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「どうして、こんなことに…」
俺がそう呟くと目の前の少年はフッと笑った。
「どうして?本当にわからないの?」
彼は優しく俺のほおを撫でた。
「僕を狂わせたのは君なのに。」
狂わせた。
確かにそうかもしれない。
運命に、シナリオに逆らおうと努力した。それが招いた結果なのだ。
全ては、俺が狂わせたのだ。
あの日から。
目を覚ますと、美しい天蓋が目に入った。楽しそうに笑う天使たちとユニコーン。なんともファンシーだ。
「んん…」
「おぼっちゃま。おはよう御座います。朝でございますよ。起きてくださらないと」
「おぼっちゃま…?」
「また寝ぼけていらっしゃるのですね。今日の朝ごはんはポーチドエッグでございますよ。昨日の夜から楽しみにしておられたではありませんか」
「ポーチドエッグ…」
ポーチドエッグは俺の大好きな朝ごはんだ。朝と言ったらやっぱりポーチドエッグだろう。
いやいや、朝と言ったら納豆ご飯だろ。ホカホカの白米に乗せて食うのが最高だ。
「なっとうごはん…」
「ナットウゴハン?寝ぼけていないで早く御支度してくださいませ」
あれ?この人は誰だっけ?
この人は乳母のマーサだろ。小さい頃から面倒を見てくれたの忘れたのか?
あれ?俺って誰だっけ?
俺は、俺の名前はーー?
「おぼっちゃま、失礼しますね。
あら?お顔が赤い…。
熱い!!熱を出されてる!
おぼっちゃま、今すぐお医者様をお呼びしますからね!」
マーサの声が遠のいていく。
俺の意識はまたどこか遠くへと飛んでいった。
次に目が覚めた時には全てを思い出し、そして全てを理解していた。
俺の今の名前はガベラ。悪役令息だ。何故そう分かるのかというと前世でプレイしていたゲームの登場人物に外見も経歴もそっくりだからだ。
前世では普通の高校生だった。
ゲームと漫画が好きな普通の高校生。何故BLゲームについても詳しいのかというと、幼馴染が腐っていたからだ。幼馴染は俺に色んなものを布教してきた。ちっとも興味がなかったが、受け流すとギャーギャーうるさいので勧められたものはやっていた。
そのうちの1つが「百花繚乱の世界でキミに恋に落ちる」だった。
主人公、ランは孤児院で慎ましい生活を送っていたが、ある日、公爵家の子供だと判明する。実は15年前に誘拐されたのだった。公爵家に引き取られた後、あたたかい家族と出会い、学園「フロランティア」に入学する。そこからがゲームスタートだ。
そのあとはよくあるストーリーで色々なイケメンたちと恋に落ち、試練を乗り越え、結ばれる。
その試練の一つが悪役令息であるガベラである。ガベラは王太子の婚約者で、明るく、皆んなを魅了するランを妬むようになる。そして終いには悪漢を雇ってランを襲わせるのだ。そこを攻略対象たちが助けに来てハッピーエンド。ガベラは国外追放だ。
そんなこと耐えられない。王太子と結婚したいかというとそうでもないが、国外追放され、家族に迷惑をかけるのが許せない。
今は10歳。ゲームが始まるのが15歳。
なんとしてでもこの運命を変えなくては。
俺は強く決心した。
俺がそう呟くと目の前の少年はフッと笑った。
「どうして?本当にわからないの?」
彼は優しく俺のほおを撫でた。
「僕を狂わせたのは君なのに。」
狂わせた。
確かにそうかもしれない。
運命に、シナリオに逆らおうと努力した。それが招いた結果なのだ。
全ては、俺が狂わせたのだ。
あの日から。
目を覚ますと、美しい天蓋が目に入った。楽しそうに笑う天使たちとユニコーン。なんともファンシーだ。
「んん…」
「おぼっちゃま。おはよう御座います。朝でございますよ。起きてくださらないと」
「おぼっちゃま…?」
「また寝ぼけていらっしゃるのですね。今日の朝ごはんはポーチドエッグでございますよ。昨日の夜から楽しみにしておられたではありませんか」
「ポーチドエッグ…」
ポーチドエッグは俺の大好きな朝ごはんだ。朝と言ったらやっぱりポーチドエッグだろう。
いやいや、朝と言ったら納豆ご飯だろ。ホカホカの白米に乗せて食うのが最高だ。
「なっとうごはん…」
「ナットウゴハン?寝ぼけていないで早く御支度してくださいませ」
あれ?この人は誰だっけ?
この人は乳母のマーサだろ。小さい頃から面倒を見てくれたの忘れたのか?
あれ?俺って誰だっけ?
俺は、俺の名前はーー?
「おぼっちゃま、失礼しますね。
あら?お顔が赤い…。
熱い!!熱を出されてる!
おぼっちゃま、今すぐお医者様をお呼びしますからね!」
マーサの声が遠のいていく。
俺の意識はまたどこか遠くへと飛んでいった。
次に目が覚めた時には全てを思い出し、そして全てを理解していた。
俺の今の名前はガベラ。悪役令息だ。何故そう分かるのかというと前世でプレイしていたゲームの登場人物に外見も経歴もそっくりだからだ。
前世では普通の高校生だった。
ゲームと漫画が好きな普通の高校生。何故BLゲームについても詳しいのかというと、幼馴染が腐っていたからだ。幼馴染は俺に色んなものを布教してきた。ちっとも興味がなかったが、受け流すとギャーギャーうるさいので勧められたものはやっていた。
そのうちの1つが「百花繚乱の世界でキミに恋に落ちる」だった。
主人公、ランは孤児院で慎ましい生活を送っていたが、ある日、公爵家の子供だと判明する。実は15年前に誘拐されたのだった。公爵家に引き取られた後、あたたかい家族と出会い、学園「フロランティア」に入学する。そこからがゲームスタートだ。
そのあとはよくあるストーリーで色々なイケメンたちと恋に落ち、試練を乗り越え、結ばれる。
その試練の一つが悪役令息であるガベラである。ガベラは王太子の婚約者で、明るく、皆んなを魅了するランを妬むようになる。そして終いには悪漢を雇ってランを襲わせるのだ。そこを攻略対象たちが助けに来てハッピーエンド。ガベラは国外追放だ。
そんなこと耐えられない。王太子と結婚したいかというとそうでもないが、国外追放され、家族に迷惑をかけるのが許せない。
今は10歳。ゲームが始まるのが15歳。
なんとしてでもこの運命を変えなくては。
俺は強く決心した。
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