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大司教的な存在はどこの世界でもそんなもん
しおりを挟む前回のあらすじ! デェン!!
まさかの俺ではなく一ノ瀬アリスが追放ざまぁをぶちかましてしまった!
しかし、彼女を無能と蔑んだ陽キャイケメンこと天上院天下は依然として余裕の笑みを浮かべており――?
「何か物凄く不穏な気配を感じるのだけれど」
「ソンナコトアリマセンワヨ」
アリスは何かを察したのか不機嫌そうに眉を顰めた。なにそのセンサー。あんまり俺の心の中を読まないでほしい。
『聖剣ちゃん的にマスターはもう少し隠す努力をしたほうがいいと思いますよ?』
『魔剣ちゃんも全面的に同意~本当にマスターは雑魚雑魚の駄目駄目なんだから♡』
『小僧は女心ってのがまるで理解ってねぇな。情けないったらありゃしねぇ』
「うるさいうるさいうるさいやい」
俺はあまりの喧しさに両手で耳を塞いだ。
上から聖剣ちゃん、魔剣ちゃん、魔導本。コイツらは本当に言いたい放題である。
「ふう明星君がアレなのはいつものことだから置いておくとして……貴方は随分と余裕そうね」
アリスの発言には厳重なる抗議をしたいところだが今は目の前の天上院天下だ。
彼女が言うように、軽く絶体絶命な状況に関わらず奴の余裕綽々な態度は異様の一言に尽きた。
まさかこの状況をひっくり返せる奥の手があるのか?
「まぁね。なにせ今回は僕一人じゃない。強力な助っ人を連れてきたのさ」
「ブヒッヒッヒヒーそろそろお呼びですかな天上院様」
そして彼の発言を見計らったかのように現れたのは白を基調とした法衣を身に纏った恰幅のいいスーパーメタボさんだった。
先程までは見当たらなかったし、後ろの方でずっと待機していたらしい。ご苦労様なことだ。
「紹介しよう、彼はこの世界において主教である女神正教の大司教様だ。彼は君ではなくこの僕を真なる勇者と認めて下さってね」
「ブヒッヒッヒヒー、あれが噂の不適格勇者ですかぁ。噂通り随分と冴えない面をしておりますなぁ」
ほっとけ。
ていうか大司教って宗教組織の中でもかなり上位の存在じゃなかったか。
それがどこからどう見ても、暴飲暴食を重ね快楽にフルダイブしている感じだけど大丈夫かこの国。
「女神正教?」
アリスは聞き慣れない言葉に首を傾げた。もちろん俺も同じような心境だ。
「聖剣ちゃん、女神正教ってなに?」
『……』
アレ?
珍しい。聖剣ちゃんは何かを考えこむように無反応だった。もしかしてこの宗教と浅からぬ因縁でもあるのだろうか。
『あ、思い出した。誰かと思えばエロ豚司教じゃないですか』
そんなわけじゃなかった。
彼女が考えていたのは予想の斜め遥か上空を尽き抜けるほどしょーもないことだった。
「せ、聖剣が喋っただとぉ!?!?!?」
エロ豚……間違えた大司教は鳩が鉄砲くらったかのように
すっとんきょうな奇声を上げた。
ていうかこのやりとりも飽きてきたな。そもそも大司教とかいうこの国でも最上位に近そうな立場なのに知らなかったんかい。
「あーなんとなく予想がつくけどそのエロ豚司教ってのは?」
『あ、はい。マスター、この世界の宗教も中々に腐敗していましてね。あのエロ豚司教はその立場が良いことに敬虔な修道女の純潔を食い漁っているんですよ』
「うわぁ」
「塵ね」
正直、ドン引きだ。アリスや魔剣ちゃん達も似たような反応を示した。どこにもこういう奴っているよね。引くわー。
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