異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

文字の大きさ
上 下
55 / 67

まさかの人物到来①

しおりを挟む


「王国兵がこの冒険者ギルド建物を取り囲んでいます!!」

 ギルドマスター室で歓談(強制)する中、突如として訪れた緊急事態。
 冒険者ギルドの問題というよりは、どう考えても王城から逃亡した俺とアリスを追って来たことは明白だった。

 あちゃー。
 いつかこんな日が来るとは覚悟していたが想像の一〇倍早かった。それはアリスも同じようで彼女は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべていた。


 対してギルドマスターであるアルマテア・ガラハッドはこんな状況にも関わらず極めて冷静な態度だった。

「ふむ。それで向こうの要求は?」

「王国兵達はお前達が匿っている勇者を差し出せと意味不明なことを言っています。あの、なんのことでしょうか……?」

「あぁ気にしなくてもいいよ。対応はすぐに此方で考えよう。君は持ち場に戻りたまへ」

「かしこまりました」

 報告に来たギルド職員はアルマテアの指示に従い部屋を後にした。

「それでこの状況、どうしたものかね」

「そもそもなんでカゲト達がここにいると王国の連中は分かったニャ?」

 猫耳受付嬢ニャルメアが首を傾げた。
 それは俺も疑問だ。王城から逃亡してから大した日数も経過していない上に、この都市は王城からそれなりに離れている。
 普通であればこんなに早い動きが出来るはずがない。

「ニャルの疑問はもっともなものだ。まぁおそらく探知魔術の系統だろうな。なにせ王城にはあの第二王女モルガンがいる。彼女にかかればその程度朝飯前だろうな」

「え、あのクソアバズレそんな凄い存在だったの?」

「明星君、いくらなんでも失礼よ」

 アリスに怒られちゃった。ちぇー。

 とはいえ探知系統の魔術か。だとしたら相当に厄介だ。
 まだ発振器等の物であれば取り外せるから楽だが、魔術となるとどうするべきか皆目見当もつかない。いっそ世界の裏側とかにでも行けばいいのだろうか。

『ま☆ モルガンについては一度置いておくとして』

「うん?」

 突然、アイテムボックス内から声を上げた聖剣ちゃん。当然アルマテアは姿なき声に首を傾げた。

「あ、こら。人前で喋るな」

『彼女はまぁ大丈夫でしょう』

「基準が分からんなぁ」

 彼女は一体全体何を思ってそう判断しているのだろうか。小一時間程度かけて問いただしたいところである。

『よっと聖剣ちゃん登場☆』

『あ、じゃあ魔剣ちゃんも魔剣ちゃんも。はぁー気を利かせて早く出しなさいよね。これだから童貞マスターはダメ♡ダメ♡』

『お、じゃあ俺様も便乗させて貰うわ』

 聖剣ちゃんと魔剣ちゃんはアイテムボックスから、魔導本はアリスの懐から勝手に飛び出した。コイツ等はこんな状況にも関わらずフリーダムだなぁ。

「ニャニャニャ~マジでおったまげたのニャ~」

「これは中々に壮観な光景だ。まさか生きている内にこの数の神話級武器を目にすることになるとはね」

『以後お見知りおきを☆』

 聖剣ちゃん達は軽く自己紹介を済ますとおもむろに語り始めた。

『それでこの状況どうします?』

 なんでお前が仕切ってんだよ。
 そうツッコミたいところだが、あまり時間がないことを鑑みて今は自重しておいた。

「ふむ、私としてはギルドのほうで対処しても良いと考えているが……」

「いや俺達が出るよ。流石にギルドに迷惑はかけられないしね」

「そうね。自分たちで蒔いた種なのだから私達だけで対処すべきよ」

「そうして貰えると立場上非常にありがたいよ。なにか必要なことがあれば言ってくれ。可能な限り応えよう」



 ◆


「これはこれはまぁ……随分と大所帯なことで」

 冒険者ギルドから出るとそこには建物を囲むように立ちはだかる百を越える王国兵士がいた。ガチガチのガチ武装だ。大人げなくない?

 しかも。しかもだ。

「ギャハハハ! このクソ陰キャが!! 今更謝ったって遅ぇぞ!!!」

「ま、そういうことだ。悪いね陰キャ君」

 えーまさかのコイツらかー。

 王国兵の中心にはまさかのまさか。同じ異世界転移者である陽キャイケメン・天上院天下とヤンキー君が存在していた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギフト争奪戦に乗り遅れたら、ラストワン賞で最強スキルを手に入れた

みももも
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたイツキは異空間でギフトの争奪戦に巻き込まれてしまう。 争奪戦に積極的に参加できなかったイツキは最後に残された余り物の最弱ギフトを選ぶことになってしまうが、イツキがギフトを手にしたその瞬間、イツキ一人が残された異空間に謎のファンファーレが鳴り響く。 イツキが手にしたのは誰にも選ばれることのなかった最弱ギフト。 そしてそれと、もう一つ……。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

処理中です...