11 / 17
7月
しおりを挟む
side 青柳蘭
「蘭ちゃん、どうしたの?急に呼び出したりして。」
桃瀬夢乃がキョトンとした顔でこちらを見つめる。
「お願いがあってきたの。」
「おねがい?」
「鈴木くんに意地悪するのはもうやめてほしいの。」
「どういうこと?」
鈴木夢乃の瞳が揺らいだ。
「桃瀬さんでしょ。鈴木くんのもの盗んでるの。」
「私じゃないよ!酷い、、!!
そんなことするような人に見えるの?」
桃瀬夢乃はあくまでもシラを切るようだ。
「黒瀬くんが鈴木くんのこと好きなの気づいてるんでしょ?」
「!!」
桃瀬夢乃が口をワナワナと動かす。
「やっぱり気づいてたんだ。
あんなに分かりやすいと嫌でも気づいちゃうわよね。
、、、幼馴染の貴女は特に。」
「何のことかわからないよ。」
「とぼけるのはいいけど、私は忠告したから。次はないから。」
夢乃はギリギリと歯を食いしばった。
ふぅ、とため息をつく。
こういう事は慣れないから疲れる。桃瀬夢乃とも気まずくなるだろう。
はっきり言って私がこんなことをする義理はない。それでも、助けになりたいと思うのは彼の魅力のせいだろうか。いや、良い子ぶるのは良くない。彼を助けたいという気持ち半分、良いネタになるという気持ちが半分だ。
青柳は小説を書くのが趣味だった。普段は歴史物の小説を書くのだが、新たなことにチャレンジしようと思い、手を出したのが恋愛小説だった。劇的なロマンチックな恋を描きたいと意気込んだのは良いものの、青柳は全く恋愛経験がなかった。
そんな時に出会ったのが鈴木秋人と黒瀬玲だった。彼らの関係は面白い。みていて飽きない。鈍感な鈴木秋人と策士そうな黒瀬玲の攻防は興味深い。彼らをモデルにした小説は良いものができる、そう確信していた。
「最近はどう?まだ物なくなってる?」
「あっ!そういえば最近はないな~。
やっぱり俺の勘違いだったのかな。」
「そうかも知れないわね。」
しかし、青柳が普段やらないような面倒ごとをすすんでやるのは、やはり鈴木秋人という人間を青柳が気に入っているのが大きいだろう。
「蘭ちゃん、どうしたの?急に呼び出したりして。」
桃瀬夢乃がキョトンとした顔でこちらを見つめる。
「お願いがあってきたの。」
「おねがい?」
「鈴木くんに意地悪するのはもうやめてほしいの。」
「どういうこと?」
鈴木夢乃の瞳が揺らいだ。
「桃瀬さんでしょ。鈴木くんのもの盗んでるの。」
「私じゃないよ!酷い、、!!
