女装令息と性癖を歪められた王子

白兪

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合宿も終わり、またいつもの学校生活が戻ってきた。

しかし、1つ違うのは、今日から留学生が来ることだ。

「ウィンダーランド王国から参りました、ベルトラム・ティグリス・ウィンダーです」

ウィンダーランド王国の第3王子が来ると聞いていたのだが、ベルトラムは女学生の格好をしている。
淡い水色の髪は長く艶やかで、淡い金色の瞳は輝いている。

情報の伝達ミスだろうか、それとも…

「あっ、あと、僕はこんな格好をしていますが、男です。」

ベルトラムは美しく微笑んだ。

レーリアは、ベルトラムの瞳がキースを捉え、さらに笑みを深くしたような気がした。


「お隣失礼しますね」

ベルトラムはキースの隣に座ると優雅に微笑んだ。

「これからよろしくお願いします、ベルトラム様」

キースは対外的な笑みを浮かべている。

ベルトラムはキースの美しい微笑みに顔を赤らめた。

「僕は、レーリアと申します。キース殿下の婚約者でございます。これからどうぞ宜しくお願い致します」

レーリアが笑顔で話しかけると、ベルトラムは驚いた顔をした。

「貴方がレーリアなのですか!?私はてっきりレーリアは女装をしているものだと…」

「最近辞めたばかりです。自分に限界を感じてしまって…」

「そんなことない!いつまで経ってもレーリアは可愛いよ!マイエンジェル!!」

急なキースのキャラ変にベルトラムは目を白黒させている。

「困惑させてしまい申し訳ないです、ベルトラム様。キースはいっつもこんな感じで…」

「仲がよろしいのですね」

ベルトラムは優しく微笑んだが、目は笑っていなかった。

それから、ベルトラムと行動することが増えた。他国の王族となると、おもてなしをするのはキースたちの役目であったし、クラスメイト達も恐れ多くて話しかけることがあまりできずにいた。

レーリアは今までに感じたことのない焦りを感じていた。
キースはベルトラムに対して対外的な格好を崩さないが、それでも、ベルトラムが女装をしているというのが気に掛かった。周りの人の話ではキースは女装が性癖らしいから。


「今日はレーリアは先生に呼ばれていましたよね?キース様、2人でランチにしませんか?」

「今度2人で観光に行きませんか?キース様に案内して欲しいです!」

ベルトラムは何かにつけてキースと2人きりになろうとした。
それもレーリアにとっては悩みの種だった。

こういう時、いつものキースなら冷たく突っぱねるのだろうが、相手が王族ということもあり、キースもにこやかに対応しなくてはならなかった。


「レーリアとキース様はどうしてご婚約なさったの?」

2人きりで気まずいなと思っていたらベルトラムから話題を振ってくれたので、レーリアは安堵する。

「キース様が僕を結婚相手に選んでくださったんだ」

「どうして?」

「どうして?えっと、自分で言うのは恥ずかしいけど、キース様が僕のことを好きになってくれたんだ」

「それ以外は?何か王家に利益はあったの?」

「特にはそこは重視されていなかったけど。でも、僕の家はこの国では有力な貴族だからね。大きな反対も起きなかったんじゃないのかな」

「へぇー、じゃあ恋愛結婚ってやつか。
それじゃあ気をつけた方がいいよ。結びつきが弱いから」

ベルトラムはニヤリと笑った。

「ぼうっとしていると誰かに取られるかもね」

そう言い残すと、ベルトラムは身を翻して去っていった。
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