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「ちょっと!あのままでいいんですか?」
放課後、急にステラに呼び止められ、レーリアは足を止める。
「何のこと?」
「きーすさまのことです!あの女狐に奪われるかもしれませんよ!!」
「こら、ステラ。相手は王族だよ。冗談でもそんなこと言っちゃいけない」
「でも…」
ステラは釈然としない顔をする。
「ステラは優しいね。僕のことを気遣ってくれてるんでしょう?」
「ちがっ!そんなんじゃ…!」
レーリアは優しく微笑む。
「でも大丈夫だよ。キースと僕の縁はそんなにやわじゃないから。
僕はキースを信じてる。」
レーリアはステラをまっすぐ見つめて言った。
「そんなこと言ってると私がキース様を奪っちゃうかもしれませんよ!」
「?
ステラはデレクのことが好きだろ?」
「で、デレクのことを!?
全然好きじゃありません、あんな奴!!」
「でも、デレクのことをいつも目で追いかけてるじゃないか。それにデレクが他の女の子と話してるのを見るとものすごく悲しそうな顔をしてる」
ステラは顔が真っ赤になった。
口をぱくぱくさせて声にならない叫びをあげている。
「それはっ…!
ただ、懐いてる野犬が他の人にも懐いてるの見て寂しい、みたいな!そんな感情です!好きじゃありませんから!」
レーリアはニヤニヤした顔をする。
「その顔やめてください!本当に好きじゃありませんから!!」
顔を真っ赤にさせて怒るステラも可愛らしい。
本当に自分の感情に気づいていないのか、それとも気づいてて否定しているのか。
いずれにせよ、2人の恋を応援したいとレーリアは思った。
2人はきっとお似合いだろうから。
レーリアとキースが廊下で話していると、案の定ベルトラムがやってきた。
「キース様っ!」
ベルトラムはレーリアの体をぐいっと押す。
レーリアの体がふらっと傾いた。
不幸なことにレーリアのすぐ横は階段であった。
落ちる。
そう思った瞬間に誰かに突き飛ばされた。
「キース!!!」
スローモーションのようにキースが落ちていく。
ドンっと大きな音を立ててキースは床に頭をぶつけた。
「キース!キース、しっりして!!」
レーリアが声をかけるがキースは返事をしない。
キースはそのまま医務室へと運ばれた。
キースが目を覚ましたのは3時間後だった。
レーリアはその間ずっとキースのそばにいた。
「キース、目を覚ましてくれ…」
レーリアがキースの手をぎゅっと握りしめる。
「んん…」
その時キースがかすかに身じろぎした。
「キース!」
「ん…。痛…。頭が痛いな…」
「キース!良かった!目を覚ましてくれて本当に良かった。」
レーリアは涙目になりながらキースに抱きつく。
「ん…?君は誰だ?」
キースのビー玉のような目がレーリアを見つめていた。
放課後、急にステラに呼び止められ、レーリアは足を止める。
「何のこと?」
「きーすさまのことです!あの女狐に奪われるかもしれませんよ!!」
「こら、ステラ。相手は王族だよ。冗談でもそんなこと言っちゃいけない」
「でも…」
ステラは釈然としない顔をする。
「ステラは優しいね。僕のことを気遣ってくれてるんでしょう?」
「ちがっ!そんなんじゃ…!」
レーリアは優しく微笑む。
「でも大丈夫だよ。キースと僕の縁はそんなにやわじゃないから。
僕はキースを信じてる。」
レーリアはステラをまっすぐ見つめて言った。
「そんなこと言ってると私がキース様を奪っちゃうかもしれませんよ!」
「?
ステラはデレクのことが好きだろ?」
「で、デレクのことを!?
全然好きじゃありません、あんな奴!!」
「でも、デレクのことをいつも目で追いかけてるじゃないか。それにデレクが他の女の子と話してるのを見るとものすごく悲しそうな顔をしてる」
ステラは顔が真っ赤になった。
口をぱくぱくさせて声にならない叫びをあげている。
「それはっ…!
ただ、懐いてる野犬が他の人にも懐いてるの見て寂しい、みたいな!そんな感情です!好きじゃありませんから!」
レーリアはニヤニヤした顔をする。
「その顔やめてください!本当に好きじゃありませんから!!」
顔を真っ赤にさせて怒るステラも可愛らしい。
本当に自分の感情に気づいていないのか、それとも気づいてて否定しているのか。
いずれにせよ、2人の恋を応援したいとレーリアは思った。
2人はきっとお似合いだろうから。
レーリアとキースが廊下で話していると、案の定ベルトラムがやってきた。
「キース様っ!」
ベルトラムはレーリアの体をぐいっと押す。
レーリアの体がふらっと傾いた。
不幸なことにレーリアのすぐ横は階段であった。
落ちる。
そう思った瞬間に誰かに突き飛ばされた。
「キース!!!」
スローモーションのようにキースが落ちていく。
ドンっと大きな音を立ててキースは床に頭をぶつけた。
「キース!キース、しっりして!!」
レーリアが声をかけるがキースは返事をしない。
キースはそのまま医務室へと運ばれた。
キースが目を覚ましたのは3時間後だった。
レーリアはその間ずっとキースのそばにいた。
「キース、目を覚ましてくれ…」
レーリアがキースの手をぎゅっと握りしめる。
「んん…」
その時キースがかすかに身じろぎした。
「キース!」
「ん…。痛…。頭が痛いな…」
「キース!良かった!目を覚ましてくれて本当に良かった。」
レーリアは涙目になりながらキースに抱きつく。
「ん…?君は誰だ?」
キースのビー玉のような目がレーリアを見つめていた。
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