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楠涼夜は怒ると怖い
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「ねぇ、不公平だと思わない?」
「は?」
急に女子諸々に話しかけられて俺は素っ頓狂な声を出す。
「何が不公平?」
「中町くんはさぁ、朝も帰りも涼夜くんと一緒でしょ?」
そして当たり前のように女子グループの先導を切る園田さん。
「私たちに譲って欲しいわけ」
「え?それって俺に言うこと?」
涼夜に言えばいいのに。
でもきっと、涼夜には言わないのは断られるのが分かっているからだろう。
だから俺の方から涼夜に言って欲しいんだ。
「朝は全部中町くんにあげる」
「朝は浮腫んでるしね」
「そうそう!ビジュが不安定だもんねー」
「代わりに帰りは全部私たちにちょうだい」
「ちなみにどんな感じで帰るの?」
「月水金は私でぇー、火曜はみきちゃんで、木曜はななこ」
園田さんの割合多くねぇか?
「んー、まあ俺は別にいいけど」
「マジ?ありがとう♡早く涼夜くんに言ってね♡」
「ありがとう~!」
「ありがとね~!」
ゾロゾロと女子達が去って行く。
問題は、どうやって涼夜に伝えるか、だ。
2人っきりの時に伝えると、色々と面倒なことになりそうだな。
逆に身構えて伝えるとダメなのかもしれない。
さらっと伝えた方が案外、涼夜もさらっといいよって言ってくれるかも。
「幹斗、帰ろうか」
「お、涼夜!ちょっと話したいことあるんだけど」
善は急げだ。
「これから帰り一緒に帰れない」
「…え?なんで?」
クラスの雑音がぴたりと止む。
ガヤガヤとうるさかったクラスメイト達は一斉に口をつぐむ。
室温が3度ほど下がったような気がする。
「実は、女子達から頼まれてて!女の子達が帰り一緒になりたいんだって!朝は俺らで帰れるけど…」
「嫌だ」
窓は開いているのに風が入ってこない。
クラス中が謎の圧迫感に包まれていた。
「幹斗は、何で許しちゃうの?
俺は行きも帰りも、いつでもどこでも、幹斗とずっと一緒にいたいのに。」
俺はごくりと唾を飲み込む。
「女の子に頼まれたからって、そうやって何でもかんでも許しちゃうの?俺の気持ちなんて考えずに?」
「ご、ごめん…」
「別に怒ってるわけじゃないよ。
それに、俺、前に誘われた時も言ったよね。幹斗と2人きりで帰りたいって。
登下校中、手繋げなくなったのも女の子達のせい?そうなの?」
「いや、えっと、それは…」
「どうしたら分かってもらえるわけ?
幹斗が俺の運命だって」
近くにいた女子が涙目になっている。
遠くで園田さんがガタガタ震えているのが目に入る。
「涼夜!俺が悪かった!一旦落ち着こう」
「俺、落ち着いてるけど。」
ダメだ。
確かに落ち着いた態度ではあるけど、アルファ特有の威嚇がダダ漏れで皆んなが怯えている。
威嚇がコントロールできていない。
「涼夜!」
俺は決死の覚悟で涼夜に抱きつき、唇にキスする。
涼夜が驚いて、威嚇が弱まる。
「み、幹斗…」
「涼夜!ごめん!俺が弱いばっかりに!
俺も本当は涼夜と行きも帰りも一緒にいたかったよ!でも頼まれたら断れない性格だし、涼夜が素敵な人だって知ってるから、一緒に帰りたい女子の気持ちも分かっちゃうからより断りづらかったんだ!」
「本当に…?」
室内の温度がだんだんと戻っていく。
「本当!でも涼夜が嫌なら、我慢しない!ずっと涼夜のそばにいる!」
「幹斗…!嬉しい…!いつもはこんなに素直になってくれないのに…!」
涼夜が俺にキスしようとしてくるのを片手で食い止める。
「いやぁ、皆さん、ご迷惑をおかけしました。ぜひ今のことは忘れていただいて…」
恥ずかしい。
恥ずかしすぎる。
公衆の面前でキスをしてしまった。
しかも俺から!
仕方ないとは言え、皆んなが見てる前で!
ヤマちゃんに助けを求めて視線を送るとふいっと逸らされてしまった。
「えっと、よし!帰ろう!早く帰ろう、涼夜!」
「うん!お家で沢山いちゃつこうね」
俺は顔を真っ赤にして涼夜を教室から引きずりだす。
俺は明日からどうやって生きていけばいいんだーー!!
