異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

文字の大きさ
上 下
24 / 67

異世界転移先に風呂があるのも基本

しおりを挟む
 都市に着くと喧騒が俺らを迎え入れた。やはり怯えるものや慌ただしく駆け回る者が目立つ。改めて絶対龍種ドラゴンという存在はこの世界の人間にとって脅威そのものであることがよく理解わかる。

 色々聞き回ったり探索とかもしてみたかったが、日暮れが近づいているし何より疲労感が強い。
 幸い入口周辺に宿らしきものがいくつかあったので、比較的外観が整ったものを選びすぐさま入ることにした。

 宿に入ると威勢の良さそうな女将さんが迎え入れてくれた。

「いらっしゃい! ……ってアンタ達うちはそこそこ高いけどお金は払えるのかい?」

 女将さんは俺らを見て怪訝な表情を浮かべた。俺らの外観年齢から支払能力に疑いを覚えたらしい。

「いくらですか?」

「銀貨三枚だね」

 今一貨幣の価値が分からないな。
 そこそこ高い宿で銀貨三枚ということは、銀貨一枚日本円にして一万円ぐらいなんだろうか。一泊三万円の宿と考えるとそこそこの価格と考えれるし。

「あ、大丈夫です」

「そうかいそうかい、なら良かった! うちは最近流行りの湯浴みもあるから堪能してくんなっ!」

「お風呂があるの!?」

 これには流石のアリスも珍しく高音を上げた。気持ちは分からなくないし俺も同じ気持ちだ。異世界ということもあり諦めていたがこれは嬉しい誤算だ。

「部屋は一部屋でいいかい?」

「あ、別々でお願いします。可能なら隣同士だとありがたいですが……」

 アリスにキモがられない不安なところである。
 まぁその?同い年の、しかも学年一の美少女と名高い同級生が隣の部屋で寝泊まりするのは些かドギマギするがこれは仕方ないことなのだ。常に世界平和を考える俺に下心など存在しない。本当だよ?

 冗談はさておきここは異世界で安全な日本じゃない。警戒するに越したことはないだろう。隣部屋なら緊急事態トラブルにもすぐさま対応出来るだろうし。

「……」

 アリスもそれが分かっているのか特に嫌がる素振りは見せなかった。ふぅ……(安堵)。

「ふぅん、てっきりそういう関係だと思ったけど……ま、あんまり余計なことは言わない方が良さそうだね。料金は倍額になるが構わないかい?」

「あ、はい」

 日本円換算にして六万円か。一般高校生の俺からしたら相当な大金だが所詮は王国から拝借したお金だ。どうでもいいかガハハハッ。

「まぁ随分と太っ腹だね。よく見ると身なりは綺麗だしもしかして貴族様のお忍びだったり……おっと余計な詮索はマナー違反だったねガハハハッ!」

 女将さんは腰に手を当てて豪快に笑った。

 各々の部屋に案内された後、とりあえず俺は風呂に入ることにした。


 ◆


「あ~いい湯だった~」

 風呂に入り終えた俺は用意された部屋着に着替えそのままベットに倒れ込んだ。

 風呂は流石に個室タイプではなく男女別に分かれた共同浴場。つまりは日本の銭湯スタイルだ。といっても宿に泊まった人間しか使用できないのでそこまで混雑しておらず、それなりに清潔感が保たれていたので快適と言えた。

『お湯に自ら浸かりに行くなんて信じられない文化ですよ』

『ねーせっかくすべすべなお肌に錆でも入ったら大変なのにねぇ~』

 いつの間にかアイテムボックスから勝手に出てフワフワ浮かぶ聖剣ちゃんと魔剣ちゃん。こいつらどんどんフリーダムになっていくな。

 人間からしたら体に良いことずくめだが彼女たちのように武器だと勝手が違うらしい。ふとメンテナンス等のことはした方がいいのかと思ったが、余程の損傷をしない限り自動修復機能があるらしく問題ないらしい。流石万能を自称するだけはある。

 その後はアリスと軽く相談し、本格的な活動は明日にして今日は早々に寝ることに決めた。


 ◆


 コンコン

 部屋の明かりを消して数刻たった頃、部屋にノックの音が鳴り響いた。アリスだろうか。案外トイレに一人でいけないとかそういう理由だったりして。そんなわけないか。

 ドアを開けるとそこには案の定ローブを纏ったアリスが立っていた。風呂に入った後なせいなのか女子特有の甘い香りが鼻腔をくすぐってくる。それに多分に水分含みしっとりとしたように見える髪も相まってかどうしても官能的に見えてしまう。

 ヤバい。俺は今とてつもなくキモい顔をしているような気がする。

「明星君……」

 彼女はなんとも艶のある声で俺の苗字を呟くと、何を思ったのか身に纏ったローブをはだけた。

 は? え、いやうん……は???

 目の前の光景があまりにも荒唐無稽に感じ、脳そのものがバグる感覚に陥った。
 なにせどういう因果か彼女はローブの下に一糸すらも纏っていなかったのだ。

 はい??? まじでどゆこと???
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...