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異世界転移五日目
しおりを挟む俺達が都市に戻ると既に日が暮れていた。
王国から逃亡している以上のんびりし過ぎるのは問題だが、現状急ぐ必要もない。そんなわけで魔獣討伐の結果を冒険者ギルドへ報告するのは明日ということになった。
そのまま宿に戻り晩飯をとったら風呂に入り就寝した。
え?夜這い?
そんなもん無かったよ。
そんなわけで翌日。
俺は眩い朝日に照らされて起床するわけだが、当然ながら未だに童貞のままだった。クソが。
『そんな盛った猿みたいに腰をヘコへコさせたいなら私を抱いてもいいですよ?』
俺の隣でフワフワと浮かぶ聖剣ちゃんがまたそんな戯言をほざいたので、とりあえず深い深いため息を返しておいた。こいつ本当に分かってねぇな。俺はこんななりでも純愛主義者なの。
「は~これだから無機物の塊は」
『いや無機物って。まぁその通りと言えばその通りなんですけど』
「俺はそれなりの恋愛過程を経てから童貞喪失したいの」
『うわぁ魔剣ちゃん的にドン引きなんですけど……』
聖剣とは反対位置の俺の隣でフワフワと浮かぶ魔剣ちゃんがゲンナリするように呟いた。
いつものメスガキムーブが軽く剥がれるぐらいドン引きされた件について。そんなに駄目かなぁ。
コンコン
そんなこんなしている内に部屋のドアからノックの音が響いた。
「おはよう明星君」
『おうおう小僧。相変わらずシケた面してやがんな』
部屋に入ってきたのは一ノ瀬アリスと魔導本だ。
「二人ともはよっす」
「明星君、挨拶はキチンとすべきよ」
「あ、はい」
お母さんかな?
『小僧は本当にだらしがねぇなぁ。男ならシャキッとしろよシャッキッと』
『ぷぷー朝っぱらからアリスちゃんに怒られるとか、マスターってほんとダメ♡ダメ♡』
魔導本は相変わらずクソ生意気だし、魔剣ちゃんはメスガキここに在りって感じである。
ちなみに魔導本は昨日の帰り途中で話し合い、正式にアリスが使用することとなった。俺のものとかいうわけでもないし、アリスが持っていた方が有効活用出来る。それにこれ以上うるさいのが増えるのは御免だ。
『さてさて。皆さんが集まったところで、今日も張り切って異世界生活を頑張っていきましょー!』
聖剣ちゃんが元気良く声を上げた。
なんでお前が仕切ってんだよとツッコミを入れたくなったが、寸前のところで踏みとどまった。もうなんか色々言っても全然聞かないから無駄だし。次にヤバいことしたらへし折るつもりなので、好きにやらせることにした。
本日も晴天なり晴天なり。
そんなわけで異世界転移生活が今日も今日とて始まっていくわけである。
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