2 / 19
2
しおりを挟む
「でも、どうやったらこの世界から出られるんだ…?」
ゲームから抜け出すには何か目的を果たさなくてはならない、というのがラノベでは定石だった。
今なら、ゲームクリアだろうか?
「そういえば俺って何してたっけ?」
恭弥の頃の最後の記憶があやふやなことに気がつく。
高校3年生になって受験が終わって、卒業式をして…。
そこから何も思い出せない。
思い出そうとすると頭がガンガンと痛い。
(もしかして、これって憑依じゃなくて…)
そう考えて思考を放棄した。
そんなこと信じたくない。絶対に家に帰るのだ。
(でも、全くストーリーを知らないんだよな。妹がハマってただけだし。妹もBLの話なんて家族にしないし。)
恭弥はできる限りの知識を総動員して考える。
(大抵エンディングは誰かと結ばれるハッピーエンドと、誰とも結ばれない友情エンド、あとはバッドエンドがあるよな。
俺が目指すべきはやっぱり、友情エンドだな。)
しかし、友情エンドをどうすれば迎えれるのか恭弥は見当もつかなかった。
「分からないからって諦めちゃダメだ。
絶対に日本に帰るんだ」
恭弥が唇を噛み締めると、鏡の中のリリスも唇を噛み締めた。
次の日、食堂で朝ごはんを食べているとダニエルが話しかけて来た。
「やあ!体調はどう?」
「ああ、すっかり元気だよ。本当にありがとな」
「今日は登校初日だろ?良かったら一緒に行こうか?」
すると突然、目の前に謎の画面が現れた。
▷一緒に行こう!
1人で行くね!
何でお前なんかと行かなきゃいけねぇんだよ
「何これ!?」
「?どうかした?」
「いや、何でも…」
突如として目の前に現れたゲーム画面のようなものに動揺を隠せない。
「えっと、い、一緒に行こう?」
画面通りの言葉を言うとピコンと音が鳴って、画面はたちまち消えてしまった。
「よし、じゃあ行こうか!学校までは少し歩くからね」
ダニエルは微笑んだ。
学校までの道のりにはたくさんの桜の木が植えられていた。
「綺麗…」
恭弥がキョロキョロと見回していると、誰かにぶつかってしまった。
「わっ!ごめんなさい!」
「いや、こちらこそすまないね」
ぶつかった相手は今までに見たことがないほどの美少年だった。金髪碧眼でホリは深く、背も高い。
「…ん?君はもしかしてリリスかい?」
「はい。どうして僕の名前を?」
「君の入学は噂になっているからね。聖魔法を使える人は100年に一度現れるか現れないかだ。皆んなが君に注目しているよ」
彼はクスリと笑った。
▷え…!緊張しちゃうな
そう言うあなたは誰なんですか?
は?きも
また選択肢が現れた。
最後の選択肢を見て、流石に初対面の人にこの口の悪さはないだろうと思わず笑ってしまう。
「そう言うあなたは誰なんですか?」
「無礼者!お前、この方を知らないのか?」
突然、銀髪のメガネに叱られる。
「ごめんなさい…?」
「仕方ないよ、エディス。この子は少し前まで孤児院で暮らしてたんだから。
自己紹介が遅れたね。私はルシファー。この国の王太子だ」
「お、王太子!?」
(ということは攻略対象者じゃねぇか!て言うことはこの銀髪メガネも…?)
「僕は、エディス・クローアルだ」
「俺も自己紹介する!俺はバン!剣と肉が好きだ!よろしくな!」
また1人、赤髪の少年が王太子の後ろから現れた。
コイツも攻略対象者だろう。
こういうのは大抵、エディスが公爵家の息子で、バンが騎士団長の息子だ。
「よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げると、ルシファーが優しく笑った。
「慣れないことも多いだろうから私を積極的に頼ってくれ。いつでも力になるよ」
その美しい笑みを見て、そういえば王太子が1番人気だったな、なんてくだらない事を思い出した。
ゲームから抜け出すには何か目的を果たさなくてはならない、というのがラノベでは定石だった。
今なら、ゲームクリアだろうか?
「そういえば俺って何してたっけ?」
恭弥の頃の最後の記憶があやふやなことに気がつく。
高校3年生になって受験が終わって、卒業式をして…。
そこから何も思い出せない。
思い出そうとすると頭がガンガンと痛い。
(もしかして、これって憑依じゃなくて…)
そう考えて思考を放棄した。
そんなこと信じたくない。絶対に家に帰るのだ。
(でも、全くストーリーを知らないんだよな。妹がハマってただけだし。妹もBLの話なんて家族にしないし。)
恭弥はできる限りの知識を総動員して考える。
(大抵エンディングは誰かと結ばれるハッピーエンドと、誰とも結ばれない友情エンド、あとはバッドエンドがあるよな。
