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7月
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side 青柳蘭
「蘭ちゃん、どうしたの?急に呼び出したりして。」
桃瀬夢乃がキョトンとした顔でこちらを見つめる。
「お願いがあってきたの。」
「おねがい?」
「鈴木くんに意地悪するのはもうやめてほしいの。」
「どういうこと?」
鈴木夢乃の瞳が揺らいだ。
「桃瀬さんでしょ。鈴木くんのもの盗んでるの。」
「私じゃないよ!酷い、、!!
そんなことするような人に見えるの?」
桃瀬夢乃はあくまでもシラを切るようだ。
「黒瀬くんが鈴木くんのこと好きなの気づいてるんでしょ?」
「!!」
桃瀬夢乃が口をワナワナと動かす。
「やっぱり気づいてたんだ。
あんなに分かりやすいと嫌でも気づいちゃうわよね。
、、、幼馴染の貴女は特に。」
「何のことかわからないよ。」
「とぼけるのはいいけど、私は忠告したから。次はないから。」
夢乃はギリギリと歯を食いしばった。
ふぅ、とため息をつく。
こういう事は慣れないから疲れる。桃瀬夢乃とも気まずくなるだろう。
はっきり言って私がこんなことをする義理はない。それでも、助けになりたいと思うのは彼の魅力のせいだろうか。いや、良い子ぶるのは良くない。彼を助けたいという気持ち半分、良いネタになるという気持ちが半分だ。
青柳は小説を書くのが趣味だった。普段は歴史物の小説を書くのだが、新たなことにチャレンジしようと思い、手を出したのが恋愛小説だった。劇的なロマンチックな恋を描きたいと意気込んだのは良いものの、青柳は全く恋愛経験がなかった。
そんな時に出会ったのが鈴木秋人と黒瀬玲だった。彼らの関係は面白い。みていて飽きない。鈍感な鈴木秋人と策士そうな黒瀬玲の攻防は興味深い。彼らをモデルにした小説は良いものができる、そう確信していた。
「最近はどう?まだ物なくなってる?」
「あっ!そういえば最近はないな~。
やっぱり俺の勘違いだったのかな。」
「そうかも知れないわね。」
しかし、青柳が普段やらないような面倒ごとをすすんでやるのは、やはり鈴木秋人という人間を青柳が気に入っているのが大きいだろう。
「蘭ちゃん、どうしたの?急に呼び出したりして。」
桃瀬夢乃がキョトンとした顔でこちらを見つめる。
「お願いがあってきたの。」
「おねがい?」
「鈴木くんに意地悪するのはもうやめてほしいの。」
「どういうこと?」
鈴木夢乃の瞳が揺らいだ。
「桃瀬さんでしょ。鈴木くんのもの盗んでるの。」
「私じゃないよ!酷い、、!!
そんなことするような人に見えるの?」
桃瀬夢乃はあくまでもシラを切るようだ。
「黒瀬くんが鈴木くんのこと好きなの気づいてるんでしょ?」
「!!」
桃瀬夢乃が口をワナワナと動かす。
「やっぱり気づいてたんだ。
あんなに分かりやすいと嫌でも気づいちゃうわよね。
、、、幼馴染の貴女は特に。」
「何のことかわからないよ。」
「とぼけるのはいいけど、私は忠告したから。次はないから。」
夢乃はギリギリと歯を食いしばった。
ふぅ、とため息をつく。
こういう事は慣れないから疲れる。桃瀬夢乃とも気まずくなるだろう。
はっきり言って私がこんなことをする義理はない。それでも、助けになりたいと思うのは彼の魅力のせいだろうか。いや、良い子ぶるのは良くない。彼を助けたいという気持ち半分、良いネタになるという気持ちが半分だ。
青柳は小説を書くのが趣味だった。普段は歴史物の小説を書くのだが、新たなことにチャレンジしようと思い、手を出したのが恋愛小説だった。劇的なロマンチックな恋を描きたいと意気込んだのは良いものの、青柳は全く恋愛経験がなかった。
そんな時に出会ったのが鈴木秋人と黒瀬玲だった。彼らの関係は面白い。みていて飽きない。鈍感な鈴木秋人と策士そうな黒瀬玲の攻防は興味深い。彼らをモデルにした小説は良いものができる、そう確信していた。
「最近はどう?まだ物なくなってる?」
「あっ!そういえば最近はないな~。
やっぱり俺の勘違いだったのかな。」
「そうかも知れないわね。」
しかし、青柳が普段やらないような面倒ごとをすすんでやるのは、やはり鈴木秋人という人間を青柳が気に入っているのが大きいだろう。
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