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7月
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「カバンにつけてたキーホルダーなくなってるぞ。」
そう言われてカバンを確かめる。バスケットボールの形をしたキーホルダーがなくなっていた。
あれは俺がレギュラーに初めて選ばれた記念にお守りがわりで黒瀬とお揃いで買ったものだった。
「え、なんでだろ、、、」
「まあ、結構ボロくなってたしな。」
「でも大事に使ってた!チェーンもまだまだ大丈夫そうだったし、!」
思わず声が大きくなる。
本当に大事にしていたものだったのだ。バスケでなかなか上達できなくてやっとの思いでつかんだレギュラーだった。
それからも辛いことがあるとあのレギュラーに選ばれた日を思い出して、努力は報われるのだと励まされて頑張ってきた。
あれは正真正銘大事なお守りだった。
「お揃いのものそんなに大切にしていてくれたなんて嬉しいよ。
また一緒に買いに行こう。」
「ああ、、、」
黒瀬が励ましてくれても気分は落ち込んだままだった。
それから時々ものがなくなった。
黒瀬が誕プレで買ってくれたシャーペン、黒瀬とお揃いのタオル、、、
俺は悔しかった。しかし黒瀬に相談もできずにいた。黒瀬に心配をかけたくないというのと、何となく予想はついているからだ。
中学の時も人気者の黒瀬と仲の良い俺は一部の人に僻まれていた。それは黒瀬を狙ってた子達だったり、俺みたいなやつが黒瀬と仲良くなっているのが許せないやつだったり。
人気者の黒瀬はいつも、これと言って取り柄のない俺のそばにいた。恨まれても仕方ないのかもしれない。
でも、こんなイジメみたいなのは初めてだ。今までは陰口、ひどい人でも直接言ってくるだけで、こんな陰湿なことはしてこなかった。
「はぁ、」
思わずため息が出る。
「どうしたのため息なんてついて。」
「青柳さん!」
青柳さんが眉をひそめて心配そうにこちらを見ている。
「何でもないよ。」
「何でもないって顔してないけど。
誰か1人にでも悩みを話せばある程度は軽くなるんじゃないかしら。」
「青柳さん、、」
俺は青柳さんに現状を吐露した。
「そんなひどいこと一体誰が、、、」
「全く見当もつかないんだ。」
「、、いえ、私は1人だけ心当たりがあるわ、」
「誰!?」
「桃瀬さんよ。」
青柳さんの真剣な表情に思わず笑ってしまう。
「そんな訳ないじゃん!冗談はやめてよ。
桃瀬さんは黒瀬と仲良いし、俺を恨む理由なんて一つもない。
何より、桃瀬さんはそんなことするような子じゃない。」
「あなたは桃瀬さんを信じるのね?」
「もちろんだよ。」
「分かったわ、、、。」
何で急に桃瀬さんだなんて思ったんだろう。
桃瀬さんはヒロインだ。心優しく皆んなの人気者。ちょっとドジでそこが庇護欲をそそってとても可愛い天真爛漫な女の子だ。
そんなことする訳がない。
鈴木がそんなことを考えている一方で、青柳は決意を固めていた。
そう言われてカバンを確かめる。バスケットボールの形をしたキーホルダーがなくなっていた。
あれは俺がレギュラーに初めて選ばれた記念にお守りがわりで黒瀬とお揃いで買ったものだった。
「え、なんでだろ、、、」
「まあ、結構ボロくなってたしな。」
「でも大事に使ってた!チェーンもまだまだ大丈夫そうだったし、!」
思わず声が大きくなる。
本当に大事にしていたものだったのだ。バスケでなかなか上達できなくてやっとの思いでつかんだレギュラーだった。
それからも辛いことがあるとあのレギュラーに選ばれた日を思い出して、努力は報われるのだと励まされて頑張ってきた。
あれは正真正銘大事なお守りだった。
「お揃いのものそんなに大切にしていてくれたなんて嬉しいよ。
また一緒に買いに行こう。」
「ああ、、、」
黒瀬が励ましてくれても気分は落ち込んだままだった。
それから時々ものがなくなった。
黒瀬が誕プレで買ってくれたシャーペン、黒瀬とお揃いのタオル、、、
俺は悔しかった。しかし黒瀬に相談もできずにいた。黒瀬に心配をかけたくないというのと、何となく予想はついているからだ。
中学の時も人気者の黒瀬と仲の良い俺は一部の人に僻まれていた。それは黒瀬を狙ってた子達だったり、俺みたいなやつが黒瀬と仲良くなっているのが許せないやつだったり。
人気者の黒瀬はいつも、これと言って取り柄のない俺のそばにいた。恨まれても仕方ないのかもしれない。
でも、こんなイジメみたいなのは初めてだ。今までは陰口、ひどい人でも直接言ってくるだけで、こんな陰湿なことはしてこなかった。
「はぁ、」
思わずため息が出る。
「どうしたのため息なんてついて。」
「青柳さん!」
青柳さんが眉をひそめて心配そうにこちらを見ている。
「何でもないよ。」
「何でもないって顔してないけど。
誰か1人にでも悩みを話せばある程度は軽くなるんじゃないかしら。」
「青柳さん、、」
俺は青柳さんに現状を吐露した。
「そんなひどいこと一体誰が、、、」
「全く見当もつかないんだ。」
「、、いえ、私は1人だけ心当たりがあるわ、」
「誰!?」
「桃瀬さんよ。」
青柳さんの真剣な表情に思わず笑ってしまう。
「そんな訳ないじゃん!冗談はやめてよ。
桃瀬さんは黒瀬と仲良いし、俺を恨む理由なんて一つもない。
何より、桃瀬さんはそんなことするような子じゃない。」
「あなたは桃瀬さんを信じるのね?」
「もちろんだよ。」
「分かったわ、、、。」
何で急に桃瀬さんだなんて思ったんだろう。
桃瀬さんはヒロインだ。心優しく皆んなの人気者。ちょっとドジでそこが庇護欲をそそってとても可愛い天真爛漫な女の子だ。
そんなことする訳がない。
鈴木がそんなことを考えている一方で、青柳は決意を固めていた。
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