「は?」
急に女子諸々に話しかけられて俺は素っ頓狂な声を出す。
「何が不公平?」
「中町くんはさぁ、朝も帰りも涼夜くんと一緒でしょ?」
そして当たり前のように女子グループの先導を切る園田さん。
「私たちに譲って欲しいわけ」
「え?それって俺に言うこと?」
涼夜に言えばいいのに。
でもきっと、涼夜には言わないのは断られるのが分かっているからだろう。
だから俺の方から涼夜に言って欲しいんだ。
「朝は全部中町くんにあげる」
「朝は浮腫んでるしね」
「そうそう!ビジュが不安定だもんねー」
「代わりに帰りは全部私たちにちょうだい」
「ちなみにどんな感じで帰るの?」
「月水金は私でぇー、火曜はみきちゃんで、木曜はななこ」
園田さんの割合多くねぇか?
「んー、まあ俺は別にいいけど」
「マジ?ありがとう♡早く涼夜くんに言ってね♡」
「ありがとう~!」
「ありがとね~!」
ゾロゾロと女子達が去って行く。
問題は、どうやって涼夜に伝えるか、だ。
2人っきりの時に伝えると、色々と面倒なことになりそうだな。
逆に身構えて伝えるとダメなのかもしれない。
さらっと伝えた方が案外、涼夜もさらっといいよって言ってくれるかも。
「幹斗、帰ろうか」
「お、涼夜!ちょっと話したいことあるんだけど」
善は急げだ。
「これから帰り一緒に帰れない」
「…え?なんで?」
クラスの雑音がぴたりと止む。
ガヤガヤとうるさかったクラスメイト達は一斉に口をつぐむ。
室温が3度ほど下がったような気がする。
「実は、女子達から頼まれてて!女の子達が帰り一緒になりたいんだって!朝は俺らで帰れるけど…」
「嫌だ」
窓は開いているのに風が入ってこない。
クラス中が謎の圧迫感に包まれていた。
「幹斗は、何で許しちゃうの?
俺は行きも帰りも、いつでもどこでも、幹斗とずっと一緒にいたいのに。」
俺はごくりと唾を飲み込む。
「女の子に頼まれたからって、そうやって何でもかんでも許しちゃうの?俺の気持ちなんて考えずに?」
「ご、ごめん…」
「別に怒ってるわけじゃないよ。
それに、俺、前に誘われた時も言ったよね。幹斗と2人きりで帰りたいって。
登下校中、手繋げなくなったのも女の子達のせい?そうなの?」
「いや、えっと、それは…」
「どうしたら分かってもらえるわけ?
幹斗が俺の運命だって」
近くにいた女子が涙目になっている。
遠くで園田さんがガタガタ震えているのが目に入る。
「涼夜!俺が悪かった!一旦落ち着こう」
「俺、落ち着いてるけど。」
ダメだ。
確かに落ち着いた態度ではあるけど、アルファ特有の威嚇がダダ漏れで皆んなが怯えている。
威嚇がコントロールできていない。
「涼夜!」
俺は決死の覚悟で涼夜に抱きつき、唇にキスする。
涼夜が驚いて、威嚇が弱まる。
「み、幹斗…」
「涼夜!ごめん!俺が弱いばっかりに!
俺も本当は涼夜と行きも帰りも一緒にいたかったよ!でも頼まれたら断れない性格だし、涼夜が素敵な人だって知ってるから、一緒に帰りたい女子の気持ちも分かっちゃうからより断りづらかったんだ!」
「本当に…?」
室内の温度がだんだんと戻っていく。
「本当!でも涼夜が嫌なら、我慢しない!ずっと涼夜のそばにいる!」
「幹斗…!嬉しい…!いつもはこんなに素直になってくれないのに…!」
涼夜が俺にキスしようとしてくるのを片手で食い止める。
「いやぁ、皆さん、ご迷惑をおかけしました。ぜひ今のことは忘れていただいて…」
恥ずかしい。
恥ずかしすぎる。
公衆の面前でキスをしてしまった。
しかも俺から!
仕方ないとは言え、皆んなが見てる前で!
ヤマちゃんに助けを求めて視線を送るとふいっと逸らされてしまった。
「えっと、よし!帰ろう!早く帰ろう、涼夜!」
「うん!お家で沢山いちゃつこうね」
俺は顔を真っ赤にして涼夜を教室から引きずりだす。
俺は明日からどうやって生きていけばいいんだーー!!
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