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7月
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side 桃瀬夢乃
れいは変わってしまったと桃瀬夢乃は感じていた。
もともとは明るく人当たりのいい人だったからいつもクラスの人気者だった。それは今でも変わらないのだが、特定の人としかいないようになった。そうなったのは中学にあがってからだっただろうか。
中学に上がって少し経った頃、黒瀬玲は冷たいオーラを放っていた。人を拒絶するような雰囲気を放っていた。桃瀬はすぐに気づき、どうしたの?と声をかけたが、めぼしい返事は返って来なかった。それには周りの人は気づいていないようだった。いつも通りの優しく明るい黒瀬玲だと信じて疑わなかった。
どうしようと考えあぐねているうちに黒瀬は元気になっていた。そして、隣には鈴木秋人がいた。
黒瀬玲はみんなの人気者だ。だが、秋人の前でしか本当の笑顔を見せない。作り笑いばかりだ。
黒瀬玲はみんなに好かれている。だが、彼が信用している人物は鈴木秋人だけだ。
桃瀬はそう感じるようになった。
今までは桃瀬を優先してくれていたはずなのに。
桃瀬は不安になった。
前までは黒瀬玲とは仲良しの幼馴染だと言いきることができたが、今はわからない。仲良くしたいと思ってるのは自分だけなのではないだろうか。
昔はよく遊んでいた。家が隣で必然的に仲良くなった。
「ちょっと!私のぬいぐるみ返してよ!
それお誕生日に買ってもらったやつなの」
公園でぬいぐるみを持って遊んでいると、近所の男の子たちに奪われた。
「すぐ泣く~!やーい泣き虫~!」
男の子たちの中でボスみたいな子が夢乃をからかってくる。
「それ、大事なやつなのに、、」
涙でうまく話せない。
「やめろよ。」
その時聞き慣れた声が耳に入ってきた。
「返してやれよ。お前がそんな可愛いぬいぐるみ持ってても使わないだろ。それともそれで遊びたかったのか?夢乃は優しいからいえば貸してくれるぞ。」
「そんなわけねぇだろ!こんなもんいらねぇよ!!」
ポイっとぬいぐるみを投げる。れいはそれをキャッチして夢乃に渡す。
「ありがと、、、」
れいはニカっと笑った。
あの時から黒瀬玲は桃瀬夢乃のヒーローなのだ。
懐かしい記憶を思い出して、胸が苦しくなる。今ではめっきり減ってしまった会話。全ては鈴木秋人のせいだ。鈴木秋人がれいを独り占めするから。
鈴木秋人さえいなければ、何度そう思ったことだろうか。
鈴木秋人さえいなければ、あの笑顔もあの声もあの視線も、全て自分のものなのに。
桃瀬は気づいたら、鈴木秋人のカバンについていたキーホルダーを奪ってしまっていた。黒瀬玲とお揃いで買ったと言っていたバスケットボールのキーホルダー。これが目に入るたび桃瀬はイラついた。
こんなことをしてはいけないなんて事は桃瀬夢乃も充分に分かっていた。でもとめられずにいた。
夢乃はこの醜い感情がもう恋なのか分からなくなっていた。
ただ黒瀬を独占したいという気持ちだけが沸々と湧いていた。
れいは変わってしまったと桃瀬夢乃は感じていた。
もともとは明るく人当たりのいい人だったからいつもクラスの人気者だった。それは今でも変わらないのだが、特定の人としかいないようになった。そうなったのは中学にあがってからだっただろうか。
中学に上がって少し経った頃、黒瀬玲は冷たいオーラを放っていた。人を拒絶するような雰囲気を放っていた。桃瀬はすぐに気づき、どうしたの?と声をかけたが、めぼしい返事は返って来なかった。それには周りの人は気づいていないようだった。いつも通りの優しく明るい黒瀬玲だと信じて疑わなかった。
どうしようと考えあぐねているうちに黒瀬は元気になっていた。そして、隣には鈴木秋人がいた。
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黒瀬玲はみんなに好かれている。だが、彼が信用している人物は鈴木秋人だけだ。
桃瀬はそう感じるようになった。
今までは桃瀬を優先してくれていたはずなのに。
桃瀬は不安になった。
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「ちょっと!私のぬいぐるみ返してよ!
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涙でうまく話せない。
「やめろよ。」
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「返してやれよ。お前がそんな可愛いぬいぐるみ持ってても使わないだろ。それともそれで遊びたかったのか?夢乃は優しいからいえば貸してくれるぞ。」
「そんなわけねぇだろ!こんなもんいらねぇよ!!」
ポイっとぬいぐるみを投げる。れいはそれをキャッチして夢乃に渡す。
「ありがと、、、」
れいはニカっと笑った。
あの時から黒瀬玲は桃瀬夢乃のヒーローなのだ。
懐かしい記憶を思い出して、胸が苦しくなる。今ではめっきり減ってしまった会話。全ては鈴木秋人のせいだ。鈴木秋人がれいを独り占めするから。
鈴木秋人さえいなければ、何度そう思ったことだろうか。
鈴木秋人さえいなければ、あの笑顔もあの声もあの視線も、全て自分のものなのに。
桃瀬は気づいたら、鈴木秋人のカバンについていたキーホルダーを奪ってしまっていた。黒瀬玲とお揃いで買ったと言っていたバスケットボールのキーホルダー。これが目に入るたび桃瀬はイラついた。
こんなことをしてはいけないなんて事は桃瀬夢乃も充分に分かっていた。でもとめられずにいた。
夢乃はこの醜い感情がもう恋なのか分からなくなっていた。
ただ黒瀬を独占したいという気持ちだけが沸々と湧いていた。
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