

   ダンジョンには明日の朝から潜る事にし、自室へと戻る。ベットに入り明日に備え眠る事にする……眠く無いけど。
   
   
   
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