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5月
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「秋人ー。図書館行くの付き合ってくれない?」
「いいよー」
おっ次の出会いイベントか。最後のヒロインは2年図書委員の紫苑英理奈。お姉さん系で、悩む黒瀬に色々とアドバイスしてくれる。その包容力と優しさに黒瀬は惚れていくのだ。2人きりの図書館で楽しそうに話しているスチルは綺麗だった。
「俺、借りたい本決まったから借りてくるわ。」
黒瀬が貸し出しカウンターに向かう。
「1年3組黒瀬です。」
「はい。黒瀬君ねー。
あ!アガサクリスティ読むの?」
「はい。ミステリが好きなので。」
「今度江戸川乱歩読んだことある?あれも面白いわよ。」
話が盛り上がっているようだ。順調順調。
黒瀬はあの5人の中で一体誰を選ぶんだろう。どの子も魅力的だから全力で応援したい。
「秋人!」
「えっ!なに?」
「なに?じゃないよ。最近考え事多すぎ。なんかあった?」
「なんでもない!なんでもあってもいいことだから何ともない!」
「最近ずっと何でもないばっかだな。隠し事は無しだからな!」
5月ももう後半。もう梅雨に差し掛かり、ジメジメとした天気が続いている。
今日はバスケの練習試合だ。相手は強豪校。インターハイ常連校だ。
「最後のスタメンの1人だが、、、黒瀬!お前に頼もうと思ってる。1年で責任は重いと思うができるか?」
「はい!やらせてください!」
「やったな!黒瀬!!一年の中でお前が1番上手いもん。」
黒瀬は嬉しそうにはにかむ。
黒瀬お前ならチームに貢献できる。なんてったって今日はあの桃瀬さんが応援に来てるからな!!
今日の試合は実はイベントのひとつだ。
高校初の大舞台に幼馴染の桃瀬夢乃が応援に来る。試合後半。桃瀬の必死の応援の甲斐もあって黒瀬はスリーポイントシュートを決めるのだ。
試合のブザーがなる。
「れい~!頑張れ~!!」
桃瀬さんの声が体育館に響く。羨ましい。こんな可愛い幼馴染に応援されたら、スリーポイントでも何でも決められちゃいそうだ。
試合中盤。相手が強豪ということもあって、点差が大きく開いて負けていた。メンバーの顔には焦りが見える。今俺にできることは応援しかない。全力で応援しよう。
「頑張れー!!黒瀬ー!!」
黒瀬に俺の声が届いたのか、黒瀬は相手チームからボールを奪い、そのままシュートした。
ガコンッッ
「入ったーー!スリーポイントシュートだ!!黒瀬ナイス!」
黒瀬はこちらに向かって満面の笑みでグッと親指を立てた。黒瀬に俺の応援が届いたってことか?
黒瀬がシュートを決めたからだろうか、この試合の興奮のせいだろうか、黒瀬がいつもより輝いて見える。鼓動が大きくなるのは、何のせいなのだろうか。
「れい!!やったね!かっこよかった!」
桃瀬さんの声ではっと我に帰る。黒瀬は桃瀬さんの応援でシュートを決めたのだ。俺の応援じゃない、桃瀬さんの、だ。
試合の終了を告げるブザーがなる。結果は俺たちの負け。しかし、強豪校相手にせめぎ合い、とてもいい試合だったと思う。黒瀬もあのあとも何回かシュートを決めていた。
帰り道、桃瀬さんが俺たちの方に向かって走ってくる。
「れい!大活躍だったね。私の応援届いてた?」
「ああ。聞こえたよ。夢乃の声は高くて嫌でも耳に入るからな。」
「もうっ!ひどい!私一生懸命応援したのに!」
「冗談だよ、ごめんごめん。応援ありがとな。」
俺も応援したのに。俺何でこんなこと考えてるんだ。ヒロインたちとの恋を応援するって決めたのに。可愛い桃瀬さんに応援されている黒瀬が羨ましくなったのか?心と頭が一致せず、ぐるぐると思考を巡らす。
「秋人も応援ありがとな。お前の応援のおかげで最初のスリポ決めれたよ。」
