18 / 67
脱出成功と学園一美少女のパーティー正式加入
しおりを挟む「へ、風、わふ、ぶべぇっ……!」
現在、俺と一ノ瀬アリスは仲良く空中回遊に勤しんでいた。
ごめん嘘。回遊というかもうこれ投射だわ。それも大リーグ顔真っ青の超剛速球レベル。
もうね風圧とか半端ないもの。誰だよこんな阿呆なこと考えた奴。俺だわ。
「……っ!」
飛ばされないようにとしっかりと俺の腰にしがみつくアリス。ヤバいヤバい女子特有のなんかいい匂いがする。いやしねぇよ。こんな超高速で飛行していたら匂いなんて吹き飛ぶわ。
『あっっっっっっりえないんですけどっ!!!!!』
そんな俺達に絶賛光を吐き続けている聖剣ちゃんは憤慨した。いやごめんて。
『この超絶美処女天使な聖剣をこんな使い方するなんて前代未聞ですよ!?』
『魔剣ちゃん的にもこの使い方はドン引き~』
散々な言われようである。
俺達があの状況でいかに王城から脱走したかと言えば、ズバリ聖剣から発せられる光のビームによるものだ。つまり聖剣から放たれる極光の推進力を利用したわけである。わざわざ事前にベルトを用意した理由もここにある。要は車の安全ベルトみたいなものというわけだ。
とにかくその極光の煌びやかさたるや凄まじいもので、マジ夜空を駆ける彗星の如し。
ついでに進行方向には風除けである光のシールドまでつけてくれる親切設計。マジ聖剣パネェ。
流石に王女もこの脱出方法は思いもよらなかったのか、事はつつがなく進んだ。ざまぁみろ。
最悪、王女や王国兵士との戦闘を覚悟していたが回避出来て良かった。本当に良かった。なにせ俺達自身は戦闘経験皆無のクソ雑魚だ。聖剣があるとはいえ戦わないに越したことはないだろう。それにあの王女……なんというか底が読めないのだ。
願わくば二度と会いたくないね。ぺっ。
ちなみに脱出時、城の壁が大破した気もするがそこは気にしない。
むしろ勝手に異世界転移されたわけだし、これぐらいで済んで感謝して欲しいぐらいだね。
『ちょっと聞いていますかマスター!! だいたいマスターは……あ』
「え、なに。なにその不安な呟きは」
『いやーはっはっはっ流石に鋭いですねマスター。恐らく想像どおりですよ』
心の底から嫌な予感がした。これもまたお決まりだ。この後の展開は聞かずとも想像するに易かった。
『つまりエネルギー切れです! ……てへ☆ぺろ?』
はいお約束。はいはい分かっていましたよ分かっていましたよ。
聖剣の先端からプスンとガス欠のように間抜けな音を出し光の放出が止まった。
推進力を失った投射物の運命は当然一つのみだ。
「「ぎゃあああああああああああああああああああああああ」」
つまり自由落下である。
◆
「いてて……ここどこだ?」
「見たところ森の中……しかも山みたいだけれど」
気がつけば俺達は地面にそのまま放り出されていた。口の中に広がる土の味は大変不快極まりないが、五体満足なだけマシというものだ。
どうやら聖剣ちゃんが上手いこと衝撃を緩和してくれたらしい。
「ふぅ……」
アリスはスカートのホコリを叩きながら立ち上がった。
なんか女の子のこういう動作ってなんか萌えるよね。無論口には出さないけど。絶対零度の視線で射殺されそうだし。
「一ノ瀬もケガはなさそうだね」
「えぇお陰様で。明星君も一応無事のようね」
『ふふーん! この超絶優秀高性能な聖剣様に感謝するといいですよ!』
聖剣ちゃんは会話に無理矢理割り込んだかと思えば感謝の強要をしだした。そういうところだぞ。
ていうか聖剣ちゃんも魔剣ちゃんも勝手にふわふわ浮いて自由気ままに動いている。やりたい放題である。
「ところでその聖剣達だけど喋るのね」
「そうなんだよ残念ながら喋っちゃうんだよ」
『そうですそうですもっと崇め奉って下さい。どうも喋る上に歌って踊れる聖剣ちゃんです』
お前はどこぞのアイドルか。まぁ戯れ言はさて置くとして。
「あれ? 今更だけど俺以外の前で喋っていいの?」
そういえば脱出前とかガンガン会話していたような気もする。
アリスがあのタイミングでそれを聞いてこなかったのは彼女なりの気遣いだったらしい。まぁ確かに脱出の直前で聞くような話ではないわな。
『えぇまぁ私にも色々と思うところはありますので。それにほらメンバーも増えたことですしメインヒロインとしての貫禄を見せつけないといけないですしね!』
ほざけ。
そもそも俺にそんな特殊性癖ねぇよ。
「一ノ瀬アリスよ。明星君とはこれから長い付き合いになると思うけどよろしくお願いするわ」
『改めてマスターの頼れる相棒聖剣ちゃんです。よろしくお願いしますね?』
『魔剣ちゃんだよぉ~。ヨロシクね雑魚雑魚な人類さん?』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
え? 何でこの人達睨みあってんの?
いや聖剣ちゃん達に顔とかはないんだけどさ。それでも心なしか彼女らの背後に龍とか虎とかの幻影が見える気がするんですけど。
なんか怖いのでほっとくことにした。
なにはともあれ。
学 園 一 の 美 少 女 が 正 式 に パ ー テ ィ ー に 加 わ っ た ! !
91
お気に入りに追加
370
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる