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俺氏まさかの戦力外通告疑惑
しおりを挟むとりあえずアリスの悪役令嬢ばりの高い嗤い事件は一度置いておくとして。
というか下手に言及しようものなら絶対零度の眼光で射殺されるまである。
なにせ彼女は日本の学園で告白してくる男どもをあの眼光でばったばったと振りまくった挙句、女帝とまで呼ばれていたからね。クワバラクワバラ。
「……なにか不穏な気配を感じるのだけれど」
怖い怖い。あと怖い。
口にも出していないのに俺の思考を察知してくるのはやめて欲しい。
「し、しかし一ノ瀬の魔術の威力は随分と凄まじいものだったね」
「……まぁいいでしょう。魔術のことね、実は私自身も驚いているの」
ぱっと見た感じでも彼女の炎魔術は一〇倍以上の威力に跳ね上がっているように思えた。
その要因はどう考えても、アリスが突如に覚醒したとか謎の力に目覚めたとかそういうわけではなく、
『ヘヘン、どんなもんだい。俺様の手にざっとこんなもんよ』
この無駄に尊大な態度の魔導本だろう。
魔道本を持った状態でアリスが唱えた魔術の威力は凄まじいものへと変貌した。恐らく魔力増幅とか魔力補正そういう類の能力ということが伺える。
『ま、あんなの力の一端でしかねぇよ。本気を出した俺様はもっと凄ぇぜ』
なにそれ怖い。
レベル一のアリスですら魔角猪を難なく消し炭に出来るほどだ。本気を出したら都市でも落とせてしまうのだろうか。
「とりあえず私もレベルアップしたみたい」
アリスは淡々と話しているがその声音はどこか嬉しそうだった。俺もゲーマーの端くれだから分かる分かる。レベルアップとはいいものだ。
「ステータスを開いてみるわ」
「お、見せて見せて」
彼女の前の空間にポップアップしたステータスを覗き込む。
名前 :一ノ瀬アリス
レベル:10
職業 :魔術使い(全)
HP :100
MP :1500
SP :30
筋力 :10
耐久 :30
魔力 :1000
俊敏 :40
運 :70
おふう。
俺はアリスのステータスに目を見開いた。
「魔力数値の上がり方がえぐくないかこれ」
『驚け小僧。この嬢ちゃんは魔力成長補正一〇倍の保持者なんだぜ』
「は? なにそれチートじゃん。というか前に見た一ノ瀬のステータスにそんな記載は無かった気もするけど」
『隠しステータスってやつですね。ちなみにマスターも一応勇者なんでいくつか所持していますよ』
マジで?
『えーとマスターは確か……経験値補正五倍と各種ステータス補正四倍ですね。しょっぼ』
『えーなんか四倍とか中途半端っぽくない? まさに雑魚雑魚マスターって感じ♡』
聖剣ちゃんにより明かされた新たな事実。そして魔剣ちゃんの心ない一言。
やめろぉ! うすうす俺もそう感じていたけど考えないようにしていたんだからやめろぉ!!
うーん、でもやっぱり凄いことには凄いんだけどアリスと比べると些かショボくない?
なんか器用貧乏とかいうオチになりそうで怖いんですけど。異世界ものってインフレが半端ないし。
まぁいいか。その時は神様仏様アリス様という具合に彼女におんぶ抱っこで助けてもらうことにしよう。
ふー色々とアリスに恩を売っておいてよかったー。
「なにかまた凄い不穏な空気を感じるのだけれど」
「ソ、ソンナコトナイデスワヨ?」
なんでこうも俺の周辺の女性陣は俺の内心をこうも易々と看破するのだろうか。これもうプライバシーの侵害だろ。人権はどうなってんだ!人権は! え?陰キャだからそんなのない? くそったれ!
冗談はさておき、更にレベルアップしたアリスの魔力値はそれはもう凄まじい数値へと成長することだろう。
なにせ補正値四倍の俺とは段違いの魔力補正値一〇倍だ。レベルの関係上、今は俺の方が高いがそれも一時だけ。彼女がレベルアップを重ねていけばその差は歴然としたものになるだろうよ。
もしかしてこれまさか俺が将来的にいらない子になる感じです???
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