その一言で俺のモヤモヤは晴れて有頂天になっているのだから、俺は単純だ。でもどうしてこんなことを考えてしまうのかはわからなかった。
「いいよー」
おっ次の出会いイベントか。最後のヒロインは2年図書委員の紫苑英理奈。お姉さん系で、悩む黒瀬に色々とアドバイスしてくれる。その包容力と優しさに黒瀬は惚れていくのだ。2人きりの図書館で楽しそうに話しているスチルは綺麗だった。
「俺、借りたい本決まったから借りてくるわ。」
黒瀬が貸し出しカウンターに向かう。
「1年3組黒瀬です。」
「はい。黒瀬君ねー。
あ!アガサクリスティ読むの?」
「はい。ミステリが好きなので。」
「今度江戸川乱歩読んだことある?あれも面白いわよ。」
話が盛り上がっているようだ。順調順調。
黒瀬はあの5人の中で一体誰を選ぶんだろう。どの子も魅力的だから全力で応援したい。
「秋人!」
「えっ!なに?」
「なに?じゃないよ。最近考え事多すぎ。なんかあった?」
「なんでもない!なんでもあってもいいことだから何ともない!」
「最近ずっと何でもないばっかだな。隠し事は無しだからな!」
5月ももう後半。もう梅雨に差し掛かり、ジメジメとした天気が続いている。
今日はバスケの練習試合だ。相手は強豪校。インターハイ常連校だ。
「最後のスタメンの1人だが、、、黒瀬!お前に頼もうと思ってる。1年で責任は重いと思うができるか?」
「はい!やらせてください!」
「やったな!黒瀬!!一年の中でお前が1番上手いもん。」
黒瀬は嬉しそうにはにかむ。
黒瀬お前ならチームに貢献できる。なんてったって今日はあの桃瀬さんが応援に来てるからな!!
今日の試合は実はイベントのひとつだ。
高校初の大舞台に幼馴染の桃瀬夢乃が応援に来る。試合後半。桃瀬の必死の応援の甲斐もあって黒瀬はスリーポイントシュートを決めるのだ。
試合のブザーがなる。
「れい~!頑張れ~!!」
桃瀬さんの声が体育館に響く。羨ましい。こんな可愛い幼馴染に応援されたら、スリーポイントでも何でも決められちゃいそうだ。
試合中盤。相手が強豪ということもあって、点差が大きく開いて負けていた。メンバーの顔には焦りが見える。今俺にできることは応援しかない。全力で応援しよう。
「頑張れー!!黒瀬ー!!」
黒瀬に俺の声が届いたのか、黒瀬は相手チームからボールを奪い、そのままシュートした。
ガコンッッ
「入ったーー!スリーポイントシュートだ!!黒瀬ナイス!」
黒瀬はこちらに向かって満面の笑みでグッと親指を立てた。黒瀬に俺の応援が届いたってことか?
黒瀬がシュートを決めたからだろうか、この試合の興奮のせいだろうか、黒瀬がいつもより輝いて見える。鼓動が大きくなるのは、何のせいなのだろうか。
「れい!!やったね!かっこよかった!」
桃瀬さんの声ではっと我に帰る。黒瀬は桃瀬さんの応援でシュートを決めたのだ。俺の応援じゃない、桃瀬さんの、だ。
試合の終了を告げるブザーがなる。結果は俺たちの負け。しかし、強豪校相手にせめぎ合い、とてもいい試合だったと思う。黒瀬もあのあとも何回かシュートを決めていた。
帰り道、桃瀬さんが俺たちの方に向かって走ってくる。
「れい!大活躍だったね。私の応援届いてた?」
「ああ。聞こえたよ。夢乃の声は高くて嫌でも耳に入るからな。」
「もうっ!ひどい!私一生懸命応援したのに!」
「冗談だよ、ごめんごめん。応援ありがとな。」
俺も応援したのに。俺何でこんなこと考えてるんだ。ヒロインたちとの恋を応援するって決めたのに。可愛い桃瀬さんに応援されている黒瀬が羨ましくなったのか?心と頭が一致せず、ぐるぐると思考を巡らす。
「秋人も応援ありがとな。お前の応援のおかげで最初のスリポ決めれたよ。」
その一言で俺のモヤモヤは晴れて有頂天になっているのだから、俺は単純だ。でもどうしてこんなことを考えてしまうのかはわからなかった。
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