異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

文字の大きさ
上 下
16 / 67

異世界転移三日目にして脱出計画決行①

しおりを挟む

「日本の夜明けぜよ」

「ぜんぜん日本じゃないけれどもね」

 俺の隣に立つアリスは額に手を当ててため息を吐いた。
 いいんだよ。こういうのは雰囲気が大事なんだ。まぁ確かに日本とは似てもつかない光景だけどさ。

 明け方。俺達はこっそりと寝床を抜け出し見晴らしの良いテラスに集まっていた。
 太陽的な存在は同じだが、夜明け前の夜空にはうっすらとまだ月みたいなのが二つ浮かんでいる。まさに異世界。

「ところで決行前に一応聞いておくけど聖剣ちゃん達、俺らのことを元の世界に帰らせたりできないよね?」

『さぁそれはなんとも。私がいくら超絶高性能武器でも魔術師の真似事は業務範囲外ですね』

『アタシも無理というか興味すらないかなー』

 ですよね。なんとなくそんな感じはしていた。

 そもそも異世界召喚なんてとんでも事態はおいそれと簡単に出来るわけもないのだろう。そんなポコポコ簡単に出来ていたら大惨事にもほどがある。王家の秘術的なものなのかな。
 王女であれば何か知っているのだろうが、素直に答えてくれるとは思えない。

「いつの間にかなんか増えているわね……しかも、いえなんでもないわ」

「そういえば一ノ瀬に魔剣ちゃんはまだ見せてなかったね」

 話せば長くは……ないか。三行ぐらいで終わるな。
 具体的には
 宝物庫侵入
 発見
 装備(強制)

 うーんこれ言えねぇな。自分でも軽くドン引きするわ。

「ところで話は変わるけど聖剣ちゃん、ビーム出せる?」

『はい?』

「だからビームだよビーム」

『まぁそりゃ聖剣たるものビームの一つや二つ出せますけども』

 出せるんだ。
 まぁそりゃ聖剣なんだから出せるよな。聖剣ちゃんは俺の質問の意図を図りかねているが、とにかく良かった良かった。これで何の支障もなく計画を実行に移せるというものだ。

「ちょいと失礼。た、他意はないからね?」

「……どもりながら言われても説得力がないのだけれど」

 アイテムボックスから昨夜に調達した一際大きいサイズのベルト取り出し、アリスの腰にぐるり回した。心なしかアリスの視線が冷たい。天地神明に誓って邪な事は考えていないので安心してほしい。具体的には世界平和とか?多分。

『マスターは相変わらず本当にクソ童貞ですねぇ』

『顔真っ赤じゃん。やーいざぁこざぁこ~』

「うるせぇほんとうるせぇ」

「えっと、改めてこれは一体全体どういう状況なのかしら?」

 流石のアリスもこの珍妙な状況に困惑の表情を浮かべた。

「まぁまぁ泥船に乗った気分でまかしておくれよ」

「それ沈むやつじゃない」

 アリスは肩を落としてゲンナリとした。

 さてさて念のためベルトがキッチリと固定されているか確認。生半可な締め付けだと。うん問題ない。ベルトは簡単には取り外せないぐらいに固定されている。これにて準備は完了。

 この時間帯であれば下の階含めて人はいないらしい。視界も良好。つまりはオールグリーン。このままつつがなく進めば俺達はこの王城から無事に脱出することが出来るだろう。

「……」

「明星君? 急に静かにしてどうかしたのかしら?」

 問題はない。そう問題はないはずなのだが。
 古今東西、物事は思うように進まないのが常だ。だいたいこういう時には邪魔が入るのがお決まりなのだ。

 コツンッ

 その懸念が正しかったと裏付けるように、ヒールの先端が石畳の床を踏み抜く甲高い音が耳を貫いた。

「あらあら困りましたねぇ。これは非常に困りました~」

 お決まりもお決まり。音源の方向に視線を走らせると、そこには諸悪の根源第二王女様がいた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...