俺が目指すべきはやっぱり、友情エンドだな。)
しかし、友情エンドをどうすれば迎えれるのか恭弥は見当もつかなかった。
「分からないからって諦めちゃダメだ。
絶対に日本に帰るんだ」
恭弥が唇を噛み締めると、鏡の中のリリスも唇を噛み締めた。
次の日、食堂で朝ごはんを食べているとダニエルが話しかけて来た。
「やあ!体調はどう?」
「ああ、すっかり元気だよ。本当にありがとな」
「今日は登校初日だろ?良かったら一緒に行こうか?」
すると突然、目の前に謎の画面が現れた。
▷一緒に行こう!
1人で行くね!
何でお前なんかと行かなきゃいけねぇんだよ
「何これ!?」
「?どうかした?」
「いや、何でも…」
突如として目の前に現れたゲーム画面のようなものに動揺を隠せない。
「えっと、い、一緒に行こう?」
画面通りの言葉を言うとピコンと音が鳴って、画面はたちまち消えてしまった。
「よし、じゃあ行こうか!学校までは少し歩くからね」
ダニエルは微笑んだ。
学校までの道のりにはたくさんの桜の木が植えられていた。
「綺麗…」
恭弥がキョロキョロと見回していると、誰かにぶつかってしまった。
「わっ!ごめんなさい!」
「いや、こちらこそすまないね」
ぶつかった相手は今までに見たことがないほどの美少年だった。金髪碧眼でホリは深く、背も高い。
「…ん?君はもしかしてリリスかい?」
「はい。どうして僕の名前を?」
「君の入学は噂になっているからね。聖魔法を使える人は100年に一度現れるか現れないかだ。皆んなが君に注目しているよ」
彼はクスリと笑った。
▷え…!緊張しちゃうな
そう言うあなたは誰なんですか?
は?きも
また選択肢が現れた。
最後の選択肢を見て、流石に初対面の人にこの口の悪さはないだろうと思わず笑ってしまう。
「そう言うあなたは誰なんですか?」
「無礼者!お前、この方を知らないのか?」
突然、銀髪のメガネに叱られる。
「ごめんなさい…?」
「仕方ないよ、エディス。この子は少し前まで孤児院で暮らしてたんだから。
自己紹介が遅れたね。私はルシファー。この国の王太子だ」
「お、王太子!?」
(ということは攻略対象者じゃねぇか!て言うことはこの銀髪メガネも…?)
「僕は、エディス・クローアルだ」
「俺も自己紹介する!俺はバン!剣と肉が好きだ!よろしくな!」
また1人、赤髪の少年が王太子の後ろから現れた。
コイツも攻略対象者だろう。
こういうのは大抵、エディスが公爵家の息子で、バンが騎士団長の息子だ。
「よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げると、ルシファーが優しく笑った。
「慣れないことも多いだろうから私を積極的に頼ってくれ。いつでも力になるよ」
その美しい笑みを見て、そういえば王太子が1番人気だったな、なんてくだらない事を思い出した。
400
お気に入りに追加
451
あなたにおすすめの小説

無愛想な彼に可愛い婚約者ができたようなので潔く身を引いたら逆に執着されるようになりました
かるぼん
BL
もうまさにタイトル通りな内容です。
↓↓↓
無愛想な彼。
でもそれは、ほんとは主人公のことが好きすぎるあまり手も出せない顔も見れないという不器用なやつ、というよくあるやつです。
それで誤解されてしまい、別れを告げられたら本性現し執着まっしぐら。
「私から離れるなんて許さないよ」
見切り発車で書いたものなので、いろいろ細かい設定すっ飛ばしてます。
需要あるのかこれ、と思いつつ、とりあえず書いたところまでは投稿供養しておきます。

前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。

麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息

婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした
Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち
その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話
:注意:
作者は素人です
傍観者視点の話
人(?)×人
安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

ギャルゲー主人公に狙われてます
白兪
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる