異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

文字の大きさ
上 下
13 / 67

銀行(国庫)強盗? 罪悪感とかそういうのはママのお腹の中に置いてきました

しおりを挟む



「ウヒヒ満足満足超満足。ウヒヒヒヒ」

 気分は上々も上々。絶好調なまである。国庫の中身を根こそぎ奪い取った俺はかつてない程に上機嫌だった。聖剣ちゃんの案内もあり何一つバレることなく自室に戻ることが出来たのも大きい。

 アイテムボックスに制限がないという聖剣ちゃんの発言も間違いではなかった。なにせあれだけあった国庫の中は綺麗サッパリ異空間に収まっているし。金銀財宝だけではなく保存食らしきものまで存在した為、しばらく食うことに困ることもないだろう。

 こりゃ笑いが止まりませんわ。ウヒヒ、ウヒヒヒヒヒヒヒ。

『もはや悪人ですねぇマスター』

『マスター絵面似合い過ぎて魔剣的にも正直ドン引き~』

「うっさいぞ。そもそも魔剣ちゃん達に言われたくないわ」

『あ、アタシの呼び方のもそんな感じなのね。別に良いけど正直センスよわよわ~』

 うっさいうっさい本当にうるさいよ。
 だいたい僕のネーミングセンスの何が問題だっていうんだ。いいじゃん聖剣ちゃん魔剣ちゃんって。え、いいよね?

 それに国庫の件だってボロクソに言いたい放題だが元を正せば聖剣ちゃんが言い出したことだ。俺は悪くないし、仮に捕まったとしても聖剣アイツがやれって言いましたと言い逃れ可能なわけだ。

『うわ最低すぎてガチで引くんですけど』

「君に言われたくない件について」

 君なんて聖剣の癖に全然清廉さの欠片もないじゃん。こんなのを奉らなければならないこの国に同情するまである。
 それはさておき資金面はこれで問題なくなった。
 むしろ十分過ぎるし、遊んで暮らせるんじゃなかろうか。異世界隠居生活とかワンチャンあるな。
 あ、でもゲームとかないし普通に嫌だわ。

「……」

 これで脱出する準備はほぼ完了だ。その気になればすぐさま実行に移せることだろう。

『? 急に黙り込んでどうしたんですかマスター?』

 しかし。しかしだ。俺の心の片隅にはシコリのようなものがあった。

『あーマスターはむっつりさんですねぇ』

『あらあらお兄さんも好き者ねぇ』

「いやいやいやいや」

 二人は俺の様子を見て何かを察したらしい。
 片方はニヤニヤもう片方はニマニマ。喋る武器が二倍に増えたせいか無駄にやかましい。顔こそないがそんな声音で本当にやかましい。

 まぁ、その?
 俺も絶賛思春期男子なわけで全くもって微塵もそういう下心がないと言えば、それも嘘になる。
 しかし俺の心中のほとんどを占める感情は全く別のものだった。
 俺の懸念とはズバリ、一ノ瀬アリスだ。

 真面目な話、彼女はマジで危ないのだ。
 特に問題なのは彼女の容姿だ。悪いわけじゃない。むしろ良すぎるほどなんだけど。けれどそれが最悪の結果を招きかねかねない。

『まぁマスターの懸念も分からないでもないですがね』

『まぁねぇ。特に思春期の男子なんてお猿さんと変わらないもんね』

「でしょ?」

 どうせろくな目に合わない。間違いない。
 元々男子からは羨望の目を向けられ、女子からは煙たがられていた存在だ。それがただ一人無能という状況。つまりクラスカースト最上位存在が最下位に転落したわけだ。
 某SNSの広告じゃないが何も起きないはずがない。

『とはいえマスターも美味しい思いとやらが出来ると思いますがね』

「何それもしかして試してる?」

『はい僭越ながら。ここでイエスと言おうものなら聖剣スペシャル去勢ビームを披露したところです』
 
 なにそれ怖いクソトラップじゃん。重い重い。選択一つミスれば子孫を残せなくなるとか怖すぎ。
 まぁどの道、俺のように由緒正しき童貞にそんな度胸があるわけもない。それに俺は何だかんだ純愛主義であり夢見る男子高校生。そんなことをして得れる関係性に何の魅力も価値も感じないのだ。

 よし。

『あれ? マスターこんな時間にどこに行くつもりなんですか?』

 分かっている癖に。
 俺は心が思うままに、心臓の底から湧き出す衝動に従い部屋から飛び出した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた

こばやん2号
ファンタジー
 とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。  気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。  しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。  そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。  ※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...