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8月
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「最近上の空だけどどうしたの?」
「え?そんなに分かりやすい?」
放課後、青柳さんが話しかけてきた。今日は珍しく家の用事で黒瀬は先に帰っていた。
「ええ。
もしかして、黒瀬くんに告白でもされたの?」
「ええ!?どうしてそれを?」
「2人を見ていれば分かるわ。」
青柳さんはクスクス笑ってふたりともわかりやすすぎるのよ、と言った。
「でも受け入れるかどうか悩んでる。」
「どうして?あんなに素敵な人なかなかいないと思うけど。」
「俺には勿体なさすぎる。あいつにはもっと可愛くて、優しくて、しっかりしてて、、、そういう人がいいと思うんだ。」
「それじゃあ、黒瀬くんのことを恋愛対象として見れないとか、他に好きな人がいるってことじゃないのね?」
「う、うん。それはそうだけど、」
「じゃあもし私が黒瀬くんと付き合ってもいいんでしょ。私は可愛いし、優しいし、しっかり者だし。」
「え!それはダメだよ」
「なんで?」
「だって、、」
ダメじゃない。黒瀬には青柳さんはぴったりだ。青柳さんは非の打ち所がないし、きっとみんなが憧れるようなカップルになる。でも、嫌だと思ってしまう。
「答えは出てるじゃない。本当は自分でも分かってるんでしょ。」
「うん。俺やっぱり黒瀬のこと好きだ。周りにどう思われようと、黒瀬には相応しくなくとも、やっぱり自分の気持ちに嘘はつけないな。」
「ちょっと待ってよ!!」
バンっとドアを開けて桃瀬さんが入ってきた。
「れいのことが好きってどういうこと?
鈴木くん、夢乃に協力してくれるって言ったよね?」
「桃瀬さん、、、ごめん!聞いた通りなんだ。俺も黒瀬のことが好きだ。だから協力はできない。本当にごめん、、」
「ふざけないでよ!!裏切りよ!
鈴木くんはれいには相応しくない!何より鈴木くんは男でしょ!?変だよ!変!おかしいもん!」
「それは桃瀬さんが決めることじゃないわ。黒瀬くんが決めることよ。」
「そんなの、そんなことわかってるよ!
でも、そんなの、、勝ち目ないじゃん、、、
親友で満足できないの?恋人の座まで奪うつもりなの?そうやって私かられいを奪うつもりなの?」
「桃瀬さん、、、」
「あんたと出会ってから、れいは私と遊ばなくなった。いつも一緒にいたのに、私がいたはずの立ち位置にあんたがいた。それから鈴木くんのことが憎くて、憎くて、、」
桃瀬さんはグッと下唇を噛む。
「黒瀬は桃瀬さんが思ってる以上に桃瀬さんのこと大切にしてるよ。」
「慰めのつもり?」
「ちがう。本当にそうなんだ。黒瀬が桃瀬さん以外の女子と喋ってるところ見ないし、いつも桃瀬さんのこと気にかけてる。
それは桃瀬さんもわかってるんじゃない?」
「それはそうだけど、、」
桃瀬さんは俯いた。
「桃瀬さんの気持ちはわかった。だけど、俺も決めたんだ。俺、黒瀬を諦めない。諦めたくないから、桃瀬さんには協力できない。ごめん。本当に黒瀬のことが好きなんだ。」
「本気の人を邪魔するほど夢乃は性格悪くないから。」
桃瀬さんが俯いたまま言った。
「鈴木くんが生半可な気持ちで、ちょっとれいに告白されただけで、気がころっと変わっちゃったんじゃないかって、それだけが本当に嫌だったの。鈴木くんが流されてじゃなくて、本当にれいのことが好きなら夢乃に邪魔する資格なんてない。」
桃瀬さんはこちらをまっすぐ見つめた。
「桃瀬さん、、ありがとう!」
「でも応援なんてしないからね!」
「そういえばなんで告白されたって知ってるの?」
桃瀬さんは冷ややかな目でこちらを見てはあっとため息をついた。
「黒瀬、今から会えない?」
俺は黒瀬に電話をかけた。
「今?いいけど、、」
「ごめん。こんな遅くに。」
「大丈夫だよ。もう夕飯も食べ終わってたし。
どうしたの?急に公園になんて呼び出して。」
「実は話したいことがあるんだ。
俺も黒瀬のことが好きです。俺と付き合ってください。」
心臓がドキドキなる。俺はぎゅっと目を瞑った。
「秋人!!!」
黒瀬が抱きついてきた。
「うわっ!ちょっと!倒れるって!」
「秋人!本当?本当に?」
「本当だよ。俺、お前のことが好きなんだ。」
黒瀬の目をしっかりと見る。
「夢じゃないよね。」
「夢でいいの?」
「冗談だよ!夢だとしても醒めないでほしい。ずっとこのまま抱きしめてたい。」
「恥ずかしいこと言うなよ!」
「真っ赤になってる秋人かわいい。」
黒瀬が微笑む。
「本当に俺と付き合ってくれるの?」
「もちろんだよ。」
「俺男だけどいいの?」
「黒瀬こそ、俺男なのにいいの?」
「俺は秋人がいいんだ」
「俺も黒瀬がいいの」
夜の公園に2人の笑い声がこだました。
本当はもう少し長くする予定だったのですが、プライベートが忙しくなってきてしまったので残念ではありますが、一旦完結とさせていただきます。
今まで読んでくださった方、お気に入りに登録してくださった方、本当にありがとうございました。初めて小説を書いたのですが、楽しめたのは皆様のおかげです。
また再開する可能性もありますので、再開した場合はまた読んでいただけると嬉しいです。本当にありがとうございました。
「え?そんなに分かりやすい?」
放課後、青柳さんが話しかけてきた。今日は珍しく家の用事で黒瀬は先に帰っていた。
「ええ。
もしかして、黒瀬くんに告白でもされたの?」
「ええ!?どうしてそれを?」
「2人を見ていれば分かるわ。」
青柳さんはクスクス笑ってふたりともわかりやすすぎるのよ、と言った。
「でも受け入れるかどうか悩んでる。」
「どうして?あんなに素敵な人なかなかいないと思うけど。」
「俺には勿体なさすぎる。あいつにはもっと可愛くて、優しくて、しっかりしてて、、、そういう人がいいと思うんだ。」
「それじゃあ、黒瀬くんのことを恋愛対象として見れないとか、他に好きな人がいるってことじゃないのね?」
「う、うん。それはそうだけど、」
「じゃあもし私が黒瀬くんと付き合ってもいいんでしょ。私は可愛いし、優しいし、しっかり者だし。」
「え!それはダメだよ」
「なんで?」
「だって、、」
ダメじゃない。黒瀬には青柳さんはぴったりだ。青柳さんは非の打ち所がないし、きっとみんなが憧れるようなカップルになる。でも、嫌だと思ってしまう。
「答えは出てるじゃない。本当は自分でも分かってるんでしょ。」
「うん。俺やっぱり黒瀬のこと好きだ。周りにどう思われようと、黒瀬には相応しくなくとも、やっぱり自分の気持ちに嘘はつけないな。」
「ちょっと待ってよ!!」
バンっとドアを開けて桃瀬さんが入ってきた。
「れいのことが好きってどういうこと?
