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「おぼっちゃま、分かっておられるとは思いますが、今日は王太子殿下とのお約束がございます」
「えっ!」
「やはり、忘れておられたのですね…」
「いや、寝ぼけてただけだよ。そんな大事なこと忘れるわけないじゃないか!」
「それならばよろしいのですが…」
マーサは変わらず冷たい視線を送ってくる。
はっきり言って忘れていた。しかし、今日の俺はいつもの俺と違うのだ。前世を思い出し、王太子との関係性が重要になると分かった今、全力で媚びなくてはならない。
今までの面会は、可もなく不可もなく、普通だったと思う。特段嫌われるようなことをした記憶はない。
今からでも十分修正可能だということだ。
「よしっ!」
俺は強く拳を握りしめる。
マーサが頑張れ、と小さくガッツポーズをした。
王宮の美しい庭園で王太子の到着を待つ。
薔薇の美しさに見惚れていると足音が聞こえた。
「待たせてすまない」
慌てて席を立ち、声のした方を見るとそこには美少年が立っていた。
美しい金髪に淡い青色の瞳。優しそうな微笑みを浮かべる姿は天蓋の天使を思い出させた。
「いえっ!全然待っておりません!」
「ふふふっ。なんだか今日はいつもより緊張してる?」
「いえっ!いや、してるかも…?」
「いつも通りリラックスしてよ。今日はガベラの好きなマカロンを沢山用意したんだ」
「ありがとうございます!」
想像していたより良好そうな関係だ。これなら断罪回避も簡単なんじゃないか?
「殿下は…」
「いつもロージーって呼んでるじゃないか」
「えっと、ロージー様は好みのタイプとかありますか?」
「好みのタイプ?」
「はい。ロージー様の好みに近づきたくて」
どうだ!健気だろう!こんなこと言われて喜ばない男はいない!
「私の好みは…。考えたこともなかったな。うーん、笑顔が素敵な人、かな?」
あやふやだな。もっとロングがいいとかショートがいいとか、ぽっちゃりがいいとかスリムがいいとか、具体的なこと聞きたかったんだけど。
「だから、ガベラにもずっと笑っててほしいな」
にこりと微笑まれて俺は顔を真っ赤にした。
「かわいいね」
王太子が熱のこもった視線を送る。
これは思っていた以上に順調だ。このまま媚を売って可愛らしく振る舞っていれば、断罪は回避できるのではないか!?
何事もなく日々が過ぎ去り、13歳になった俺は学園に入学した。学園でも穏やかな日々を過ごし、とうとう主人公が入学する15の歳を迎えた。
「えっ!」
「やはり、忘れておられたのですね…」
「いや、寝ぼけてただけだよ。そんな大事なこと忘れるわけないじゃないか!」
「それならばよろしいのですが…」
マーサは変わらず冷たい視線を送ってくる。
はっきり言って忘れていた。しかし、今日の俺はいつもの俺と違うのだ。前世を思い出し、王太子との関係性が重要になると分かった今、全力で媚びなくてはならない。
今までの面会は、可もなく不可もなく、普通だったと思う。特段嫌われるようなことをした記憶はない。
今からでも十分修正可能だということだ。
「よしっ!」
俺は強く拳を握りしめる。
マーサが頑張れ、と小さくガッツポーズをした。
王宮の美しい庭園で王太子の到着を待つ。
薔薇の美しさに見惚れていると足音が聞こえた。
「待たせてすまない」
慌てて席を立ち、声のした方を見るとそこには美少年が立っていた。
美しい金髪に淡い青色の瞳。優しそうな微笑みを浮かべる姿は天蓋の天使を思い出させた。
「いえっ!全然待っておりません!」
「ふふふっ。なんだか今日はいつもより緊張してる?」
「いえっ!いや、してるかも…?」
「いつも通りリラックスしてよ。今日はガベラの好きなマカロンを沢山用意したんだ」
「ありがとうございます!」
想像していたより良好そうな関係だ。これなら断罪回避も簡単なんじゃないか?
「殿下は…」
「いつもロージーって呼んでるじゃないか」
「えっと、ロージー様は好みのタイプとかありますか?」
「好みのタイプ?」
「はい。ロージー様の好みに近づきたくて」
どうだ!健気だろう!こんなこと言われて喜ばない男はいない!
「私の好みは…。考えたこともなかったな。うーん、笑顔が素敵な人、かな?」
あやふやだな。もっとロングがいいとかショートがいいとか、ぽっちゃりがいいとかスリムがいいとか、具体的なこと聞きたかったんだけど。
「だから、ガベラにもずっと笑っててほしいな」
にこりと微笑まれて俺は顔を真っ赤にした。
「かわいいね」
王太子が熱のこもった視線を送る。
これは思っていた以上に順調だ。このまま媚を売って可愛らしく振る舞っていれば、断罪は回避できるのではないか!?
何事もなく日々が過ぎ去り、13歳になった俺は学園に入学した。学園でも穏やかな日々を過ごし、とうとう主人公が入学する15の歳を迎えた。
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