異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

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異世界で最初に遭遇するおっちゃんってだいたい親切だよね

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 特に問題なく山の麓まで降りることが出来た。まぁ途中で下山するのが面倒になったから、また聖剣ビームを地面に逆噴射して一気に移動したんだけどね。魔獣とかに襲われないのは不自然に感じるが上手くいったので良しとする。

『まぁマスター達にはこの超絶有能美少女聖剣ちゃんがついていますからね。それに龍の気配がそりゃもうベットリとこびりついています。余程のことがなければ寄ってすら来ませんよ』

 そういうもんか。
 山以降は流石に歩きだ。
 しばらく歩みを進めると視界の端に建築物のような影が映り込んだ。

「お、あれはもしかして」

『えぇあれが目的地です』

『やっと着いた~魔剣ちゃん的にもうクタクタ~~~』

 君達はフワフワ浮いているだけなのに疲れるのだろうか。俺は突っ込まないぞ突っ込まないからな。
 ともかく遠目に見えたのは城壁だ。ここから見てもかなり巨大だと窺い知れる。

「ぜぇー……ぜぇー……よ、ようやく着いたのね」

 アリスは息も絶え絶えだ。体の細さから見てもともとインドア派なんだろう。
 ちなみに俺は意外にも一切疲労がない。レベルアップにより有り得ないほど身体能力向上したらしく、山森からはかなりの距離があったはずなのに汗一つかいていないという。

 目的地が見えたとはいえまだ多少距離がある。アリスが明らかに限界なことを鑑みて俺らは一度休憩することにした。

 その最中、俺はあることに気がついた。

「おっとこの格好じゃ流石に不味いか」

「そうね。私たちの格好は明らかにこの世界のものではないものね」

 アリスの言うとおり王国から即座に逃走した俺らの格好はもちろん現代日本式高校制服のままだ。
 この世界の人間が見れば明らかに異質のものと分かるだろうし、なにより王国の連中にバレた時が面倒だ。流石に追手とかを放っているだろうし。

「そんなわけでここに全身を覆い尽くせるローブが二着あります」

「いやに用意周到ね……」

 もちろん安全安心アイテムボックスさんのおかげだ。王国から拝借した物の中にいくつかあったらしい。まじ便利。ちなみにカラーはもちろん陰キャが大好きな黒。

「じゃそろそろ聖剣ちゃん達はアイテムボックスに入ってね」

『『は~い』』

 聖剣ちゃん達は一度アイテムボックスに入ってもらうことにした。フワフワ浮かぶ武器が近くにいたら目立ってしょうがないし。腰に帯剣することも一応考えたが盗まれるのもまた面倒だし遠慮することにした。それにほらなんか重いし。

『マスター、ぶっ飛ばしますよ?』

『魔剣ちゃん的にデリカシー無さすぎてドン引き~これだからマスターは駄目♡駄目♡』

 本当にコイツらはうるさいことこの上ないね。


 ◆


「おぉ凄いなこの城壁」

「えぇ」

 目と鼻の先まで近づくとその巨大さに圧倒された。
 城壁は見た感じ都市全体をぐるりと囲っていそうだ。まさに進〇の巨人って感じ。

『えぇマスター達の世界と違って魔獣の脅威がありますからね。むしろこれでも足りないぐらいです』

 どこからともなく声が耳に届いた。聖剣ちゃん達がアイテムボックスに入っている中で話すとこんな感じになるらしい。

 まぁ彼女の言う通りドラゴンとかいうトンデモ生物が実在するわけだし分からないでもない。むしろ城壁なんていくらあっても足りないだろう。真面目に考えると異世界ってあんまり夢がないよね。

 城壁門前に移動すると中に入ってないにも関わらず喧騒が俺達を迎え入れた。怯えるものや慌ただしく駆け回る者が目立つ。何かしらの事件があったようだ。

 呆然としてると門番らしき一人がこちらに気づいたらしく気さくに声をかけて来た。都市内に入りたい旨を伝えると身分証を求められた。やっべ。

「身分証がない? はぁはーん、さては田舎から出てきたのか?」

「あ、あはは。まぁそんなとこです」

「そうなると少し困ったな。一応身分証がない場合、中に入るのに金が必要だぞ?」

「どのぐらい必要なのかしら?」

「銀貨一枚だな。田舎から遥々来てもらって悪いがこれも決まりなんでね」

 門番兵は申し訳なさそうに苦笑した。なんか人が良さそうだ。

「あ、払えるんで払います」

 銀貨銀貨。アイテムボックスにあるといいけど……あ、念じたらいつの間にか手のひらに握られていた。素晴らしい便利機能だな。

「お、良かった良かった。せっかくここまで来たのに門前払いだとこっちも心苦しいからな」

「そういう人も多いのかしら?」

「まぁな。ほら少し向こうのほうに集落みたいなのが見えるだろ? あそこは田舎からわざわざ来たのに中に入れない人達が住み着いている場所なんだ」

 なんたる格差社会。
 しかしそれでもまだ都市の外壁沿いのほうが安全らしく、彼処で生活を余儀なくされているそうな。とはいえ比較的に安全なだけで魔獣に襲われないなんてことはもちろんない。異世界も世知辛いなおい。

「アンタらもこんな時期に来て災難だな。なんでも近くの山にA級の魔獣、しかも絶対龍種ドラゴンが住み着いたらしいんだ」

 あーなるほど。それ多分、俺が討伐した奴だ。

 この騒ぎ様。こりゃ討伐したことは言わぬが吉だな。アリスも俺の考えを察したのかコクリと頷いた。

「親切ついでに言っとくと、中に入ったら何らかのギルドに入りな。ギルド証は身分証明書の代わりにもなるからな。多少戦闘に心得があるなら特に冒険者ギルドがお勧めだ」

 まじで親切なおっちゃんだと思う。異世界にもこんな人いるんだな。どこぞのクソ王国やクラスメイトとは大違いだね。
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