鈴木くん、夢乃に協力してくれるって言ったよね?」
「桃瀬さん、、、ごめん!聞いた通りなんだ。俺も黒瀬のことが好きだ。だから協力はできない。本当にごめん、、」
「ふざけないでよ!!裏切りよ!
鈴木くんはれいには相応しくない!何より鈴木くんは男でしょ!?変だよ!変!おかしいもん!」
「それは桃瀬さんが決めることじゃないわ。黒瀬くんが決めることよ。」
「そんなの、そんなことわかってるよ!
でも、そんなの、、勝ち目ないじゃん、、、
親友で満足できないの?恋人の座まで奪うつもりなの?そうやって私かられいを奪うつもりなの?」
「桃瀬さん、、、」
「あんたと出会ってから、れいは私と遊ばなくなった。いつも一緒にいたのに、私がいたはずの立ち位置にあんたがいた。それから鈴木くんのことが憎くて、憎くて、、」
桃瀬さんはグッと下唇を噛む。
「黒瀬は桃瀬さんが思ってる以上に桃瀬さんのこと大切にしてるよ。」
「慰めのつもり?」
「ちがう。本当にそうなんだ。黒瀬が桃瀬さん以外の女子と喋ってるところ見ないし、いつも桃瀬さんのこと気にかけてる。
それは桃瀬さんもわかってるんじゃない?」
「それはそうだけど、、」
桃瀬さんは俯いた。
「桃瀬さんの気持ちはわかった。だけど、俺も決めたんだ。俺、黒瀬を諦めない。諦めたくないから、桃瀬さんには協力できない。ごめん。本当に黒瀬のことが好きなんだ。」
「本気の人を邪魔するほど夢乃は性格悪くないから。」
桃瀬さんが俯いたまま言った。
「鈴木くんが生半可な気持ちで、ちょっとれいに告白されただけで、気がころっと変わっちゃったんじゃないかって、それだけが本当に嫌だったの。鈴木くんが流されてじゃなくて、本当にれいのことが好きなら夢乃に邪魔する資格なんてない。」
桃瀬さんはこちらをまっすぐ見つめた。
「桃瀬さん、、ありがとう!」
「でも応援なんてしないからね!」
「そういえばなんで告白されたって知ってるの?」
桃瀬さんは冷ややかな目でこちらを見てはあっとため息をついた。
「黒瀬、今から会えない?」
俺は黒瀬に電話をかけた。
「今?いいけど、、」
「ごめん。こんな遅くに。」
「大丈夫だよ。もう夕飯も食べ終わってたし。
どうしたの?急に公園になんて呼び出して。」
「実は話したいことがあるんだ。
俺も黒瀬のことが好きです。俺と付き合ってください。」
心臓がドキドキなる。俺はぎゅっと目を瞑った。
「秋人!!!」
黒瀬が抱きついてきた。
「うわっ!ちょっと!倒れるって!」
「秋人!本当?本当に?」
「本当だよ。俺、お前のことが好きなんだ。」
黒瀬の目をしっかりと見る。
「夢じゃないよね。」
「夢でいいの?」
「冗談だよ!夢だとしても醒めないでほしい。ずっとこのまま抱きしめてたい。」
「恥ずかしいこと言うなよ!」
「真っ赤になってる秋人かわいい。」
黒瀬が微笑む。
「本当に俺と付き合ってくれるの?」
「もちろんだよ。」
「俺男だけどいいの?」
「黒瀬こそ、俺男なのにいいの?」
「俺は秋人がいいんだ」
「俺も黒瀬がいいの」
夜の公園に2人の笑い声がこだました。
本当はもう少し長くする予定だったのですが、プライベートが忙しくなってきてしまったので残念ではありますが、一旦完結とさせていただきます。
今まで読んでくださった方、お気に入りに登録してくださった方、本当にありがとうございました。初めて小説を書いたのですが、楽しめたのは皆様のおかげです。
また再開する可能性もありますので、再開した場合はまた読んでいただけると嬉しいです。本当にありがとうございました。
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