そんなことするような人に見えるの?」
桃瀬夢乃はあくまでもシラを切るようだ。
「黒瀬くんが鈴木くんのこと好きなの気づいてるんでしょ?」
「!!」
桃瀬夢乃が口をワナワナと動かす。
「やっぱり気づいてたんだ。
あんなに分かりやすいと嫌でも気づいちゃうわよね。
、、、幼馴染の貴女は特に。」
「何のことかわからないよ。」
「とぼけるのはいいけど、私は忠告したから。次はないから。」
夢乃はギリギリと歯を食いしばった。
ふぅ、とため息をつく。
こういう事は慣れないから疲れる。桃瀬夢乃とも気まずくなるだろう。
はっきり言って私がこんなことをする義理はない。それでも、助けになりたいと思うのは彼の魅力のせいだろうか。いや、良い子ぶるのは良くない。彼を助けたいという気持ち半分、良いネタになるという気持ちが半分だ。
青柳は小説を書くのが趣味だった。普段は歴史物の小説を書くのだが、新たなことにチャレンジしようと思い、手を出したのが恋愛小説だった。劇的なロマンチックな恋を描きたいと意気込んだのは良いものの、青柳は全く恋愛経験がなかった。
そんな時に出会ったのが鈴木秋人と黒瀬玲だった。彼らの関係は面白い。みていて飽きない。鈍感な鈴木秋人と策士そうな黒瀬玲の攻防は興味深い。彼らをモデルにした小説は良いものができる、そう確信していた。
「最近はどう?まだ物なくなってる?」
「あっ!そういえば最近はないな~。
やっぱり俺の勘違いだったのかな。」
「そうかも知れないわね。」
しかし、青柳が普段やらないような面倒ごとをすすんでやるのは、やはり鈴木秋人という人間を青柳が気に入っているのが大きいだろう。
60
お気に入りに追加
196
あなたにおすすめの小説
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト
春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。
クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。
2024.02.23〜02.27
イラスト:かもねさま
【完結】前世は魔王の妻でしたが転生したら人間の王子になったので元旦那と戦います
ほしふり
BL
ーーーーー魔王の妻、常闇の魔女リアーネは死んだ。
それから五百年の時を経てリアーネの魂は転生したものの、生まれた場所は人間の王国であり、第三王子リグレットは忌み子として恐れられていた。
王族とは思えない隠遁生活を送る中、前世の夫である魔王ベルグラに関して不穏な噂を耳にする。
いったいこの五百年の間、元夫に何があったのだろうか…?
僕のおにいは世界一!
柴傘
BL
藤原 碧(ふじわら あおい)と藤原 真澄(ふじわら ますみ)は、血の繋がっていない義理の兄弟。
弟である碧は兄である真澄への好意を隠してはいるが、ダダ漏れ状態でモロバレ。真澄も碧の事は憎からず思って入るものの、歳下であり一応戸籍上の弟である碧に手を出すのは、という倫理観から手は一切出さずにいた。
然しある日、飲み会帰りの真澄は珍しく深酒をしたようで酔っ払っていた。これ幸いとばかりに碧は真澄を誘惑して…。
義兄×義弟、オメガバース。オメガバ要素薄め。
途中妊娠描写あり、相変わらず頭よわよわハッピーエンド
参加型ゲームの配信でキャリーをされた話
ほしふり
BL
新感覚ゲーム発売後、しばらくの時間がたった。
五感を使うフルダイブは発売当時から業界を賑わせていたが、そこから次々と多種多様のプラットフォームが開発されていった。
ユーザー数の増加に比例して盛り上がり続けて今に至る。
そして…ゲームの賑わいにより、多くの配信者もネット上に存在した。
3Dのバーチャルアバターで冒険をしたり、内輪のコミュニティを楽しんだり、時にはバーチャル空間のサーバーで番組をはじめたり、発達と進歩が目に見えて繁栄していた。
そんな華やかな世界の片隅で、俺も個人のバーチャル配信者としてゲーム実況に勤しんでいた。
【短編BL】婚約者に捨てられた悪役令息は毒舌従者の狂愛に気づかない
砂礫レキ
BL
平民の娘に一目惚れして強引に婚約した悪役令息が捨てられたのを毒舌従者が虐めつつ慰めてあげる話です。
毒舌腹黒従者からの重過ぎる矢印に悪役令息はまだ気づいておりません。
性描写はございませんが多少の残酷描写がある為ご注意ください。
完全な片思いですが受けから女性への恋愛描写もある為そちらもご注意ください。
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
女装令息と性癖を歪められた王子
白兪
BL
レーリアは公爵家の次男だが、普段は女装をしている。その理由は女装が似合っていて可愛いから。どの女の子よりも1番可愛い自信があったが、成長とともに限界を感じるようになる。そんなとき、聖女として現れたステラを見て諦めがつく。女装はやめよう、そう決意したのに周りは受け入れてくれなくて…。
ラブコメにする予定です。シリアス展開は考えてないです。頭を空っぽにして読んでくれると嬉しいです!相手役を変態にするので苦手な方は気をつけてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる