異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

文字の大きさ
上 下
28 / 67

朝チュンチュン

しおりを挟む

 チュンチュン

 翌日。俺は窓から差し込む日差しに包まれ目を覚ました。これが朝チュンってやつか。

 昨晩、俺達は仲良く大人の階段をかけ上が……ることはなかった。
 何もなかったはずなのに様式美のように聞こえる小鳥達のさえずりが無性に憎たらしい。クソが。

 いやいやいやいや無理に決まってるじゃん?
 何度も言うけどこちとら陰キャオタク童貞よ?
 なろう小説チーレムじゃないんだからそんな序盤でくっつくとかそういうのはないの!クソが!!

 そもそもアリスは俺みたいな陰キャごときに好意なんて持たないだろうし、聖剣ちゃん達はいちいちキナ臭い。手を出す選択肢なんて有り得ないのだ。

 でも、でも……勿体なかったなぁ……。

 ふと一生童貞という言葉が頭をよぎる。
 ち、違うよね? 本当に違うよね???

 とりあえず心の中で神に拝み倒した。たのんます本当にたのんますよ!

「あら起きていたのね。おはよう明星君」

「あっはい」

 アリスが俺に反応したのか起床した。

 彼女にしては珍しく頬を少し染めて、微笑を浮かべている。
 なんでだろう。無駄に滅茶苦茶事後感が漂っているんですけど。これで俺、童貞のまんまなんだぜ?信じらんないよね。

『そういうとこですよマスター』

『ほんとマスターは童貞のざこざこ♡』

「うるさいうるさい本当にうるさいやいっ」

 ぶっとばすぞこの野郎。後アレ。童貞をイジメるんじゃありません。救いようのない化物みたいなもんなんだぞ。

 聖剣ちゃん達は既に美少女化を解除して元の剣形態に戻っていた。昨晩は本当に驚いたわ。ゼ〇ブレイドかよ。

『それで今日はどうするんですかマスター?』

「ふーむ」

 昨晩の出来事は心の底に永久封印するとして。あ、彼女達の艶姿は脳内永久保存しときました。

 何事も最初が大事だ。陰キャが高校デビューしようとして奇をてらった自己紹介しようものなら大失敗は必然みたいな。違うか。違うな。これは俺の黒歴史ですね……。

「よしなら作戦会議をしよう」

 何はともあれまず、今後の行動指針を決めるべきだろう。


 ◆


 部屋に運ばれた昼食を食べつつ今後の行動指針を決めるべく作戦会議を開始した。

「当面の目標なんだけど元の世界に戻るための手がかりを探そうと思う」

「王国はどうするの?」

「うーん、あそこかなりキナ臭いんだよなぁ」

 あそこに元の世界に戻るために必要な情報があるのは間違いないだろう。俺らを異世界転移させたわけだし。
 しかしどうにも信用できない。そもそも平然と拉致をしているような奴らだし信用も信頼も絶対にしてはいけない相手だ。

 召喚されたクラスメイト達は熱に浮かされ見過ごしているが、今回の件は拉致監禁もいいところだ。しかも都合のいいことばかり言って戦争の駒にまでしようとしている。

 信用できるわけもない。

『そうですね。聖剣ちゃん的にもしばらくあそこには近づかないほうがいいと思います』

『魔剣ちゃんあそこ嫌い~』

「そうね私も同感よ。それにあの空間は異様に感じたわ」

 そうそれなのだ。
 俺とアリスは些か特殊な立位置にいたところもあるが、それにしたって異常とも言えた。

 もしかしたら洗脳魔術もしくは扇動魔術。そんなところだろうか。いくら平和ボケした日本高校生とはいえ、あの問いかけに二つ返事なのはおかしい。そう考えたほうが腑に落ちる。

「とりあえず王国は一度置いておくとして。どうこうするにも情報が足りなすぎるな」

「そうね。王国から軽く説明を受けただけで私達はこの世界について無知だものね」

 俺達が知っていることなど王国といくつかの国が存在するこの人大陸と魔王軍が根城にしている海向こうの魔大陸に分かれている程度だ。それ以上は説明を受ける暇もなく脱走したわけだし知る由もない。
 まぁ仮に説明を受けられたところで、さぞ王国贔屓の偏った歴史や情報を教えられるだけだろうけど。

『情報収集も大事ですがアリスちゃんの戦力強化のほうが急務では?』

『アリスちゃんレベル1のよわよわ♡』

「反論出来る要素がないだけに腹ただしいわね……」

 聖剣ちゃんが言うことも一理ある。俺自身はレベルアップにより相当強化されたが、アリスはそのままだ。正直、ふとした拍子に死にそうで気が気でない。

 となると情報収集もしつつアリスの戦力強化もしていく必要があるな。

「よしとりあえずあれだ。冒険者ギルドに行こう」

 そうだギルドに行こう。
 困ったときの定番、異世界転移の基本である冒険者ギルドだ。異世界転移及び転生系でこれが出ない小説などほぼ存在しない。皆無だ。

 とりあえず冒険者ギルドに行っておけばなんとかなる。そう言っても過言ではないまであるね。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...